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砂時計
人は気づかない。あるいは、気づこうとしないのか。
自らの舌が吐く正論が、相手の心を抉るだけの暴論という刃になっていることを。
砂時計に封じられた、生命という砂が深淵へと落ちてゆく。
依存から喪失へと。
正気から狂気へと。
存在から虚構へと。
返されざる砂時計。
死から生へと至ることは、禁忌であり成し得ない呪われし法。
嗚呼…暴論という刃が、心を抉り続けられる。
無自覚的に、己の正義に酩酊して。
己が愚行を成している時は解せずに。
己が蛮行に気づいた時には既に手遅れ。
正義の酩酊は、罪悪という断ち切らざる鎖へと変わり。
己の持つ砂時計が落ちきる時まで、
自らを攻め続ける。
無自覚的に成した罪には、
砂時計の砂が落ちきらない限り
誰も彼も逃れられない。