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第十一章「捜索」

「あぁ・・・生き返る・・・」

風呂・・・とは言っても水風呂だった。

近くのオアシスから汲んで来るらしい。

「気持ち良い・・・」

俺は水風呂の中に肩までつかっていた。

これまでの疲れが全て癒えるかのようだった。

ポーカーで馬鹿勝ちした俺はすぐに宿を借りた。

金がもったいないので俺と要で一部屋。

ベルゼブとミントは人数にカウントしていない。

「ふぅ・・・」

落ち着いたところでふと自分の身体を見てみた。

服を脱ぐ時はただ身体を洗い流したい一心で気にしていなかったが・・・。

ゴクリと俺はつばを飲んだ。

女の・・・身体・・・。

それも自分の・・・。

ベルゼブはいない。

要とミントは部屋で待ってる・・・。

自然と手は胸へと動いていった・・・・・。

バン!

「ッ!?」

ドアが勢いよく開けられる。

「美奈ちゃーん!一緒に入ろっ!」

「か、要・・・!」

「背中流してあげるから出てきなよ」

「いや、もう・・・流した・・・から・・・」

流したことは流したが洗ってはない。

要の右手には石鹸が握られていた。

「ちゃんと洗わないと汚いよ?」

後で洗うつもりだったんだが・・・。

要は身体にバスタオルを巻いている。

そういえば俺巻くの忘れてたな。

「後で自分で洗うから・・・」

だからとりあえず今は出てくれ。

要の身体が気になって仕方がない。

まともな恋愛経験がない俺に女性と風呂に入れというのは無茶な話だ・・・。

ただでさえ自分の身体に戸惑ってるのに・・・。

「ん〜」

要は一瞬考えるような素振りを見せるとガシッと俺の腕を掴んだ。

「・・・え?」

「だーめ。ちゃんと洗うよ」

「ちょ、お前話聞いてたか!?」

「髪もちゃんと洗ってあげるから」

「自分で洗うって!」

「良いから良いから。汚れたのはあたしの責任だし」

こんなとこで責任感じんな。

要は意外に力が強く、俺はすぐに引きずり出された。

「んじゃ行くよー」

「やーめーろー!」





「・・・ふぅ」

俺はタオルで身体と髪を念入りに拭くと服を着た。

入る前に着ていた物と同じ物だ。

風呂に入っている間に洗われたらしく、まだ湿っている。

ってか洗うなら他の服も用意しろよ。

湿っていて少し気持ちが悪い。

「うわー湿ってるー」

要も同じ状態のようだ。

時間を見ると夜の十時。

部屋に戻るとベルゼブとミントが待っていた。

「うむ、落ち着いたか美奈」

「まあな」

ある意味疲れた気もしたが・・・。

俺はすぐにベッドの中に入った。

「美奈ちゃん。もう寝るの?」

「眠い」

夢の中で寝るってのもなんだかなぁ・・・。

って夢じゃなかったんだっけ・・・?

どうでもいいや・・・。

俺は眠りについた。


「おーい」

誰だ・・・。

俺の眠りの邪魔をするのは・・・。

「そろそろ起きてー」

まだ学校には早いだろ。

学校・・・?

夢幻世界・・・。

あぁ・・・。

「美奈ちゃーん」

要か。

「・・・」

俺は身体を起こした。

まだ眠い。

「おはよー」

「おう」

「よく寝れた?」

「おう」

「今の気分は?」

「おう」

「血液型は?」

「おう」

「O型なんだね」

「B型だ」

「美奈ちゃんおもしろーい」

寝起きの俺で遊ぶな。

俺は頭をポリポリとかくとベッドから降りた。

「起きたか美奈」

「ベルゼブ」

相変わらず渋いのにちっさい。

「アンタ寝過ぎよ。何時だと思ってるの?」

ミントが時計を指差す。

まだ十時じゃねえか。

「全然寝過ぎじゃねえ。むしろ早い」

「どう考えても寝過ぎよ」

「まあいいか」

「よくないっ!」

顔面に蹴りを入れられた。

「痛ぇな・・・」

大分目が覚めてきた。

「美奈ちゃん。これからどうするの?」

「そうだな・・・。とりあえず由愛を探すのが先決だな」

「少しでも手がかりがあれば良いんだけどねー」

言われてみれば手がかりが何一つない。

このゲーム、多少俺達に不利なんじゃないか・・・?

「とりあえず町に出ないと始まらないな」

「そうだね」

「この世界の範囲も調べておかねばならぬな」

「世界の範囲?」

「うむ。夢幻世界に幾つか世界があるのは説明したな?」

「ああ」

「その幾つかの世界はお前達の現実世界のように無限ではない」

あれって無限だったのか。

まあ宇宙は広大だからな。

「世界の範囲は国一つ分のものから一部屋分のものまで様々だ」

「この世界はどのくらいだ?」

「まだわからんが町一つ分程度だろう」

何かもう何でもアリだな。

めんどくさいから考えるのはやめよう。

とりあえず俺達は町に出ることにした。

最初は手分けして探そうかと思ったが前回の洞窟の一件もあり、同時に行動することにした。

「前と違って人がいるんだから聞いてみればいいんじゃない?」

「私も要の意見に賛成だ」

「そうだな・・・」

とは言ったものの

「何て聞けば良いんだ?」

「え?そりゃあ小さな女の子見ませんでしたか?って」

「小さな女の子なんて世界中どこにでもいるぞ」

「そんなことないよ!少子高齢化社会なんだよ!?」

あんま関係ねーぞソレ。

「とにかく。それじゃ聞かれた方もわかんないだろ」

「そっかー」

「じゃあ、小さな女の子をかたっぱしから追いかけようよ」

「変質者だろそれ」

「じゃーどーすんのー」

そんなこと言われてもな・・・

「ねえ、不思議な力を持った女の子って言うのはどう?」

「あ、それいいねミント!」

「そりゃ名案だな」

確かにそれならいけそうだ。

「べ、別に名案って言われる程のことじゃないわよ・・・。それにアンタに言われても嬉しくないんだからっ!」

「はいはい。とりあえずそれで聞いて回ろうぜ」

俺達は道行く人に片っ端から聞いてみた。

「あの、この町に不思議な力のある女の子いませんか?」

「不思議な力・・・?シーラ様のことかい?」

「シーラ様?」

「そう。ほら、あそこに見える塔があるだろ?あの天辺で毎日お祈りしてるのがシーラ様だよ」

「不思議な力ってのは?」

「予知・・・だね。シーラ様の予知に何度町が救われたことか・・・」

「どうする美奈ちゃん?」

「とりあえず・・・行ってみるか」

その人に案内してもらい、俺達はシーラ様とかいうのがいる塔に向かった。


続く

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