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チャプター4 地獄の門

ブルースは、リズとケイティに先立ってハンドガンを構えつつ進んでいく。

「2人とも俺から離れるな。何があるかわからん。」


「ええ、わかってるわ・・・ ケイティ、大丈夫?」


「大丈夫です・・・ けど・・・」


涙を流し始めるケイティ。


リズは彼女を庇いながら、


「大丈夫。私たちは必ず全員で生き残る。」


リズの言葉に振り向いて神妙な顔をするブルース。


「しかし、人間が人間を襲うとはな。まるで映画の世界だ・・・夢である事を祈るよ。」


ブルースは呟く。


リズはハンドガンを見つつ言った。


「でも、CDCがこの区域を封鎖するほどだから、かなり危険なウィルスなのは確かよね。一体誰が何のために・・・」


「さあな。ただの災害なのか、俺たちが実験に巻き込まれてるのか。今はCDCの救出を待つしかない。」



そのまま進んでいく3人。


途中、向こうの廊下から聞こえる音に反応し、その方へブルースは銃を向けた。


歩いてくる人影。


ブルースは銃に引き金をかける。


その人影も銃を向けてきた。


「ボブ・・・?」


「ブルースか・・・?リズとケイティも・・・すまん、奴らに噛まれてしまった・・・ 数体と応戦している最中、背後から襲ってきた奴に・・・」


「大丈夫か?」


ブルースが近づくとボブは怒鳴った。


「来るなっ!奴らに噛まれたからには俺も同じになってしまう・・・

見たんだよ・・・噛まれた生存者が一度死んで蘇ったのを・・・」


「生存者が居たのか?何故無線で知らせなかった?」


ブルースが問いかける。


リズとケイティに傷の手当てをしてもらいながらボブは言った。


「電波が妨害されててノイズしか聞こえず報告できなかったんだ・・・気づけばそのノイズで奴らがやって来て・・・今もこうして話してると奴らが寄ってくるぞ。 お前たちは早く行け・・・」


「おい・・・来ないのか・・・?」


「何言ってるのよ・・・? 必ず全員で脱出しないと・・・」


「早く行けっ!! 感染者は外に出せないはずだ・・・お前たちは感染していない・・・」


その時、生ける者たちの声を聞き、死者たちが続々と集まってきた。」


「クソッ!!」


銃を放つボブ。


やむを得ずブルース、リズ、ケイティも発砲する。


「頭を撃て!」


確実にヘッドショット決め、死者を迎え撃つも彼は次々とやって来る。


「このままじゃキリがない・・・逃げるぞ!!」


ブルースが叫ぶとボブは言った。


「俺は残る・・・」


「何を馬鹿なことを言ってる?早く逃げるぞ!」


ボブを説得し、逃げるブルースたち。


ホールに戻ると、ケネス、クリスも戻っていた。


「お前たち!ボブも無事だったか。」


「隊長、アーロンは・・・?」


「奴が見つからん・・・この建物に居るのは確かなんだが・・・ん?

ボブ、お前噛まれてるのか・・・?」


ボブに銃を向けるケネス。


「何するんですか・・・!」


ケネスを止めるブルース。


「どけ、ブルース。彼を生かしておいてもいいことはない。感染者をCDCが快く外に出すと思うか?我々の為だ。」


「隊長・・・しかし・・・」


「いや、ブルース。隊長の言う通りだ。俺がこのまま生きてても奴らみたいになるのは時間の問題だしな・・・」


目を瞑って覚悟するボブ。


ケネスが銃の引き金に手をかけようとしたそのとき。


彼の頭が撃たれ、即死した。


ケネスを撃ったのはアーロンだった・・・


「この男はCDCの回し者だ。お前たちは騙されていたんだよ。」


アーロンはケネスの死体を蹴って言った。


「アーロン・・・どういうことだ?」


「奴は隊長にも関わらず、感染しているボブを撃とうとした。CDCの人間人間でなきゃ、感染者を殺す判断なんてそう簡単にできやしないさ。」


ケネスの防弾チョッキからCDCの会員証を取り出して言った。


「感染者を意地でも外に出さないってわけね・・・」


リズが呟く。


「とにかく、ここの地下室から森の外に出られる通路がある。そこはここの人間のみが使う通路だ。CDCも知らないはずだ。」


アーロンは拳銃の弾倉を交換しつつ、彼らを誘導しようとする。


やけに冷静な彼を見て不信感を抱きながらもブルースたちは移動し始めるが、クリスだけが床に座り黙り込んだままだった。


「あんたたちだけで行けよ。俺はここで残る・・・」


「クリス、上官の命令だ。黙ってついてこい。」


「地下室から逃げたとしても助かる保証なんてあるのか?化物どもの餌になるのもごめんだが、頭をぶち抜かれるのもまっぴらごめんだ!」


クリスは拳銃をアーロンたちに向ける。


「だいたい、あんただけやけに冷静だな。隊長を裏切り者として殺したのもこの状況でできることじゃねぇしな・・・さてはあんた・・・2重スパイか何かじゃないのか・・・?」


「落ち着け、クリス。銃を下ろせ。あの男はどこかの組織に雇われたCDCの職員だ。それに私はお前たちを守るように署長から命を受けている。さあ、早く銃を下ろせ・・・」


「フンっ・・・部下1人を化物どもに殺されといて・・・・守るだと? 冗談きついぜ・・・このロクデナシが・・・」


クリスが銃のライトを点け、そう言った次の瞬間。


クリスの背の木製の薄い窓から大量のゾンビの手が侵入し、彼の首を掴んだ。


「クソッ!!コイツら光に反応して・・・」


クリスはもがき苦しみながらブルースの腕に掴まる。


「クリス・・・!」


リズたちもクリスをゾンビたちから引き剥がそうとするも、彼らの力はとても強く、窓を徐々に破っていく。


ブルースたちの抵抗虚しく、ゾンビたちの側へ引き込まれるクリス。


戦闘服を破り、皮を剥がし、内蔵を掴み貪り喰う。


「うぁぁぁ・・・やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・」


脳を食い破られ、彼の意識は完全に失われていた。


「もう無駄だ!彼は助からん・・・」


アーロンはブルースたちを誘導する。


しかしリズはクリスに群がるゾンビたちの頭を、怒りと悲しみの混じった表情で撃ち抜いていく。


アーロンは彼女の腕を掴み、逃げるように促すも一向に止めようとはしない。


ブルースとアーロンが二人がかりで強引に彼女を連れて行こうとするが、銃の弾が尽きるまで彼女の引き金を引く手は止まなかった・・・


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