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ACT7.青年は少女に解される

 何だっていい、土下座をするチャンスだ!

 無理をしない程度に剣と魔法の鍛錬を済ませ、留年しない程度に魔法学校の授業に出席し、後は適当な場所に居座っては昼寝に勤しむ。ルーク=ウォルコットの日常は大体がこの流れに沿っていた。

 近衛騎士団の団長であるパーパスを父親に持つ彼は、魔法学校に大きな期待を寄せられて入学したわけなのだが、蓋を開けてみれば不良学生とすら呼ばれる始末。どこぞの皇子の放蕩癖に影響されたか、などと陰口を叩かれる事も多いが本人は至って気にしていない。

 学校にはあくまでも親に対する義理で通っているのであって、決して自ら行きたいと志願したわけではない。卒業はしてやるがその経過など知るものか、ルークは以前から何度もそうパーパスに宣言していた。

 学校側からしてみても、なまじ腕が立ち成績も優秀なだけに何も言えない。

 剣の腕は親の才能を十二分に受け継いでいて、入学当初から相手になる者は一人としておらず、魔法に関しても類稀なる才能を持っている。本人が興味を示さないために使える種類は少ないが、確かに彼は身体強化と風、後は結界構築に関してのエキスパートだ。

 身体強化と元の能力によって生み出される斬撃、それをサポートする風の魔法、更にはただ小煩い追手から逃げるためだけに学んだ結界。これら全てが上手いように彼を接近戦の鬼として仕立て上げていた。


 さて、今日も今日とてルークはそこらの民家の屋根を借りて、見つからないように結界を張りながら昼寝に勤しんでいた。

 時刻は昼の手前で、そろそろ小腹が空いてくる頃合い。静かに寝息を立てていた彼はむくりと起き上がると、上空から照りつける陽射しに目を細めて大きく一つ欠伸をする。

 今日は魔法学校も休日なので授業は無い。しかし屋敷には戻りたくないので、どこかで外食をしなければならない。だが、その候補はどうしても限られてしまう。

 まず第一に、ルークは身分上それなりに顔の知られた有名人なので、巷に顔を出せばそこから父に居場所が割れることだろう。そうなれば屋敷に連れ戻されるのは必至、考えうる限り最悪の結果だ。

 第二に、単純に人の集まる場所が嫌いなので、そういった場所に行きたくない。決して人付き合いが苦手というわけではないが、それでも彼は喧騒がとにかく嫌いだった。

 普段なら事前に食料を調達しておくのだが、残念ながら今日はつい失念してしまっていた。ならば、どうしても結界の外に繰り出さなければならないのだが──


「……チッ」


 舌打ち一つ、ルークはまたその場に仰向けで寝転がってしまう。今日はどうにも、動く気になれない。

 兄と呼び慕っていた男が消えて既に四年が経ち、ルーク自身もそろそろ十六歳の立派な青年と言える年齢になった。あどけなさを残した絶大な美形に、歳不相応の実力。人からは成長目覚ましいと持て囃されている。

 だが、彼の前には壁が立っていた。それは四年前から立ち塞がり続ける大きな大きな壁で、どう足掻いたとしても乗り越えられない分厚く高い壁。叩いてもただ鈍い音を出して衝撃を吸収してしまうような。

 ランスリー=ブレーブスという壁が、ずっとルークを前に進ませようとしてくれない。あの、裏切り者が。

 恨んでいる、怒っている。自分に魔法を教えると言って戦場へと旅立ち、そのまま消えていった大魔導師に対して。約束を守れもしない男をこの手で探し出して捕らえてやりたい。

