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望んだ絵
三つ目の断片
あたしは画用紙に、頭のなかでイメージした絵を描き出した。
彼が望んだ、『白い雲と蒼い空と草木』の絵を。
雲のような白い画用紙に、蒼と緑で彩っていく。
彼の喜ぶ顔を思いながら。
彼のことを考えていると、時が立つのを忘れてしまう。
描いた絵が完成し、辺りを見ると、窓には夕暮れの光が差し込んでいた。
あたしはびっくりした。
こんな時間になるまで、絵を描いていたことに。
絵を描くのに、自分が思っていた以上に、夢中でいたことに。
この絵を渡すのは明日にしよう。
あたしはそう心に秘めると、今日の夜が早く明けるように祈った――。
まだ断片はありますよ?