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決着(*^-^*)

またまたブックマークありがとうございます!

モチベーションががんがん上がってきてます!

今後も毎日投下目指して頑張っていくので何卒よろしくお願いします!

 腹が熱い。


 突き刺すような痛みとも吐き気とも言えない脈動が頭の中をどんどん暗くしている。いつの間にか呼吸までつらくなってきた。全身から冷やさせが吹き出して視界までも滲んでいる。


 ここまでか。


 既に賭は三つ勝った。


 最後の一つはもうおれに出来ることはなにもない。あとはルシエルに任せて意識を手放そうとして、


「ん!」


 なぜか彼女はおれに向かって手のひらを指しだしていた。…なんだ、握れってことだろうか。


 いや、腹押さえるのに精一杯で手を離せないっつーかなんつーか。


「…な、んだよ」


「はやく握って。じゃないと私を使えないでしょ」


 こいつマジか。


 わけがわかんねえ。


 朦朧とする意識。高熱で魘されてる時の数十倍のけだるさと吐き気、腹の激痛のせいで怒りどころか言葉をまともに返すこともできない。


 閉じようとする瞼を賢明に開け続け、


「見て、わかれ」


 それだけつぶやいた。


 どくどくと腹からあり得ない勢いで血が吹き出している。手のひらにぶつかるそれがあまりに怖すぎて、それだけでも意識を手放しちまいそうなんだ。


 お前は、そんなおれにまだ戦えって言うのか。


「なに、あんた諦めるの?」


 至極当然のことのように、ルシエルは言った。


 しかも、つまらなそうに。


 それが途切れそうになった意識を一瞬で沸騰させた。


「諦める、だ?」


「だってそうでしょ。あんたまだ動けるじゃない。なのにこのままくたばろうなんて、ちょっと都合良すぎるんじゃない?」


 誰が死ぬか。


 そう言おうとしたが結局言葉にならない。


 全身から力が抜け、いよいよやばいってのがわかってきた。


 このままじゃ遠からず意識を失っちまう。


 そうなっては、ルシエルはおれを助けたりしないだろう。


 結局、自分のことは自分で何とかするしかないってことだ。


 くそったれ。


 朦朧とした視界の中、


「男でしょ、死ぬまで根性見せないよ」

 

 おれは全力でルシエルの手を握った。

 

              ※


 変化は一瞬。


 まばゆい光が視界を真っ白に染め、瞼を開けた時には全てが終わっていた。


 全身を襲った寒気も吐き気も消え、あれほど際限なく溢れていた血液も止まっていた。


 ていうか、腹の傷がなくなっていた。


「どうなってんだよ、おい」


 驚いていたのはおれだけじゃない。


 対峙していたラスボス(そういや名前すら聞いていなかった)が泣きそうな顔をしている。


「あー! なんで、ズルい! それ、私を倒した後に上げる秘宝だったのに!」


 地団駄でも踏みかねない勢いで叫ばれた。


 秘宝。


 なるほど、ルシエルが自分を武器と言ったのは嘘じゃなかったらしい。


 実際、


「ふぅん。へぇ。なに、あんた、結構肉体派なわけ?」


 彼女はおれの武具となっていた。

 

 両足の膝下から足先までを覆う黒い装甲、両腕も指先から肘まで黒い装甲で覆われている。


 けれど、なんと言えばいいんだ? どうにも薄っぺらいような気がする。黒い装甲と言うより、黒いペンキかなにかに手足を突っ込んらこうなるみたいな。


 正直見た目がかっこいいとは決していえないだろう。なにより頼もしいかと言われれば、正直心もとないとしか言いようがなかった。


「で、どうかしら? でかい口叩くだけあるでしょ?」


 ほらほら誉めなさいよとでも言わんばかりに響くルシエルの声。今更だがスマホでのやりとりからは考えられないほどの別人ぶりだ。


 あしらうにも本気で微妙すぎてまともな返事ができない。


 かろうじて、


「お、おう」


 とだけ返事した。


 そうでしょそうでしょと得意気な声が響く。


「無視、しない、で、ください!」


 反応が完全に遅れた。


 少女はおれの隙を逃さず、一瞬で踏み込んできた。


 同時に刺突を放つ。


 もはや最初のそれとはまるで違う一撃が、なぜか見えた。


 見えて、かわすことが出来た。


「なっ!」

 少女が間近で驚愕に表情をゆがめた。


 既に放たれた一撃が彼女の体制を崩している。


 ここしかない、と思った。

 思ったときには、足が出ていた。


「ぷぎゃ…!」

 

 少女の顔面に右足たたき込まれる。


 鼻がつぶれ、眼球があらぬ方向に動いた。


 少女の全身から力が抜け、勢いのまま右足を振り抜いた。


 吹き飛ぶ少女。


 粉砕される壁。


 激突で生じたひび割れが室内全体に広がって、周囲の崩壊が始まった。


「殺っちまったわね」


「殺ちまったじゃねーよ! やべえだろ! あれ、マジで死んだんじゃねーか!」


 やばいやばいやばい。


 渾身の当たりすぎて一瞬呆けてしまった。


 急いで少女の飛んでいった方に向かう。ラスボスって言ってたから人間じゃないし大丈夫じゃね、と思ったがそれは人間としてだめだ。


 崩壊するダンジョン。


 瓦礫の中に埋もれていた少女を急いで抱え込む。


 なるべく顔は見ない。


 自分のやっちまったことと向き合うのは終わってからでいい。


 グチグチ文句を言うルシエルを宥め賺し、おれはダンジョンを脱出した。

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