 そんな思いに駆られながらも、ルークは実際にランスリーを探そうとはしていない。ランスリーは、まだ彼にとって慕うべき兄のままなのだから。

 しかし、だがしかし、あの約束は確かに才能溢れる青年に枷を付けていた。複雑な感情を抱かせ、必要以上に魔法を学ばせない呪いのような枷。あまりにも重すぎる。

 何よりもこの枷は、ルークの心に大きな重圧を与えている。


「……クソッ!!」


 モヤモヤとした感情に任せて上体を跳ね起こし、悪態をついて握り拳で屋根を叩く。ガンッと音が立ち手に痛みが走るが、屋根には傷一つ付いていない。

 ここ最近は、ずっと苛立ち通しだ。幻影として目の前に居続ける男を憎みきれない自分に腹が立ち、自己嫌悪に陥る。そしてその度に、心のどこかで英雄を求めている事に気が付いて愕然とする。その繰り返しだ。

 こんな連鎖からは、早く抜け出さなければならない。


 強迫観念染みた思いに蓋をして、答えを出さないままぼんやりと空を見上げてみた。雲は、流されるままに空を流れている。あの果てにまで行った事はない、行ってみたいとは何度も何度も想っているというのに。

 空へ行くために覚えた風の魔法は、既に自由自在に宙を飛び回る事が可能な程度には洗練されている。無理をすればもしかすると、雲ぐらいまでは届くのだろうか。それでも、試してみようとはどうしても思えなかった。

 何で行こうと思えないのか、そもそもどうして空に憧れたのか、それすらも分からない。ただもしかするならば、まるで空に浮かぶ羽のようなあの男に、


「こらー! そこのイケメン、人んちの屋根叩くなー!!」


 思考を中断させられる声がした。


「ん?」

「ん、じゃなくて。誰か知らないけど非常識なやつだなー」


 架けられたハシゴを登って来た人物、それは綺麗な赤い髪の、ルークより少し年下かと思われる少女だった。家主の娘らしきその少女は、頬を膨らませて怒った様子でルークへと近づいて来る。

 心当たりはあった。


「サーニャ=ウィークスだろ。ラウルさんの娘の」

「へっ? 何であたしの名前知ってるの、ストーカー?」

「阿呆か。……ルークだ、パーパス=ウォルコットの息子の」

「あぁ、父ちゃんの友達のー!」


 なるほどと手を叩き、サーニャは数度大袈裟に頷いてみせた。怒っていたかと思えば、今度は満足そうに笑っている。父から聞いた通りだと納得し、ルークは試しに自分から話を進めてみた。


「屋根に関しては悪かった、ついイライラしてしまったんだ。事後承諾で更に悪いが、ちょっとここを貸してくれ」

「ん、素直に謝ったのなら許すよ、イケメンだし。でも何でこんなとこに?」

「……家は嫌いなんだ。昼寝する場所を探していたら、ここに着いた」

「なーにそれ」


 ケラケラと楽しそうに笑うサーニャに、ルークはどうにも言えない好感を覚えた。どうやら純粋で表裏の無い娘のようだ、恐らくは信用の置ける人物。一言で評価するならば、良い娘に尽きる。

 しかし、どうしても聞いておかなければならない疑問もあった。


「お前、どうしてここに上がって来たんだ?」

「えっ? どうしてって、叩いて音がしたからに決まってるじゃん」

「……へぇ」


 あり得ない事だ。この屋根に張られている結界は、内部からの音を遮断してルークの姿を隠してしまうもの。つまり、サーニャがルークの存在に気付く筈がない。

 だというのに、この少女は『音がした』とハッキリ言ってみせた。それはつまり、


(こいつ、潜在的にとんでもない才能を持っているな)


 流石はラウル=ウィークスの娘だ。ニヤリと笑ったルークはサーニャに興味を持ち、これが切っ掛けとなって二人は関係を深めていくこととなる。

 騎士の息子と、八百屋の娘。アンバランスだが、何故か引き合わされたかのように。



     ☆



「たまにはこういうのも良いんじゃないかと思うんだけどさー」

「黒か……暗い色は似合わないんじゃないか?」

「そーかな、案外ってこともあるかもよ?」


 もしかしてみれば、これは所謂デートと呼ばれるものではないのだろうか。ルークの頭にそんな考えが浮かび始めたのは、昼食の対価として買い物に付き合えと要求され、街一番の規模を誇る服屋だというヘンメルに連れて来られて三十分が経過した頃だ。

