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魔剣伝SP 〜OLになったアリシア〜

作者: 六星かのり

【注意】

この作品は、同著者作「魔剣伝〜アリシア〜」のパロディ超短編集です。この作品を読む前に、そちらを読む事を強くお勧めします。


【第一話 朝】


私の名前はアリシア。

今年の3月に、「魔剣高等学校」を卒業して、

8月の今では、某建築会社の事務員として勤めている。

俗に呼ばれる「OLさん」という、

ごく普通で平凡な職業の代表格だ。

私が昔から憧れていた、

紺色の地味な事務服を着ることができた。

それだけで私はとても幸せなの。

だけど…。


OLの朝は早い。

仕事が8時からと言うこともあって、

私は毎朝6時に起床する。

この前100円均一で見つけた、お気に入りの「アグニ神マグカップ」に、熱々のコーヒーを注ぐ。

それを口にふくんだ瞬間から、私の一日が始まるの。


OLとしての身だしなみ、メイクだって時間をかけて念入りに。

私のお肌は、他の人とちょっと違うみたい。

「キメが細かいですね♪」ってコスメショップのお姉さんに褒められて、

薦められたファンデーションは、「研磨剤」入りの特注品。

でもさすがは特注品ね。

それで、下地を作ると、お肌がつるつるのピッカピカ。

まるで鋭く研がれた、刃物のように輝くの。

アハッ♪


「あ、いけない。もうこんな時間!」

全ての準備を無理やり終わらせ、急いで玄関へ。

ドアを勢いよく開けようと、ドアノブに手を伸ばし…

ポロッ…

あ!またやってしまった…

私ったら、ドアノブを切り落としちゃったみ・た・い。


続く…



【第二話 電車の中で…】


家から会社のある「無の園」まで、毎日電車通勤。

今日も私はいつものように、

7時15分発の「無の園」行きの普通電車に乗り込むわ。

5両編成の前から2両目。

3番乗り降り口の脇のシートが私の特等席なの。

でも今日はいつもと何かが違う、嫌な予感がするのよ。

女の勘は、よく当たるんだから。


私の特等席は、新聞を大きく広げた、サラリーマン風のおじさんに奪われちゃってる。

なんなの!このオヤジ!いっそ殺して…

ハッ…いけない、いけない。

私ったら、またいけない事を考えちゃった。

しかたなく、私は新聞オヤジの前で吊革を握る。

新聞オヤジのものなのか、オヤジ独特の嫌な匂いが鼻につく。

席を奪われただけでも、イライラしているのに…もう我慢できない!


そう思ったとき、私の背後で何かが動いた。

不意に、私のお尻に違和感が生まれる。

痴漢だ!

プッチ〜〜〜ン!!

私は、抑えていた怒りを一気に爆発させちゃった。

痴漢男の腕を思きりつかみ、天井近くまで掲げてやったわ。

「この人痴漢でぇ〜〜〜〜〜〜す!!!」

私の声が、電車内に響き渡る。

どよめく乗客たち。

そして後ろを振り返り、私は痴漢男の顔を拝んでやろうと思った。

「え!!お…お父さん!!!」

そう、その痴漢男は、まぎれもなく私の父ギルディアだった…。

嫌な予感…見事的中〜〜〜〜♪って、

このクソオヤジガァアアァアアァア!!!死ねやゴラァアアァ!!

