ようこそ、ファンタジーワールドへ1
僅かな臭いを感じて目を醒ます。草と大地の臭いだ。そう知覚した瞬間飛び起きた。
「どこだここ?」
最期の瞬間いたのは確実に街中だ。してもアスファルトの臭いだし、周囲の景色も当然街中であるべきだ。だが、予想に反して周囲は見渡す限り草原だ。
突然ではあるが、俺は小説等で異世界に召喚される物語をよく読んでいた。それはもう大好物と言っても過言ではなく、よく時分も異世界に行きたいなどと妄想したものだ。つまり、何が言いたいかと言うと……
「実際にはマジで勘弁だ。」
と言うことだ。小説の主人公と違って普通知らないだろうと言う知識を持っていたりしないので、知識もしくは内政チートは無理だ。ましてやナイフを持った通り魔程度に殺される俺がなんの説明もなく、何ができるのかもわからない状態で草原スタートである泣けてくるは当然だ。
かといって、パニックを起こすことはなかった。自分のメンタルにはそれほど自信は無かったが、この状態でパニックを起こさない程度にはあるらしい。さて、ここで唐突に異世界と判断した理由を説明しようそれは……
「月の代わりに地球っぽいのが浮かんでりゃ、諦めもつくよなぁ」
普通、月が2、3個浮いてるとかだろうが、現実はこうである。自分の頭ではもうお手上げである。
「降参するので、誰か助けてくれませんかね?」
実際に手を挙げてふざけてみる。こうでもしないと耐えれないのだ。
そうこうしていると、突然背後から、何かが草原に着地する音が聞こえ、反射的に振り返りかけたところで……
「あの~、すみません」
そう、少女らしい声が聞こえて来た。