 ハンガーにかかった女性用の服を見せびらかすようにして両手に持ちながら目の前に立つ少女、相変わらず朗らかな笑顔をたゆたえたサーニャはとても機嫌が良いらしい。先程から、冬物の服を物色し続けている。

 正確に言うならば、機嫌が良いのはここ最近ずっとの事だろうか。常にニコニコと笑っているのはいつもの通りではあるのだが、少し前からその笑顔には更に深みが増していた。

 理由に関しては概ね察しは付いている、それでも気にしないようにした。ほんのりと漂ってくる魔力の香りに思うところはあっても、それと自分との付き合いは関係無いのだから。

 深く聞き出すことも、しない。


「ルークもさー、いつもおんなじ服ばっか着てるのはホント勿体無いよ。そんなに良い顔してるんだし、もっと良いの着ないと」

「別に良いだろ、そんなに気にすることもない。それよりもほら、貸せ」


 それよりも問題は、サーニャが店に入ってからの三十分を全て最初の服選びに費やしてしまっているところだ。女性の買い物が長いとは知識として持っていたはずなのだが、いざ体験してみると中々精神的に来るものがある。

 二つのどちらを買うのか迷うぐらいならば、両方買ってしまえばいい。女性との買い物は初めてなルークはそんな考えに至り、ムンズとサーニャの手から服を掴み取って会計を済ませようと歩き出す。

 しかし、当然ながら待ったをかける声があった。


「こーら、流石にそれは無いって」

「何でだ、迷うぐらいなら両方買えばいいだろ」

「わかってないなー」


 やれやれと首を振って両手を広げながら、サーニャは言う。


「こういうのは服を買う事じゃなくて、選ぶ事を楽しむもんなんだって。それが女の子の楽しみ方ってやつなんだよー」

「……そういうものなのか?」

「そういうもんなの」


 心底わけがわからないと、ルークは首を傾げた。

 人と深く付き合った事が無いとは言わないが、そんな経験が少ない彼は同時に異性に対する接し方も知らない。関わりの深い人物といえば家族に王宮の一部の人間、ウィークス家、そしてどこぞの放蕩英雄。それぐらいのものだ。だから、女性に対する気配りなんて、特に服を選ぶ人に対する正しい行動などわかるわけがない。

 しかし、サーニャが言うのならば間違いないのだろう。彼女に対しては盲目と化しているルークは、あっさりとそう信じてしまった。


「ならこの場合、俺はどうすればいい?」

「簡単なことだよ、どっちがあたしにどっちが似合うか教えてくれればいの」

「それだけでいいのか?」

「それだけでいいの」


 そうか、と無表情のまま一言呟いたかと思えば、ルークは特に考える素振りも見せずに右手に持った服を前に差し出した。

 それは黒を基調として二の腕部分が青に着色されている大人びたワンピースで、肩の部分を露出させつつ柔らかな生地を使うことで落ち着きながらもスポーティーな雰囲気が醸し出されているものだ。普段、サーニャがこのような服を着ることはない。


