ケルベロスを倒しましょう。
ようやく、ケルベロス初戦闘です。
俺は油断していた。威嚇という、絶対的な必殺技を手に入れたことによって勝利を確信していた。
「うわっ」
俺は忘れていた、記憶はないが知識はある元いた世界とこの世界は同じ。
死んだら終わり、ということを。
確かに、さっきまでは20m近く遠くにいたはずの、ケルベロスが一瞬でこちらまで移動してきた。
ヤバイ、威嚇をする暇がなかった。しかも、近くで見れば見る程大きい。近くにいるだけでちびりそうだ。
ケルベロスはそんな俺にも、容赦無く攻撃してくる。
まず恐らく俺なら当たっただけでバターみたいに、真っ二つにされてしまうであろう、馬鹿でかい爪で引っ掻いてくる。
どうする…俺…威嚇をする時間すらない。ブロウの野郎簡単に勝てるとか言ってたけど、絶対無理だろうこれは。
よしっ、逃げよう。
俺がこの結論をだすまで、0.02秒。
ケルベロスが爪を振りかざすとともに、俺はケルベロスに背を向けて、走りだす。
俺の考えは一つ、ケルベロスからなんとか逃げて、ケルベロスがバテるのを待つ、ばてたら威嚇で倒す。
つまり勝ち目の無い戦いなら最初から逃げようと、考えた。
とにかく、走る走る走る。ケルベロスからそう簡単に逃げられるはずが無い。実際さっきは一瞬で目の前まで移動された。
だが、俺には究極の逃げるためだけのスキルがある。
ビビりの王 逃げる時だけ敏速が千倍になる。
今考えれば、このスキルはかなり強いと思う。なぜなら、体力を全く消費せずに発動できるからだ。
なら、絶対勝てない相手でも逃げることだけは可能にできる。
そう考えてた時期も俺にはありました。
とにかく走り、俺はケルベロスとの距離をあける。恐らく70mくらい離れただろう。
そう思い顔をあげて見た瞬間。奴は当然の様に目の前にいました。しかも、犬だからよくわからないけど、恐らく笑顔で。
どうやら、彼は俺が動く方向に先回りして待っていてくれたみたいです。後ろから攻撃しないなんてナンテイイコカシラ。
俺が、顔を真っ青にして固まっていると。観客席の方から叫び声が聞こえた。
「剛!今だ!今こそあの技を使え!」
そうだ!この犬っころが油断している今こそ我が究極奥義を使う時だ!
くらえ、今日から貴様はこの国最強の魔物ではなくなるだろう!この鬼神王剛さまによってな!
…よく考えたら鬼神王ってなんだ。鬼の神の王?
「まあ、いい…威嚇ううううゥ!」
俺は、最強、強い強い強い。強い!
バキバキバキバキ
瞬間、ケルベロスが泡を吹いてぶっ倒れた。
同時に、観客席にいた人たちも何人か。
「おお、ナンジャあれは!凄い!凄いぞ剛!」
そうだろう、王様。俺が本気出せばこんなもんだ。
「逃げてばっかりの弱虫ではなかったのですねぇ。」
王女さま、何気に酷い。大声でそんなこと言うなよ。
そんなんで、俺の初戦は終わった。
戦いが終わって突っ立っていると、何人かの兵士が俺の所にきた。
「勇者さま、このまま王室へと移動しやす」
誰かと思ったらハゲだった。ハゲが、鼻ほじりながらダルそうに言ってくる。
うざかったから、ハゲに分からないように俺の髪の毛数本抜いてハゲの頭に付けてやった。
王室は、今日見た部屋の中でも最も豪華な部屋だった。
「おお、剛!さっきは見事な戦いじゃった!」
「そうですよ!剛さん、あのケルベロス相手に威嚇だけで勝てるなんて先代勇者さまくらいしかできない芸当ですよ!」
部屋に入った瞬間、王様と姫様がこっちに向かって詰め寄ってきた。
「ありがとうございます」
褒められたら、素直にお礼を言う。それが、俺のやり方。
「あっ、そうじゃ!剛よ!見よ!あやつこそが、かつては勇者として1000を超える魔物をたった一人で倒し、今は先代勇者として剣神クイント、龍王狩りの山内、殺人鬼木崎、死神殺しのチェットなど多くの英雄を育てた生きる伝説!彼こそが世界の覇者山本 和幸じゃああぁ!ハァハァハァハァ」
長ぇよ、どんだけ前置き長いんだよ、逆に雑魚臭がしているんだよ!だいたい殺人鬼ってただの犯罪者だろ二つな変な奴ばっかだし…王様もハァハァ息を乱す程叫ぶなよ、ノリノリすぎてちょっと引くから。
「今紹介されたとおり俺が、世界の覇者こと山本 和幸だ。よろしく頼む」
その男 山本 和幸、彼を見た瞬間、俺は信じられないほどの恐怖に襲われた。
「気持ち悪い、顔ですね」
あまりの恐怖に、俺はつい言ってしまった。その時思ったことをそのまんま世界の覇者こと山本 和幸に、すなわち世界最強と言われてる男に。
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