〜夢は現となりて〜

第十六章「げーむおーばー」

PC不調のため、非常に執筆困難な状況が続いておりました。

それ故に更新が非常に遅れてしまったことをここに深くお詫び申し上げます。

今後も「〜夢は現となりて〜」をどうかよろしくお願いします。

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「オーガが殺られたか」

「余裕だな。あんなデカブツ」

俺はニヤリと笑って男に刀を向けた。

「オーガを倒した程度で俺に勝てると思っているのか？」

「オーガごときじゃ相手にならないからてめえに相手してもらうんだよ」

ってかさっきからコイツとの会話嫌味合戦だな。

「良いだろう。すぐに終らせてくれる・・・！」

男の手には細身の剣が握られていた。

「要、コイツは俺がやる。手を出すな」

「うん」

そう言うと要は後ろに下がった。

「行くぜ」

俺は刀を構えた。

俺が走り出すより先に男は俺に斬りかかってきた。

キィン！

俺は刀で剣を防ぎ、弾いた。

「ッ！？」

「喰らえッ！」

がら空きになった男の胴に刀を振り降ろすが、男はヒラリとそれをかわした。

ゴッ！

「が・・・ッ！」

男はかわした後、即座に俺の腹部に膝蹴りを喰らわせた。

「美奈ちゃんッ！」

「美奈ッ！」

要達がこちらにかけよってくる。

「来るなッ！」

「でも・・・」

「コイツとは一対一でやらせてくれよ・・・・！」

俺は態勢を立て直し、刀を構えなおした。

「まだやるのか？」

「勿論だ。あんなの痛くもかゆくもねえよ」

「やせ我慢を・・・！」

男はまた斬りかかってきた。

必至に刀で受けるがすぐに男はそれを弾き、更に斬りかかる。

明らかに不利だ。

戦闘の熟練度が違う。

太刀筋が・・・

鋭すぎるッ！

キィンッ！

「ッ！？」

刀が手から離れる。

宙を舞い、地面に突き刺さる。

「しまった！」

「終わりだ」

剣を喉元に突きつけられる。

「く・・・！」

「これで最後だ」

「寝言は寝てから言えよ。まだ終わっちゃいねえ」

「この状況を打開する要素がお前にあるとは思えない。あるとすればそのプライドを捨てて向こうの小娘に助けを求めるぐらだが・・・」

「それでも俺の剣がお前を仕留める方が早い」

「どの選択肢もバッドエンドじゃねえか」

「ハッピーエンドなどない」

「わかってるよ。全てがうまく行く選択肢なんて・・・そうそうないことぐらいな」

「わかっているなら諦めろ」

「全てが・・・・だぜ？誰もこの状況を無傷で打開しようなんて微塵も考えてねえよ」

「・・・・！？」

左手に血がにじむ。

ポタポタと地面に滴り落ちる。

「やっぱ痛ぇな」

「確かに・・・無傷ではないな」

「だろ？」

ブン！

握った奴の剣を思い切り飛ばす。

と言っても喉元から離れただけだけどな。

「だぁッ！」

ドンッ！

俺はそのまま思いきり男に体当たりした。

「ぐ・・・ッ！」

男がよろめいている隙に俺は刀を拾い、構えた。

「行くぜ！」

俺は男に斬りかかった。

男はそれを剣で防ぐ。

ギギギギギギギギ・・・・・！

「どうせ負けるんだからそろそろ教えてくれねえか？」

「この状況でよくそんなことが言えるな」

キィンッ！

「何・・・ッ！？」

俺の刀が男の剣をはじく。

ザンッ！

男の右肩から血が噴き出る。

勝ったな・・・・！

「馬鹿な・・・・！」

ドサリと音を立て、男はその場に倒れた。

「く・・・ッ！」

俺はすかさず刀を男の喉元に突きつけた。

「形勢逆転だ」

「フン・・・」

「っつかお前の負けだ」

「そのようだな」

ほんの少しの沈黙。

勝敗が決したことに気付いたのか、要達が駆け寄ってきた。

「美奈ちゃん！」

「大丈夫だ」

「それよりも・・・、教えてもらうぜ名無し野郎。知ってることを洗いざらい吐け」

「良いだろう。約束は守る」

「まずは・・・お前のことだ。何者だお前は？」

「俺は、貴様らを殺すためだけに由愛に生み出された者だ」

「由愛ちゃんが・・・・？」

要が怪訝そうに聞く。

「ああ。理由は知らんがな」

「次だ。由愛は・・・・・アイツは何者だ？」

「わからない。ただこの世界を支配している。それしかわからんな」

「私にはそれがわからない。この世界は誰かの支配によって成り立っている世界ではなかったハズだ」

「そうよ、由愛って娘が何なのかはわかんないけど私達の世界を勝手に支配しないでくれるかしら？」

ベルゼブとミントという珍しい組み合わせ。

「それもわからない」

「お前何にも知らねえのかよ」

「わるかったな」

「まったくだ」

俺は呆れて溜め息をついた。

「最後の質問だ。どうせ知らないんだろうがな」

「由愛はどこにいる？」

「・・・・・」

「答えろ」

「俺が答えずとも答えは出るだろう」

「ふざけるな。答えろ！居場所を知っているんだな！？」

「フン。知っているも何も・・・。お前達の後ろだ」

バッ！

俺達が振り返ったその後ろには・・・

屈託なく笑った少女が立っていた。

「由愛・・・！」

「なぁんだ。もう負けちゃったの？つまんなぁい」

まるでゴミ箱に群がる蟻でも見るかのような冷たい視線で由愛は男を見る。

「さよなら」

パァン！

「なッ！？」

突然過ぎてただ驚くしかなかった。

今さっきまで会話していた男は跡形もなく消えていた。

風船が割れるような音とともに・・・

辺りに血をまき散らせて・・・。

ピッ！

俺の頬にも血がつく。

「何故殺した！？」

「遊び飽きた玩具をお姉ちゃんは捨てないの？」

由愛はニコリと笑う。

「何だか飽きちゃったなぁ・・・。もう終わりにしよ？」

「どういう意味だよ・・・？」

「げーむおーばーってこと」

視界が突然変化する。

墓も、月も、オーガの死体も、全て消える。

白い世界。

最初と・・・同じ・・・！

「じゃあこれからこの世界と現実世界をゆうごうさせちゃいまーす！」

続く