お姫様の恋の話Ⅵ
それから崩れていくのは簡単だった。
抑えていたものが一気に私の中からあふれ出した。
独占欲か執着心なのか、私がこんなに苦しんでいるというのにどうしてジーナは気が付かないの?
…わかっている。
本当は私は分かっているの。
私にとってジーナは運命の人
だけど、ジーナは私と「恋」しようとは思っていない。
私はジーナにとって「恋」の運命の人ではないのだ。
ジーナは父やエスメラルダのような関係に憧れている。
私も同じなのだと思い込んでいる。
そんな私たちがその関係になろうだなんて無理なのだ。
求めているものが違う
…はじめから関係は破綻しているのだ。
この狂おしい愛情を抑えきれない。
私は求めすぎたのだろうか?
ジーナは知らない。私がもう夜眠れないことを
けどジーナは朝になれば私に会いに来る。
エスメラルダのように笑ってやってくる。
今日の私は朝が来れば笑えるだろうか?
ジーナを見て何もなかったかのように笑えるだろうか?
うとうとと朝が近くにって訪れる眠気に少しでも体を休めようとする私は夢を見た。
昔一度だけエスメラルダに声をかけられたときの夢を見た。
私から彼女と話したことはない。
いつも遠くから見ていただけ。
お母様を不幸にする女を黙ったまま睨みつけることだけで精いっぱいだった。
ある日そんな私にエスメラルダは近づいてきた。
「私の陛下のお姫様、貴方はどうしてそんなに私をにらむのかしら?」
「私の陛下」そこを強調するようにいうエスメラルダに私は睨むつけることをやめられなかった。
「陛下の幸せは私の幸せ、だったら、私の幸せは陛下の幸せじゃないかしら?そうね、そうだわ」
エスメラルダはそういって一人納得してもう私の存在なんか忘れたようにお父様のところに行こうとしている。
ただそれだけの邂逅だった。
けどこの夢のエスメラルダは気まぐれに私の方に振り向くとこういった。
「ねぇ私の陛下のお姫様。貴方の幸せはジーナの幸せよ、ジーナの幸せは貴方の幸せ。好きにすればいいじゃない。それは幸せにつながるのなら」
綺麗な笑顔でエスメラルダはそう言い切ると私の手に何かを押し付けるともう振り向くことはなかった。
私は嫌な汗と共に朝を迎えた。
そして手には見覚えのない短剣を握りしめていた。




