勇者の俺と王子のあいつ
4話です。
入ってきたのは、イケメンと美少女だった。
何者だ?
二人ともブレザーを着ているから学生か?
美少女の方は肩まで伸ばした髪と瞳の色が茶色で、まだ幼さを感じられるが目がぱっちりとした端正な顔立ちをしている。胸はあまりない…
イケメンは短い黒髪キリッとした黒い目、爽やか系の雰囲気をしている。背も俺よりデカイ。
「父上!私が帰ってくるまで勇者召喚しないって言ってたのに!バカ」
入って来るなり叫ぶ美少女、うるせぇな。
王様を父上と読んだってことは…お姫様か…イケメンの方は王子かな?
「許せ娘よ!待ちきれなかったんじゃ!」
おい、王様もなに言ってんだ!何が待ち切れなかっただ…勝手に召喚された俺の身にもなってみろ!
でもあれ…俺はここにくる前何やってたんだっけ?なんか記憶が曖昧だな…
よく考えたら、自分の名前と年しか思い出せない!何故だ!これも後で考えないと…
いや、後に回すことじゃあないよな…でも今はケルベロスが先だ!
俺が考えてる間にも姫と王様は言い争いをしていた様だ。
「これから、剛が闘技場でケルベロスとの戦いを見せてくれるんじゃよ!ワシが企画したのじゃ!」
「やった〜、勇者とケルベロスの戦いを見れるなんて!父上ありがとう!」
おい、俺を娘のご機嫌取りに使うな!多分命がけなんだぞ!いや死ぬかもしれないんだぞ!
「よしっ、父上!母上!早く闘技場に移動しましょ!」
「はいはい、今行きますよ」「よぉ〜し、いくぞぉ〜」
女王が初めて喋った…
スタスタといなくなる王様達、ついて行く兵士達。ほとんどの人間がこの部屋から出て行った。
残っているのは、恐らく俺を闘技場へ案内する兵士数名、そして俺とイケメン学生だけ。
イケメンが俺の方に向かって来た。近くで見ればさらにイケメンだ…なんか悔しいな…
「初めまして、勇者剛様。私はこの国レンズ国の王子のレンズ ブロウと申します。」
何だよコイツ!ただの挨拶が様になってる!俺の方にお辞儀をしてるその様は、俺なんかよりよっぽど勇者に適してる気がする。
よしっ、俺もかっこいい挨拶をしよう。
「フッ、よろしくなブロウ」
今のちょっと痛いな…
ブロウは顔をあげて「よろしく」と言った。
「剛さま「剛でいい」
様とかそういうの王子に付けられんの恥ずかしいし、むしろ俺が付けるべきだし。
「なら、剛。剛の年は?」
ほとんど思い出せないが…確か、記憶が正しければ…
「13歳だ」
「俺も13だ同い年だな剛」
「そうだな」
「で、剛これから、ケルベロスと戦うんだってな」
そうだ、ここで話してる場合じゃなかった!ケルベロスを倒す方法を考えないと!
「それでだ、勇者と言え剛は初めての戦いだから分からないことも多く、辛い戦いだと思う。」
分からないことが無くても辛いです、多分。
「だから、俺に一つ手助けをさせてくれないか?」
ヒロインっぽい、お姫様はほぼ出番なし!彼女の出番はまた今度です。
感想アドバイス等ありましたらよろしくお願い申し上げます。