「黒は似合わないんじゃなかったの?」

「案外、っていうこともあるんだろ。それに、こういうのを着てるところも見てみたいからな」

「……ルークってさ、ずるいよね」

「何の話だ」


 特に深い意味もなく見てみたいなどとほざいてみせたルークは、顔を赤らめてそっぽを向くサーニャがどうしてしまったのかわからず、ただその場で首を傾げた。

 顔も髪も綺麗な赤だな、などと考えつつも場を取り持つために沈黙を打ち破って言う。


「どうする、まだ他のも気になるなら見に行くか?」

「……それでいい」

「ん、そうか。なら会計をしてくる」

「いやいやいや、さっきから何でナチュラルにルークが買おうとしてるのさ。自分で買うから大丈夫だって!」


 わたわたと両手を振って、林檎のように赤面したままワンピースを奪い取ろうとするサーニャを制し、更にルークは笑いながら続ける。


「普段世話になってるんだ、これぐらいの恩を返しても罰は当たらないだろ」

「でもさ、その普段でもお土産とかもらってるよ?」

「それは人の家に行く時の一般常識だ」


 様子のおかしいサーニャではあるが、どうやらこの一点に関しては譲るつもりが無いらしい。途端に動揺していたのが嘘かのように正気を取り戻し、自分で買うと主張し続けている。


「こういうのは男の、それに歳上の仕事だ。黙って奢られてろ」

「だからさー、いっつもそれじゃ悪いって。別にそんな困ってるわけじゃないし」


 折れないサーニャに、今度はルークが困りだす。これは良い恰好をしておきたいという意地のようなものだ、だがそれを相手にどうやって伝えるべきだろうか。

 語彙の乏しい彼は、仕方なくそのまま自分の考えを伝えることにした。


「まぁ……何だ。チャチな男のプライドを尊重してくれないか?」

「何それ、サボり魔ルークにもそんなのあるんだ」

「おい待て、それは関係無いだろ」

「いいって言ってる相手に無理矢理奢ろうとするのは失礼、一般常識だよなー」

「いてっ……」


 額に感じた痛みに顔をしかめ、ルークは思わずその場で一歩後ずさった。

 サーニャの身体能力は元から同年代の少女のそれを遥かに凌駕しているが、最近は更にメキメキとその力を強めているようだった。本人曰く、働いている内に自然とそうなったとの話だ。

 しかし、ただ農作業に勤しむようになっただけで、ここまで急激に身体が鍛えられるものなのだろうか。たった今受けたデコピンは手加減をしていたはずだというのに、魔法学校内で最強の名を欲しいままにしている男の足を軽くとはいえ動かさせた。つまり、生半可な威力ではない。

 この力、果たして身体能力の一点によるものだけなのだろうか。閉じかけた目を開けてしっかりとサーニャを見据えてみると、そこにはやはり他の要因の名残が存在していた。


(右手に残留魔力。本当に僅かだが、無意識の内に身体強化を使ってたか)


 サーニャは、魔法について一切の手ほどきを受けていない筈だ。そして本人の言葉を信じるのならば、彼女が手伝っている農園では魔法を身体強化ですら使わないようにしているという。ならば、どこでこのような魔法の使い方を覚えたのだろうか。

 答えは一つしかない。彼女が時たまに付き合うルークの鍛錬の様子を見て、目で会得したのだ。

 思わず、ルークは生唾を飲み込んだ。

 本当に自分の魔法を見ただけで身体強化を学んだのだとしたら、それは何という才能なのだろうか。かの大魔導士、英雄にすら匹敵する力がサーニャの中には眠っているということになる。

 もし、この娘に一から魔法を叩き込んだらどうなるのか。もしかしたら自分などでは想像すらも出来ないような使い手に成長してしまい、第二の英雄と呼ばれる存在にすらなりえる。


(それは、嫌だな)


 何故かはわからない。それでもサーニャが国によって祭り上げられるであろう姿を想像してみると、どす黒い感情が胸中を支配した。

 独占欲、嫉妬。そう呼ばれるものが自分の中に生まれていることが、ルークには理解出来なかった。


「あっ……ルーク、痛かった?」

「いや、大丈夫だ。そんな細指一本の攻撃が俺に効くわけないだろ」

「むー、何かムカつく。もう一発当てるぞー!」


 もう一発と言いながら拳を振り上げて襲い掛かって来るサーニャを軽くあしらいながら、ルークは声を上げて笑う。

 魔法の才能だとか、誰かと関係を持っているだとか、そんな事はよくよく考えずともどうでもいい事だ。結局は彼女とこうやって笑い合いながら過ごしているこの一瞬が自分は好きで、最も大切に思っているのだろう。

