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粥うまーと彼は思った('Д')

おはようございます!

次の更新も今日の夜か明日の朝にしたいと思います。

今後ともよろしくお願いします!

「…あ、お疲れさまです」


 どんよりとした雰囲気のまま大和田さんが出迎えてくれた。手にはおたま。巫女服の上に割烹着を着込んでいる。長髪を結い上げた姿が個人的にツボだったが、やっぱり暗い雰囲気が台無しにしていた。


 ここは小白川ダンジョンの中層。


 およそ地下数十メートルとは思えない広さの空間。生い茂る草花が風にそよぎ、偽物の青空から偽物の太陽から日差しが注いでいる。


 周囲に遮蔽物はなく、モンスターの姿はない。


 ダンジョン内で数少ない探索者の休憩場。


 そこで、おれたちは今日からキャンプを張っていた。強化合宿の類ではもちろんない。


 新たな神託が下ったのだ。


「こりゃ、なにをしておる! 冷めてしまうぞ!」


 ぐつぐつと煮だった鍋からそんな声が聞こえてきた。これまた割烹着を着た幼女がお玉を使ってゆっくりと鍋の中身をかき混ぜている。


 まるで給食をよそう小学生みたいに見えるが、その実数百年以上を生きる神様である。


 いや、ほんと見た目は幼女にしか見えないのだが。


 前髪ぱっつんだし。顔立ちは異常に整ってるけど。


 スワ様。


 小白川ダンジョンの鎮守神である。


「うる、せえ…。まだ飯は、いいって言ってんだろ…あだッ?」


「ほら、いいから座れ」


 マホちゃんに腰から地面に落とされた。


 どうせ担いできたんだから最後まで丁寧にやってほしい。そんな文句を言うのも面倒で、おれは寝転がった体勢からのそのそと座る体勢に移行した。


 スワ様は手際よく鍋から中身を盛るとおれに手渡してきた。木の器とスプーン。中身は真っ黄色の物体X。…なんだこりゃ。


「ほれ、食ってみよ。ワシ手製じゃ、うまいぞ」


 幼女は得意げな顔をしている。


 あれか、これまでの不敬に対する罰のつもりだろうか。けれど確かにうまそうな匂いが暖かい湯気とともに立ち上っている。


 ちらりと周囲を伺ってみれば、マホちゃんも大和田さんもためらいなく口を付けていた。


「い、いただきます」


 息を吹きかけてから口を付ける。


 熱い。


 口腔内に広がる熱に一瞬口を離しそうになるが、何とか一口目を飲み干す。


 全身に一気に熱が広がり、寒くもないのに身震いがした。


 …旨い。


 最初は熱さだけにしか意識が向かなかったが疲れた身体に染み込むようなうまさだった。刺激的なものは何一つないのに、はっきりと旨味が舌に広がっていく。


 出汁とかそういうのには詳しくなかったが、ずいぶんと上品な味のように思えた。


「少し塩っけを足しておいた。どうじゃ、疲れに効くじゃろう?」


 そうドヤ顔で言われたが、それも気にならなかった。


 これは粥だ。


 たぶん卵と鶏肉とごぼう、ほかにもいろいろなものが混じっている。食材の味が幾重にも重なり合い、その度に新鮮な味わいを楽しめる。


 味を追いかけるだけで精一杯で、気付けば器が空になっていた。


「おかわり!」


「ふふ、素直な奴め」


 スワ様は上機嫌で器をよそってくれた。二杯目もすぐに空になる。三杯目ももらおうとしたところで、


「スワ様。首尾はいかがですか?」

 

 マホちゃんがそんなことを言った。


 …何故かおれを睨んでいる。


 あれか、少しは遠慮しろってことだろうか。そうだといいが、もしかすると別の意味かもしれない。たとえば、自分が作った飯よりも旨そうに食うなとか。…自意識過剰過ぎだな、うん。


「上々、といいたいが正直わからん。現場にくればもう少しわかるかと思っとったが、今のところそういう感じでもなし。ま、気長にまっとれ」


「竜殺し。その誉れを、貴様らに授けてやるからのう」

読んでいただきありがとうございました!

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