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帰り道

またまたブックマークありがとうございます!

色々な人から目を通して頂き、とても感動しています!

明日も投稿したいと思いますので、よろしくお願いします!

「あんた、馬鹿じゃないの? なに、殺したくないからとか甘ったるいこと言う気じゃないわよね? そいつはあんたを殺そうとしたし、実際あたしがいなきゃ殺されてたのよ? なんでとどめ刺さないの?」


「うるせえ」


 そんな理屈で上手く行くほど世の中簡単じゃないのだ。そもそも常識として人殺しなんて全うな真似じゃない。


 殺せるから殺すとか、そんな理屈で済むわけがないだろうが。


 肩に担いだ重さにため息を吐く。


 あんな大きな槍を軽々と扱っていたのだ、てっきり並の人間とはまるで違うのか思っていた。


 が、肩に掛かる重さは少女のそれだ。あまりの軽さに完全に毒気が抜けてしまった。


 赤い槍は瓦礫の下。


 おれたちはすっかり日が沈んだ住宅街を徘徊している。 


 通りに人影はない。街灯と家屋から洩れる灯りが周囲を照らしている。


「で? どうすんのよ? まさか連れ帰る気? やめときなさいよ、そんな見た目だけど立派なダンジョンモンスターなのよ? 同じ言葉をしゃべるけど倫理観とかそんなもん持ってないから。絶対に後で後悔するわよ」


 ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃうるせえ女だ。


 ルシエルはダンジョンを脱出する前からこの調子だった。やれトドメを刺せだの瓦礫の下敷きにしろだの。物騒なことこの上ない。


 同じ話を何度も繰り返して飽きない姿にはある意味感心するが、それに付き合わされるのは正直気分がよくない。


 逆ギレしようにも色々なことがありすぎて精神的に疲れ切っているのでされるがままになっていた。


 いや、そもそもの話を考えれば、


「なぁ」


「なによ?」


「お前なんで付いてきてんの?」


「な」


 信じられないものを見たって顔をされた。


 …だめだな、疲れ切って言葉が思いつかない。そもそも、ルシエルが驚いている意味自体わからなかった。


「あ、あんたね。今自分がどれだけの幸運に恵まれたのかわかってる? いい、あたしはそんじょそこらのマジックアイテムとは訳が違うのよ?」 


 マジックアイテム。


 ダンジョンにいくつか存在する現代科学では決して再現の出来ないオーパーツ。


 存在自体は一般常識として知っているが、どんな代物なのかは公表されていない。


 なるほど、と眠気でわけがわからなくなっている頭で理解した。


 たしかに、こんなやかましいことを喚き続けるマジックアイテムなんてろくなもんじゃない。


「はいはい。わかったから、ちょっと黙れよ。いまどうするか考えてんだから」


「どうするって? あんたの家に帰ればいいじゃない」


「それが出来ないから困ってんだよ」


 肩に担いだ少女に視線を向ける。


 ぴくりとも動かない。


 マジで死んでるんじゃないか、これ。


「…このまま警察に行った方がいいかもなぁ」


「なに言ってんの? 悪いことしてないのに行く必要ないでしょ」


「暴行も誘拐も立派な犯罪なんだよ」


「あーなるほど。あんたの常識が間違ってるわね」


 人間じゃない奴に常識を指摘されるとは思ってもいなかった。


 ますます気分が下り坂になっていくおれに、


「そいつは戦利品よ。気にくわないけどあんたの武具として使えばいいじゃない」


 そんなよくわからないことを言った。

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