「ぎょえぇええええええぇ!!」

電車内には、父の悲痛の叫びが高らかに響いた。


続く…



【第三話 父】


父ギルディアは、私が幼い頃亡くなった母の代わりに、

男手一つでここまで育ててくれたの。

その事には感謝してるわ。


父の仕事は板前さん。

割烹料理「大剣」で、見事な包丁捌きを披露しているみたい。

とても真面目で、優しくて、気さくな…父。

でもなんで、そんな父が痴漢なんて、正直信じられない。


大騒ぎになった車内を、

目にアザを作り、失神する父を掴みつつ、

必死に説明して事を収めたわ。

何故かみんな怖がって、私と目を合わせようとしなくなったけど・・・。

そんなの、気にしない気にしない♪テヘッ♪


私と父は「無の園駅」で降りて、改札口をとおり、人気のなさそうなところへ向ったわ。

そして私は、思い切って質問した。

「どうして、あんな事したの?」

父は黙る。

でも、私は納得できる理由を聞くまで、会社に行くつもりも無い。

「何か理由があるんでしょう?答えてよ。」

父は決心したらしく、ため息一つ付いて、口を開いた。

「実はな、罪が欲しかったんだ。」

「は?」

一瞬、父の言っている意味が解らなかった。

「最近、アグニ教っていう団体に入ってな。その教えでは罪を得ると、強くなるんだそうだ。」

「え?え?」

「オレは強くなりたい。強くなって、お前を守りたいんだよ、アリシア。」

そう言って、父は私を見つめる。そして、私は言ってやった。

「お前バカだろ。」

「はい?あ…アリシアさん???」

怒りを露にする私を見て、父は後ずさり、なぜか「さん」付け…。

「そんな怪しい宗教に引っかかりやがって…しかも罪が欲しいから痴漢?」

「え?いや・・・あの・・・」

「現代社会ナメンナよ!!クソ親父が・・・。ケッ…。」

そう言って、私はその場を去った…。

その数日後、父は失踪した。


続く…



【第四話 迷子の天使】


逃げ出した父の事はほっといて、私は会社へと急いだわ。

だって、遅刻でもしようものなら

部長のガーランドさんがうるさいんだもん。

あいつ…隠れハゲのクセに…

ハッ!いけないいけない…

私ったら、またいけない事を考えちゃってたわ。

お茶目なわ・た・し…テヘ♪


そんなこんなで、会社前の信号に着いた時、

幼い子供の泣き声が聞こえて来たの。

見ると、女の子が一人泣いていたわ。

こういう状況、私は無視できないのよね〜。

他の通行人は、皆無視して通り過ぎて行くし。

だから私、思い切って声をかけたの。


「どうしたの、迷子にでもなったの?」

「え〜ん、え〜ん」

「泣いてたら分からないわよ。ほら、これで涙を拭いて。」

そう言って私は、先週「六星デパート」で買った

おろし立てのハンカチーフを渡そうとしたの。

それでも、彼女は泣きやまない。

「え〜ん、え〜ん」

時間も無いし、急いでいるんだけど…乗りかかった船。

最後まで付き合うことにしたわ。

こんなに優しい私を、何故世の男性は放っておくのかしら?

まぁ、その話は置いておいて・・・。


「ねぇ、お名前は?お姉ちゃんに教えてくれないかなぁ。」

「ミア。」

「ミアちゃんって言うんだ〜。可愛い名前ね。」

「迷子になっちゃったのかな?」

「うん。」

やっと泣き止んでくれたことに一安心。

そして、さっき渡そうとしてたハンカチーフを、また差し出したの。

彼女は今度は手にとってくれたわ。

でも、その後の一言が最悪だった。

「おばちゃん。ミア、こんなババ臭いの使えないよ…。」

おば…カッチーーーーーン。


その後の事は、覚えていない。


ただ、我に返ったときにはもう、パトカーに乗っていた。


続く…



【第五話 取調べとカツどん】


目の前には怖い警察の方が二人。

私を見てニヤニヤしてるの。なんか嫌な感じ…。

あのクソガキ…じゃなかったミアちゃんに、

私は一体何をしたのだろう?

全く覚えていないから、たちが悪いのよね。


「始めに言っておく。カツどんは出ないからな!」

はい?このおっさん、刑事ドラマの見すぎで、

頭でもイカレテいるんじゃないのかしら?

私は最初から、そんなものは所望してなどいないのに…

だから私は言ってやったの。

「ふざけないで刑事さん。私は豚は嫌いなの。親子丼にして!」

「そうか、わかった…。ってオイ!ドンブリなんぞ出ないってぇ〜の!!」

え?出ないの?

もしかして、ドンブリが出るという制度なんて嘘なのかい?

カツどんなんて高いから、

ドラマ用に脚色されているだけと思ってた。

普段は、もっと安いものが出ると…。

だから安い親子丼にしてあげたのに…お金だって自分で払うし…。

もぉ〜〜!!

「刈り上げ警部補 刈頭金蔵(カリガシラキンゾウ:テレビ番組名)」のバカ〜〜!!

もう絶対に見てやら無いからな!

でも金ちゃんいい男だし…。

まぁ、そんな話はどうでもいいの!

もうお昼なのに…コイツ、私を飢え死にさせる気か?


「お前は、自分が何をしたか分かっているのか?」

だ〜か〜ら〜。それが分かってたら苦労しないって。

とは口が裂けても言えるはずもなく、

「覚えていないんです。」と一言だけ。

それを聞き、刑事さん(その2)は急にあるものを差し出した。

それは一枚の写真のようだ。


第六話へつづくよ〜^^w


   【告知】


俺のうなじがすっきり爽快!


『刈上げ警部補 刈頭金蔵  同情編』


毎週木曜 夜9時 テレビ夕日系にて絶賛放送中♪

君も一緒に刈上げ決めようぜ♪


【嘘です♪】


いかがでしたでしょうか?

少しでも気に入っていただけたら幸いです。

今後も、魔剣伝〜アリシア〜と魔剣伝SP、

併せてよろしくお願いしますw

コメや評価もお願いしますねw

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