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第一章「白い世界」

夢を見た


不思議な夢


真っ白な世界


鏡があった


大きな鏡


鏡に映る私


それは見慣れた私じゃない


あなたは誰?


私はあなた


あなたは私


私はあなたであなたも私


不思議な夢



               美奈









眠い。

昼間・・・というか常に眠い。

この異常な眠たさはやはり夜更かしのせいだろうか・・・。

視界に入るのは俺の前の席の奴の後ろ頭と相手を眠りにつかせる呪文を唱え続ける社会科担当の教師。

そしてその呪文を文章化して表示している黒板。

余計に眠くなる。

俺は河合晃かわいこう

中二。

自分で言うのもアレだが正確はわりと冷静。

とはいってもクールな訳じゃなく、簡単には取り乱さないとかそんな感じだ。

身長は少し高めだが最近伸びてない。

勉強、部活ともに無気力。

大した記録は一つも残してない。

そんな俺は今日も居眠りしながら社会の授業を・・・

ビッ!

風を切る音がする。

殺気を感じる。

俺は頭をあげ、瞬時に机の上の下敷きで顔を守った。

ドスッ!

下敷きに硬い何かがあたり、白い粉が散る。

「河合ィィッ!またお前かァァァッ!ワシの授業中に居眠りしとる愚か者はァァァッ!」

社会科担当。

通称 鬼畜翁きちくおきな

授業中に居眠りしたり他のことをする人間に凄まじいスピードのチョークを投げる。

そのチョークを完全に防げる者はいない。

唯一、俺を除いて。

「毎日毎日同じ場所に投げてたら簡単に防がれますよ先生」

「馬鹿たれッ!防ごうとするのはお前だけじゃッ!」

結局授業のあと職員室に連行。

追加の宿題と説教をたっぷりもらって俺は教室に帰った。

「お前もいい加減寝るのやめろよ」

帰ってきた俺にそう言ったのは須川智也すがわともや

俺の友人。

部活が同じで気も合う。

正確は温厚だが怒るときは怒る。

「今日は寝てないぜ。寝ようとしただけだ」

「一緒だろ」

須川は笑いながら言うと鞄の中に教科書等を詰めた。

「HR始まるぞ。お前も帰る用意しとけ」

「あいよ」

俺はロッカーまで鞄をとりに行った。


学校からの帰り道。

須川や他のみんなと馬鹿な話で盛り上がり、騒ぎながら帰る。

いつも通り。

家に帰ると俺はすぐに制服を脱いで風呂へ直行。

晩飯食って適当にネットサーフィン。

他の人より多い宿題を全てこなし、俺はベッドに入った。

書き取りの宿題が多すぎて指が痛い。

「眠く・・・ならないッ!」

授業中は眠いのにベッドの中は眠くないというイリュージョン。

こういう時は羊を数えると良いらしいが俺の場合は・・・

意表をついてやぎ。

やぎが一匹

やぎが二匹

やぎが三匹

羊も一匹

やぎが四匹

羊も二匹

うなぎが一匹

羊が五匹

うな丼が一杯

うな丼がいっぱい。

やべえ

うな丼がいっぱいだ!

腹減ってきた。

今日の晩飯足りなかったしな・・・。

意識が遠のいて行った。


夢?

これは・・・

目が開く。

ベッドから見える天井じゃない。

それ以前に・・・姿勢が違う。

地べたに座っている?

ただ座っているだけなのに違和感がある。

「ここは・・・」

白かった。

真っ白。

他には特になにも見当たらない。

「どうなってるんだ・・・?」

声に違和感がある。

辺りを見回した。

頭をふると何かが頬をくすぐる。

髪・・・か?

頬をくすぐる何かにそっと触れる。

サラサラした感触。

「こんなに髪長かったか?俺・・・」

鏡があると助かるのだが・・・。

そう思った途端目の前に鏡らしき物。

流石夢。

俺の夢。

思い通りだぜ。

明晰夢ってやつだろ?

今の自分を確認したらとりあえず鬼畜翁でも召喚して日頃の恨みを晴らすとするか・・・

そんなくだらないことを考えながら鏡に近づく。

「は・・・・?」

腰まで伸びたサラサラの長い髪。

ほんのり膨らんだ胸。

華奢な体つき。

かわいらしい大きな瞳。

赤いブレザーにミニスカート。

これらの特徴が導き出す結論。

「何で女になってんだよ」


続く

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