 ならば、もう気にするものではない。


 左足に受けたローキックにまた顔をしかめたルークは、二人を見つめていた視線が消えていることに終ぞ気が付かなかった。





「五年ぶりだけどさ、そりゃあもう見るだけで立派になったっていうのがわかって。サーニャと一緒にいたのは予想外だったけどそんな事はどうでもいい、それよりもどうさあのスラッとした体格に溢れる魔力に整った顔立ち。生まれた時からこいつは他とは違うって思ってたけど、まさかあそこまで順調に成長してくれてるなんて想像以上だった。考えてもみなよ、あのパーパスの息子だよ。あの鬼の、あのファッキン厳つい大王様の。それがどうさあの突然変異、僕以上に王族の雰囲気を垂れ流してるじゃないか。個人的にはルークにこの国を継いで欲しいとすら思ってるんだよ、だって明らかに人を先導するべきオーラを持ってるし」

「いや、わかりませんけれども」

「剣の方も良いんでしょ、それも見ればわかるよ。さっきは剣をぶら下げてなかったけどそれはプライベートだからだろうし、それでも隙を見せたら噛み付かれそうなあの思わず身構えてしまう緊張感もどうだい。本人は隠しているつもりだったけど僕には丸わかりだよ、あれは心底で強さを求めている男だ。いや、でもそう考えるとサーニャとの組み合わせはバランスが最高に良いのかもしれないな。あの娘は何でも受け入れる包容力を持ってる。二人共満更でもない感じだったし、これは将来的にゴールインって可能性も……」

「てい!」

「ゴフゥ!?」


 何かに陶酔するかのように延々と話し続けるランスリーの後頭部に拳の一撃を加えて昏倒させ、シエルはメリーの手綱を奪い取った。

 買い物を済ませて帰路に付き始めた途端にこれだ、それだけルークに一方的ながらも遭遇したのが嬉しかったらしい。仲が良かった事は勿論知っているが、まさかここまでする程に入れ込んでいるなんて思いもしていなかった。

 ランスリーの前ではルークの話は避けた方が良いのだろう、語りだしたら今のように面倒な状態になってしまう。


 うるさかった人物が物理的に静かにさせられた事で、夕暮れに閉ざされた平野は至って静かになった。ただ、メリーが地面を踏みしめる音と車輪が石を弾き飛ばす音が辺りに消えて行っているだけ。

 馬車の荷台に積まれた紙袋の山がガサガサと揺れ、シエルの耳を刺激し退屈させないようにしている。既に人の姿が見えない野外の土地にまで来ているため、まどろっしくなった二人は既に元の姿に戻っていた。

 それにしても他の女の姿になるというのは思っていた以上に疲れるものだ。口調や仕草を普段から変えていたつもりは無いのだが、ただ見かけが違うだけでここまで心に違和感を覚えてしまうものなのだろうか。

 ランスリーはよく五年間もこんな生活を続けていられたな、と少しズレたところでまた尊敬するところを増やしたシエルだった。


「そういえばランスリーさん、伝え忘れていた事がありました」

「は、はい何でしょうか……」

「ルークからですが」

「何でしょうかぁ!?」


 ドクドクと非現実的に頭から血液を流し続けながら、ランスリーは凄まじい勢いで起き上った。ルークという名前を聞いた瞬間にこれだ、ブラコンめと内心で呆れながらシエルは淡々と言う。


「俺からは絶対に行ってやらない、来るならそっちから来いだそうです」


 瞬間、ランスリーは酷く寂しげに薄く笑った。そして、そうかと一言呟くと、シエルの手から優しく手綱を取ってそのまま前を向く。

 どうするのか、とはどうしても聞けなかった。

 遅れに遅れました、次は近い内に……書けたらいいなぁorz

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