我ながらきめえと彼は思った('Д')
ブックマークありがとうございます!
今日の夜か明日の朝に次の話を投稿したいと思います!
何卒よろしくお願いします!
過去にダンジョンを攻略したのは三十二パーティ。国内じゃない。全世界で公的に記録されているダンジョン攻略パーティはそれだけしかないのだ。
ダンジョンが世界的に認知されてから約三十年。今や、世界各地にあるダンジョンに対して人類はその程度の抵抗しかできていないのである。
そんな、およそ教科書でしか把握できないスケールの出来事がすぐ間近で起こった。
それがあまりに悔しかった。
おれ自身がそれに関わることもできなかったことが、何よりも悔しかったのだ。
「ここまでだ」
みぞおちに叩き込まれた衝撃が全身の自由を一瞬で奪った。呼吸すらできない。地べたを這いずり回りながら、思考できる余裕ができた自分をほめてやりたかった。
当たり前か。もう何度目かわからないほどこうやって苦しんでいる。どうせならそんな一撃をもらわないようにしたかったが、困ったことに一度も見切ることができなかった。
あいつらなら、最初から見切ることが出来るんだろうが。
「…もう、いっちょお…!」
「やる気があるのはいいが、これ以上は無駄だ。いいか、ハチ。すぐに強くなるなんてのは嘘だ。地道なことを一つ一つ積み上げることで人は強くなる。お前がいくら焦ったって」
「これじゃ駄目だ。あいつらに、追いつけねえ…!」
「…まったく。重傷だな、お前は」
マホちゃんは呆れたようにため息を吐いた。
おれだってわかってるさ。こんな真似したって無駄なことくらい。
それでも、こうして身体を動かさなきゃ、気も晴れないのだ。
カレーパーティから既に一週間が過ぎた。
あいつらは特番の冒頭ですぐに出て行った。もともとダンジョン攻略の事実を知らせるためだったんだから、当然の話だ。
それから今日まで一度も連絡もない。おそらくはテレビ取材やらなんやらで身動きもとれない状況なのだろう。今でもテレビを点ければあいつらがインタビューを受ける姿を目にすることになる。
令和のニューヒーロー、新時代の申し子。
画面には奴らを持て囃すようにそんなテロップが行き交い、様々な芸能人がしたり顔でコメント残している。
そのうち、あいつらが主役の番組なんかも放映されて芸能人達から持ち上げられるあいつらを目にすることになるだろう。
まったく、嫌になる。
そんなどうでもいいことを考える自分自身がとてつもなく気持ち悪かった。
「くそ…が…!」
「ほら、もう昼だ。稽古はこのくらいにして飯を食べるぞ」
マホちゃんにせっつかれたが立ち上がれない。いや、マジでやばい。未だに全身がしびれて呼吸すらままならないのだ。
マホちゃんはそんな様子のおれを見て、ただため息を吐いた。
「まったく、私以外のことばかり考えて」
ぶつぶつとつぶやきながらマホちゃんはおれを肩に担いだ。
つぶやきの内容はスルー。
触れたらそれこそどんな返しがあるかわからない。
とにもかくにも、あの馬鹿共からのサプライズの後、おれはこうして自分を虐めることしかできなかった。
変わる世間と自分との乖離を自覚しながらも、ただただ鍛錬を積む。
せめて世間に流されないよう、懸命にあがくことだけが今の自分がすべきことだと考えていた。
それが、いくら無駄に見えても。
その一つ一つが望む未来へとつながっていることを信じて。
読んでいただきありがとうございました!




