お姫様の恋の話ⅴ
あの子と結婚したジーナは幸せそうだった。
けど、やはり私たちの関係は変わらなかった。
笑顔で私に会いくるジーナを見ていれば、私の気持ちを分かっていないジーナに怒りが込み上げてくる。
けど、このまま私とジーナのためにこの関係を終わらせようか?
「ねぇ、ジーナ。私たちはこのままでいいのかしら…私も近々は伴侶を得ると思うわ。そうなれば今までのようにはいかないわ。貴方も妻を得たのだしもう終わりにしましょう」
断腸の様な思いでジーナに告げたというのにジーナは困ったように笑う。
「どうしてそんなことを言うんだい、僕のお姫様は?僕は君に会いたいんだ。君に会えないなんて耐えられない。僕のお姫様、こんなに君を求めて愛しているというのに僕を捨てようとするんだい?」
ほら、ずるい。
そんなことを言われてしまえばもう私が何も言えないことなんてジーナは知っているのだ。
けどね、ジーナは気が付いている?
私は貴方が求めているエスメラルダでもお父様でもない。
ただ貴方に恋をする愚かな女でしかないのよ。
*********
その日の夜会はジーナとその妻が連れ添って現れた。
その仲睦まじく寄り添う二人に私の周囲が私を気にして気にかけてくれるようだが、そんなことも厭わしかった。
その寄り添う相手がなぜ私ではないかなど夜会が始まった時から考えている。
そんな二人に私は笑顔を張り付けて近づく。
周囲が少しざわつき、私たちを見ていることはその視線の多さで嫌でも気が付く。
ほらあの子は不安げにジーナの服の袖をもってジーナを見ている。
苛立つ。
あの子を安心させるように頭を軽く撫でたジーナにもむかついた。
ほら安心したように笑うあの子にはもっと苛立った。
そんな二人を見ていれば私の存在などいらないものだと思い知らされるのだ。
ああみじめだ。
あの子は私を不安そうに見るけど貴方は勝者だ。
ジーナを手に入れたあなたが心底うらやましい。
私の運命の人を奪った憎い相手。
ねぇ、貴方にとってジーナは運命の相手なのかしら?
そうでないのならばどうか私にジーナを返してくれない?
ジーナを私のものにしたい。誰にも渡したくない。
最近の私の頭の中はこのことばかり
そう思う一方心の片隅にいるもう一人の冷静な私は言うのだ。
貴方は何をしているのと…
国の頂点に立ちはずのあなたはいったい何をしているのと、それだけが私を狂気から遠ざけてくれる。
けど、本当はもうこんなこと終わりにしたかった。
貴方を想い、貴方のことで心かき回されるこの生活に私は終わりを求めていた。
だからだろうか、最後の砦さえも決壊したのは何気ない会話でだった。
「何で結婚したかって、うーん?妻のことを初めて見た時、ああ僕はこの子と結婚するんだって運命だと感じたからかな」
ジーナ口から『運命』という言葉を聞いた時だった




