陛下の話Ⅲ
エスメラルダに毒を飲ませたのは王妃の侍女だった。
罪の重さに耐えかねて俺に直談判しに来たのだ。
殺そうとした理由は簡単だった。
俺を愛していたそうだ。
それだけの理由で俺は永遠にエスメラルダを失った。
強い怒りにめまいを感じた。
尋問によってより詳しい理由がわかった。
侍女は王妃を敬愛していたため俺への思いを秘めていたそうだが、エスメラルダの存在が許せなかったそうだ。
王妃がいるというのにエスメラルダの存在を黙認する俺への怒りや王妃の敬愛と俺への思いへ日に日に歪んだ結果が彼女に向かった。
わかってしまえばどうとでもない。巷に転がる小説の中身のようだ。
一人執務室の椅子に腰をかけ目を閉じた。
もう何もかもがおかしくなってしまった。
君がいなくなっただけなのに…
あの日の出会いは過ちだったのか
寂しさも孤独もすべては君が受け止めてくれた。
俺に欠けていたのは君だった。
君がいなくなっただけで、俺は動けなくなってしまった。
君とだけはサヨナラできない。諦めきれない。
離れて気が付いたんだ。
君に出合い、信頼できる相手の安心感を知った。
人を愛したいと思った。
けど、誰よりも君を大事に大事にしていたのに…
欠けた君の存在を埋められるものはいない。




