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救援要請

 俺が目の前に映る計器類を眺めてると、夏木さんの声が聞こえてきた。そう言えば夏木さんはスーツにタイトスカートでピンヒールを履いているけど支障は無いのだろうか。


「一号機。動ける」

「一号機って?」

「菱木君、貴方のことよ」


 手や足を動かすと違和感なく自分の体をトレースして動いてくれる。


「そうですね。動けそうです」

「そう。自分の思う通りに動くけど、足の位置なんかが違うから少し慣れが必要ね」


 足は地上から20cm程度浮いた感じになっている。足踏みをすると、昔遊んでいた竹馬の様な感覚に近い感じがした。小さい頃にアニメで見ていたロボットに乗り込んでいるような気がして少し楽しい。


「じゃあ。出発するわ。貴方は道案内を。私は歩きながらサポートするわ」

「えっ? 何も持ってないけど」

「必要ないでしょ? 基地に行くだけなんだから」


 一抹の不安を感じ俺のバックパックが背負った。肩紐を目一杯伸ばしてやっと背負える。


「社長。行ってきます。後は宜しくお願いします」

「わかった」


 トレーラーを施錠して歩き始めた。


「どう?」

「スムーズに歩けますね。軽い感じがします」

「まあ、隘路進軍や建物内部に潜入を目的として設計してるから」


 崩落した土砂を乗り越えながらジャンプしたり、しゃがんだり試しながら歩いて行く。


「……おかしいわね」

「どうしたんですか? この状況でそんなこと言われるとなんか怖いんですけど」

「GPSが動かないわ。それに衛星電話電波も拾えないようね」

「山間部だからじゃないですかね」


 夏木さんは黙り込んだ。


 俺は先を進み道路の痕跡を探すが見当たらない。

 原生林が生い茂っていて視界が利かないが、ありそうな気配がしない。


「やっぱり道路が無いですね」

「……取り敢えず基地がある方向に進みましょう」


 俺は下草があまり生えていない場所を選び進んでいくが藪がすごくてなかなか前に進めない。


「……このスーツは水に濡れても大丈夫なんですか?」

「大丈夫よ。なんなら潜水しても1時間程度は問題ないわ」

「そんなに?」

「ええ。対BC(生物・化学)兵器も考慮されているから。でもなんで水のことを?」

「川を伝いましょう。このまま藪漕ぎしてると時間ばっかり掛かります。道路の痕跡も一切見当たらない以上、ここを通る意味が無いです。ちょっと遠回りになりますけどね」


 休暇をエンジョイするためにこの辺に流れている川を地図で調べたのが役に立っている。等高線を見る限りそれほど滝や難所は無いはずだ。

 川に降りて川底を走る。水の抵抗を殆ど感じずに走れる。


「これ凄いですね」

「当然でしょう? 私がエンジニアとして設計したのよ。乗務員の負荷なく平地なら時速12kmで走れるわ」


 ロボットの話題を振ると得意気に説明してくれるが、あまり相手にすると疲れそうなので軽く受け流す。

 流れが急になってきたところで落差10mぐらいの崖が出てきた。


「夏木さん。これは飛び降りても平気なの?」

「……これぐらいだったら行けるわ。あまり何度もやりたくないけど」


 3階建の高さからジャンプして飛び降りる。

 ドンっと振動が体に伝わってくるが、さほどダメージを受けた感じはしない。


「うわ〜凄いわ。全然振動が伝わって来ないですね」

「当たり前よ。私が設計して、組立もメンテナンスもしたのよ。5階から飛び降りられるのが設計要件だわ」

「さようですか」


 外見は重そうに見えるが、それ程重くないらしい。総重量約120kg。人が乗って200kg位。外装はチタン化合物で出来ていてM2重機関銃やM307で撃たれても結構保つらしい。……この結構ってのが曖昧で良く分からんが。


 川の流れが緩やかになり、川岸も広く走りやすい場所に出た。

 ここからは基地までそれ程距離は無いはずだ。スピードを上げて走りだした。

※M2重機関銃

 ブローニングM2重機関銃は、ジョン・ブローニングが第一次世界大戦末期に開発した重機関銃である。

M2がアメリカ軍に制式採用されたのは1933年であるが、信頼性や完成度の高さから現在でも世界各国で生産と配備が継続されている。 Wikipediaより


※M307

 現行品はXM307(X番は試作機)ですが本作ではM2の後継機として採用され、M2から順次切り替えていくとされています。ですが、まだまだM2は信頼性が高く現役となってます。

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