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花と約束の絵
二つ目の断片
「お花、絵だけど描いてきたよ」
約束した次の日、あたしは画用紙に描いた絵を持って彼の部屋に行った。
「……お花の絵? ……ありがとう」
「……本物じゃなくて、ごめんね」
あたしは彼に謝る。
本物じゃなくて、絵に描いた偽物だから。
「……ううん、困らせちゃったのはこっちだから、……気にしないよ」
彼は絵を受け取るとら、泣き微笑んで許してくれた。
「絵で良かったら、いっぱい描くね」
絵を描くことで彼が喜んでくれるなら、あたしは頑張れる。
それしか、あたしは彼を喜ばせられないから。
「……楽しみにしてるね」
彼が微笑みながら言った。
「次は、どんな絵がいい?」
あたしは彼に聞いた。
「……雲の絵がいい。蒼い空と……白い雲の絵」
「あと、草花の色も……」と付け加えて、彼は言った。
「描いてきてあげるね」
あたしは昨日と同じように指切りげんまんをして、彼の部屋を出た。
頭の中に描いたイメージを、消えないうちに画用紙に描き出すために――。
まだ断片はありますよ?