記憶をなくした少年
「俺は桜と、姉と弟みたいな関係をもうやめにしたい。そんで、桜と隣に並べる関係になりたい。だから来年桜と同じ大学に入れたらいいたいことがある。」
例年より、少し寒く雪の降る卒業式2日前のことだった。
俺は去年、原因不明の病で学校生活の半分を休んでしまいもう一年三年をやる羽目になった。先生方の配慮によって明日の卒業式は卒業生と同じ扱いをしてくれるらしい。なんか複雑だ。
「おっはぁー。あと二回の登校っていうのに、冴えない顔してんな。あっ、お前は二回じゃないか。」
朝から、テンションよく話しかけてくるこいつは、梅松 竹。一年から同じクラスでなんだかんだでつるんでいる友達。
「朝から、嫌みな奴だな」
「まあまあ、怒るなって。それより早くいかねーと遅れんぞ。」
「やべ、もうこんな時間かよ。」
俺たちは、学校前で走って向かった。
卒業式前日ということもあり、午前中は卒業式のリハーサル。午後は簡単なHRだけ行われ解散になった。
「奏葉、帰ろう」
話しかけてきたのは、セミロングの似合う桜だった。
「お、おう。」
昨日の今日で変な感じに返してしまった。これは今日の反省点だな。
俺達の家は隣同士、いわゆる幼馴染である。
「いやーあついねお二人さん。ここだけ夏かよ。」
「だからそんなんじゃねーって竹、俺と桜はただの隣どう…」
「あれ?いつもみたいに隣同士の腐れ縁とか言わないの?あれれついに夫婦にでもなったか」
「なってない。」
見事にまで俺と桜の声が被った。桜の方を見ると桜も俺を見ていた。そしてすぐ目をそらした。
「ごちそうさん。最後にお前らの夫婦ネタを見れてよかったわ。じゃあ、そろそろ彼女またしてるから帰るわ。じゃあまた明日な。」
そういうとドアの前で手を振りにやついた笑みを見せて廊下を駆けてった。
「俺達も帰るか?」
「うん。」
俺達も帰ろうとしたとき
「桜ちゃん。」
話しかけてきたのは、いつも少し赤い顔のリンゴちゃんだった。
「どうしたの?」
「吹部の後輩がなんかプレゼントを作ってくれたっぽくて。」
「奏葉ごめん、先帰ってて後から追いかけるから。」
「白月くん、ごめんね。お嫁さん借りてくね。」
「そんなんじゃないから。」
またも、声が被ってしまった。
「わかってるって」
絶対この子わかってない。てかいつか覚えてろよと心の中で誓った。
一人先に帰っているとやっぱり寂しかった。自然と足が進まず近くの公園のベンチに座り込んでいた。
そんな俺の前に桜が走ってくるのが見えた。すこしでも早く桜の近くにいたい俺は桜の方に向けて足を進ませていた。
「ごめん。遅くなった。待っててくれたんだ。」
少し息の切れた桜は下を向いて息を整えていた。俺はやっぱりこいつが…
不意に、昨日約束した言いたいことを言ってしまいそうになった時、大きなエンジン音が聞こえてきた。明らかにスピード違反をしているであろう速度でトラックがこっちに向かってきた。俺は咄嗟に桜を横に押した。そして俺に向かってトラックが走ってきた。
目を開けるとそこには、見慣れない白い天井があった。体は自由に動かすことができず目だけ動かすとここが病院だということが分かった。
何日かして、大体のことが分かった。俺はトラックにぶつかり、生死狭間をこの2か月間さまよってたらしい。そして俺には、事故の前の記憶がなくなっていた。
初投稿です。いろいろ初めてでわかりにくかったり、言葉が適切でないことが多いとは思いますが最後まで読んでいただきありがとうございました。日々、成長していきたいと思うので次回の続きも読んでもらえたら幸いです。