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とある異世界の神々は苛立つ

妾の愛し子たちが疲弊している…。


妾が創造した世界では、世界を揺るがす大問題が起こっている。いわゆる、魔王の出現だ。魔王を唯一倒せる勇者たる者を今まで異界から召喚していたのだが、最近、ことごとく失敗している。召喚陣を発動している愛し子たちは、魔力を使い過ぎで動けなくなっているようだった。


今までうまくいっていたのにと唇を噛む。愛し子たちだけでは魔王を倒すのは難しいからと、異界から勇者を召喚したのが最初。後はなし崩しだった。愛し子たちが助かれば、あとはどうでもよかった。愛し子たちには勇者を帰還させる術がないから、魔王が倒されれば、勇者は用済みとばかりに捨て置いた。愛し子たちは、そうして勇者を使い捨てていくのだった。


そういえば、ある代の勇者は毛色が違っていたと妾は思い出した。

あやつは、魔王城に一瞬にして跳び、魔王を一瞬にして葬り去った。国王を脅し、妾を脅した無礼極まりない女。脅しなどに屈せず、殺してやりたかったが、何をしても、死ななくて結局、元の世界に帰してあげることにした。

苛立ちが大きくなってきて、手に持っている扇を折ってしまった。はぁ、とため息をした。そこに冥界の長たる妾の双子の片割れが通信してきた。


曰く、"異界の勇者の魂の扱い困っている。何か良い知恵はないか?"と。


妾は失笑して言った。


「ならば、消せば良いじゃない。」


しかし、片割れは首を横に振って言った。


「できなかった。何度試しても。遠隔攻撃すれば弾き返されるし、直接触れて消そうすれば、怨嗟の声がうるさくなって近づけない。魂の浄化もできないから、こちらの世界に転生されられない。そのまま転生させてしまったら、こちらの世界の害になってしまう。もう、どうしようもなくて今は亜空間に隔離しているの。ねぇ、彼らの世界の神に引き渡すことは出来ないの?」


妾は、押し黙った。今まで、勝手に召喚してきたのだ、向こうの神に何言われるのか分からない。いや、()()()()()()おかしくない。だから、話を逸らすことにした。


「今は、勇者召喚を行なっている最中。話はその後で聞いてあげる。それまで我慢しなさい。」


と言って、通信を切る。

そして今度は近くのテーブルを蹴った。


「忌々しい異界の猿どもが!妾の手のひらで踊っておれば良いものを!どこまでも思い通りにいかぬ。」

久しぶりに見た片割れの顔色がとても悪かったのを思い出して苛立ちが止まらなくなる。


「ふふふっ。今のところは捨て置いてやろう。勇者は別の界から呼べば問題なかろう。」



姉上様を説得できなかった、と冥界の長はため息を漏らした。今も怨嗟の声が響いている。帰りたい、憎い、恨めしい、と。もう、魂の数が多いだけに、聞き取り難くてしょうがない。でも、この世界のために犠牲になった者たちの声だったから、無視するという選択肢は最初からなかった。


「できるだけ、早く帰してあげられるといいのだけど。」

姉上様の様子を見るにまだまだ先になりそうだ。自分の無力さに苛立ちを覚える。それでも体が疲れを覚えたから、寝室に向かうことにする。今日も見る夢は悪夢だろうと思いながら…。


その日、とある異世界の神々の私室では、不気味な笑い声と悲壮感漂うため息の音が響き渡った。


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