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第六章「ツンデレとトラップ」

進めば進むほど幅の広がる洞窟。

もうかなり進んだつもりだ。

そろそろ中ボスとか出て欲しい頃である。

「ねえ美奈ちゃん。しりとりしよう?」

よくそんな悠長なことが言えるな。

「今そういう状況じゃないだろ」

呆れながら言う俺を要は不満そうな顔をしている。

「だって暇なんだもーん」

暇ってお前・・・・。

確かにトロールを倒した後から一方通行。

歩くだけである。

「あ、あそこ!」

「ん?」

要が指差した方向には獅子の顔のついた扉。

目の部分には二つのくぼみがある。

そして扉以外には二つの道。

これだけでわかる。

どちらの道にも一つずつ玉があり、あの獅子の目にはめればいいのだろう。

そうすれば扉が開く・・・。

多分。

「ねえ美奈ちゃん。多分あのライオンの目を持って来ればいいんだよ」

「ああ」

「二手に分かれよう?」

「了解。行くぞベルゼブ」

「うむ」

俺はベルゼブが肩に乗っているのを確認すると右の道を行こうとした。

「ちょっと待って」

「ん?」

「このままじゃつまんないよ」

楽しさを求めるな。

「パートナー・・・交換しよ?」

理由を説明してくれ。

納得したら許可しよう。

「ミント、美奈ちゃんのとこへ行って」

「な、なんで私が・・・!?」

「いいじゃん。ミント、美奈ちゃんのこと気に入ってるいたいだし」

「ち、違うわよッ!何言ってんの要!」

「えー」

不満そうな要と顔を真っ赤にして否定するミント。

そんなに俺が嫌いか?

「仕方ない・・・。ベルゼブ。要のとこに行ってやれ」

「う、うむ・・・」

だから何で顔赤いんだよ。

キモチわりーな・・・。

「じゃああたしはベルゼブさんと左の道行くから美奈ちゃんはミントと右の道に行ってくれる?」

「わかった」

「じゃ、行こ?ベルゼブさん」

「う、うむ・・・」

要は俺の肩からベルゼブを自分の肩に移した。

「じゃあ、ミントをよろしくね」

そう言うと要は走って行った。

「・・・・」

俺は隣で浮いているミントを見つめる。

「な、何よ・・・」

「いや、妖精って初めて見たからな・・・。俺のパートナーもベルゼブみたいなおっさんじゃなくてお前みたいなのが良かったな・・・」

「な、ななな何言ってんのよ!私は要のパートナーよ!」

ゴッ!

小さいとはいえ、十分な威力でミントは俺の顔を蹴った。

「痛ッ!」

「ほら、さっさと行くわよ」

「お、おう・・・」

俺はミントを追いかけるようにして先へ進んだ。


「ねえベルゼブさん」

「何だ?」

「暗いね」

「ミントがいないからな」

要は気づいていなかった。

ミントが今まで洞窟を照らしてくれていたから周りが明るかったことに・・・。

「どうする?」

「戻るしかなかろう」

要は獅子の扉の場所まで戻ることにした。


それにしてもホントRPGの洞窟みたいだなココは・・・。

モンスターが少ないことを除けば。

「ねえ」

「ん?」

「美奈ってさ。何でそんな男みたいな喋り方なわけ?」

元々男だからです。

とは言えない。

「さ、さあな・・・」

「何か隠してるでしょ」

「隠してねーよ」

「教えなさいよ」

「何でだよ」

ドン!

ミントに突き飛ばされて壁に当たる。

ググ・・・!

壁はボタンみたいにへこんだ。

「・・・・・・は?」

「どうしたのよ?」

ガタン!

俺達の後ろに突然壁が現れた。

「トラップだ!」

「ええ!?何やってんのよ!」

「半分はお前のせいだろ!」

ドドドドドドドド・・・・!

「何か滝みたいな音しないか?」

「するわね・・・」

ドバァァァァ!

「ッ!?」

激流。

俺達はそのまま流されていった。









「美奈。ちょっと美奈!」

誰かが俺の頬を叩いている。

「ん・・・。後五分」

まだ学校には早いだろ。

ってか美奈って誰だ・・・?

聞き覚えのある名前だが・・・

「美奈!美奈!何間抜けなこと言ってんのよ!」

美奈・・・

美奈・・・

「俺じゃんッ!」

一応思い出した。

「どこまで流されたんだ・・・。俺達」

「わからない。でも結構遠くのハズよ」

参ったな・・・。

「どうするミント」

「とりあえず進みましょう。何かあるかも」

同意。

俺達はとりあえず進むことにした。


要は迷っていた。

見えない。

とにかく見えない。

戻っているかどうかすらわからない。

「ベルゼブさん・・・」

「む?」

「あたし達って・・・迷子?」

「それが適切な表現かも知れぬな・・・」

とりあえず進んだ。

獅子の扉の前には一応火がある。

そこまでは行かなければどうにもならない。


俺達がしばらく進むと、台座があった。

ご丁寧に獅子の目玉であろう宝石が置いてある。

「なあ。コレ取ろうとしたらトラップ発動・・・しそうだよな?」

「そうね。足元とかトラップありそう」

「ミント、取ってきてくれ」

「別に良いけど・・・・。要のためだからねッ!」

ミントは台座へとゆっくり近づいた。

そして宝石を両手で掴む。

「ちょっと重いけど・・・大丈夫」

台座から宝石が離れた。

ガコン!

「げ・・・」

トラップっぽい音。

「きゃッ!」

台座が地面に沈む・・・。

台座があった部分に隙間ができる。

その隙間から何かが這い出て来た・・・。

「う・・・あ・・・!」

気持ちの悪い呻き声を上げるソレはまさしく・・・

「ゾンビ!?」


続く

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