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第一次異世界大戦 裏話〜かの半神は暗躍す〜  作者: 一青アリア
その神、巻き込む
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その事件は解決に向かう……のか?

慧が警視庁 捜査一課に突撃訪問をかました次の日、

ミヅキは、陸上幕僚監部のおつかいとして警視庁を訪れていた。

名目は「人事交流人員の引き上げについての話し合い」である。前回の人事交流から、二年半、そろそろ元の部署に戻していかなければならない。ついでに人事交流で派遣された自衛官たちの働きぶりも確認しておきたい。


そんな言い訳もあったので堂々と捜査一課に顔が出せた。ちなみにその日は、件の安倍氏は殺人事件の捜査で外にいて顔を合わせることはなかった。


で、現在地は捜査一課がよく使っている小会議室。

その場にいるのは、自衛隊側の人間としてミヅキ。警視庁側の人間として慧、誘拐事件の捜査の担当者の代表、三名。一応、人事交流の話し合いをすると周りに言って人払いされた状態だ。

慧以外の警官が三名しかいないのは、ミヅキに会う人間を相当厳しく振るいにかけた結果らしい。

しかも、救出に参加できる警官は、場合によってはこの三名だけになるかもしれないらしい。

今回の救出、詰んだかもしれない、と内心ため息をしたミヅキだった。


しばらく机を挟んで向かい合って座ったまま何も喋らなかった一同だが、ミヅキの向かいに座る警官の一人が徐に口を開いた。


「なぜ、"わらう悪魔"が自衛官としてここにいる?あれは警備部の人間ではなかったのか?」


「そこから?なぜ、そこをツッこむ?……確かに私は警備部に在籍したことがあるし、その時のあだ名は"わらう悪魔"だったけれども、それも人事交流で一時的なものだったのだから、元の組織に戻っているのは当たり前だろう。というか、今はその話は関係ないだろう。第一、私は誘拐事件の話をするためにここに来たのだから、余計な話は謹んでもらおう。」


笑顔を浮かべるミヅキだったが、全く目が笑っていなかったのだった。


ちなみに"嗤う悪魔"はミヅキが人事交流で警備部に派遣されていた間、刑事部や交通部に所属する警官たちから呼ばれていたあだ名で警備部つまりミヅキの元同僚たちからは"微笑みの悪魔"と呼ばれてた。なぜ、そう呼ばれるのかは本人は理由を知らない。ただ、警備計画をあれこれいじっていたら、いつの間にやらそう呼ばれるようになっていたらしい。



話を元に戻して、ミヅキたちは今度こそ誘拐事件についての話し合いを始めた。


「……で、被害者女性も王城の奥まった場所に滞在しており、正面突破はほぼ不可能。現代兵器を用いたとしても、一個小隊以上の人数を動員しなければ、救出は困難とこちらは判断する。」


「そもそも、結界だの、転移だの言われても意味が分からない。説明してほしい。」


と言われ、ミヅキと慧はあー、という顔になった。


「あれです。結界は一種のセキュリティみたいなもんです。結界は認められた者しか通さない。それ以外は物理で入れないようにはじきます。

で、転移はいわゆる瞬間移動テレポートですよ。本条一佐の場合、視界に入る場所、転移する座標に目印になる物が設置されていれば、どこにでも行けるそうです。今回のように転移無効の術式が無ければ。

なので、被害者女性にたどり着くまえに俺たち必死に走らないといけないわけです。……何キロぐらい走ることになりそうですか?本条一佐?」


ちょっと崩れた敬語で簡単な説明をした慧。転移できないのくだりで何か不都合なことを思い出したらしかった。どうも若干顔色が悪い。


「……最短で三キロ程度だと思われる。敷地が一万坪以上あるため、直線距離でそれだ。

ふぅ、こちらがいくら陽動を仕掛けたとして、侵入経路に現れるであろう敵の数を減らすには限界がある。敵を薙ぎ払いながらの邦人の救出……か。現実でやろうとするとどうにも壁が多いものだな。」


いつになく、ネガティブ思考なミヅキだった。


「要は警官(おれら)が邪魔だとおっしゃりたい?確かにね、多数の敵をかわしながら数キロ移動するの内勤が長くなった俺はパスしたいですよ。でもね、多分というか、今の法律で考えても自衛隊が救出に関わったと被害者女性に認識されるのはちょっとまずいと思うんですよ。表向きは"神隠し"で処理したい系の事件ですけど、話が大きくなりすぎました。だから、一課に少しでも納得して、諸々の隠蔽工作をしてもらえるように救出に警官(おれら)を巻き込むことにしたんでしょう。まぁ、確かにこのままだと警官(おれら)は足手まといにしかなりませんね。人選やり直しますか。」

ちょっと長距離走が苦手な慧は、自分は救出作戦から降りる方向に話を持っていこうとした。


「正直、時間がないから、一課側からは救出の見届けだけしてもらって、作戦の遂行は私と私の信頼できる者で行いたい。多数を相手にするなど、機動隊員でもなければ難しいだろう。二課だって滅多に乱闘騒ぎの収拾したりしないのに。」


それに今回危険度が高いために命の保障はないし、死亡理由をそちらで準備できるのか?と言われたら強く反発もできなかった。というのも、自衛隊ならなんかあれば"訓練中の事故で"という理由が使えるが、警察はそうもいかない。今回の事件は特に死亡理由を作れそうになかった。別件の捜査で、というのもなんかありましたって言っているようなものだし。


というわけで、ミヅキに言いくるめられた警官たちは見届け人一名のみを派遣することに同意したのだった。

ミヅキは、救出要員の人員構成は追って伝えると言ってその場を辞したのだった。慧もそのあとを追うように出て行った。



「どうするんです。いくら、本条一佐といえど、そう何人も理由もなく隊から人員を確保するのは難しいんじゃないんですか?」


「仕方ない。本当のことなんて公表できないのだし、裏でコソコソ動くには、特殊部隊も機動隊も使えないのだから、かといって戦闘に不慣れな一課を使うわけにもいかない。もう、開き直ってこうするしかないじゃないか。作戦決行を終業時刻の後に設定して、隊の者には外泊届を出してもらった上で適当な場所に出張ってもらえば言い訳はできる。それと、部下たちにはすでに色々とバレたからな。"界渡り"のことも受け入れてくれるだろう。」


「は?」


「まぁ、転移のことは部下と私の元上官と一部の陸自上層部の人間は知っている。ガチガチの箝口令が出ているし、もう重要機密事項だし、外には漏れてない。周りがいい奴らばっかでよかった。」


「そういう問題ですか?というか、なんで陸自の皆さん納得しているんです?」


「あー、なんか、色々と目を瞑ってやるだけの価値はあると思われたらしい。だから、この歳でこの階級なのだし。はっきり言って私の昇任スピードは異常で規定を違反している部分がある。それでも自衛官続けられているのだから、そういうことなんだろうな。」


「さて、銃火器の調達なんだが、隊からは絶対に無理だ。よって一課でなんとか準備してほしいと伝えてくれ。私は人員を選定やら、スケジュールの調整があるから、これで失礼する。」

こうしてミヅキは警視庁を去って行った。


救出要員の選定、スケジュールの調整をきっかり二日間で終わらせたミヅキだったが、一課からの見届け人がなかなか決まらなくて、結局、救出作戦が決行されたのはミヅキが警視庁を訪れてから一週間後のことだった。

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