チャプター3 恐怖の始まり
ホールに到着すると、クリスがドアの前で座り込んでいた。
「クリス! 何があったんだ...?」
「ここからは出られない... 俺たちはここで死ぬんだ...」
「何バカなことを言ってる? 全員で脱出するぞ!」
「全員だって? ケビンはもう逝っちまったんじゃないのかよ? 」
「... クリス、お前... 1人だけ逃げようとしていたな...?」
クリスに掴みかかるブルース。
「こんな場所はゴメンだったからな。まあ、今はどうなってもいいが。どっちにしろ、ここからは逃げられない。」
ブルースとクリスがそんなやりとりをしていると、ケネスとケイティが戻ってきた。
「お前たち、そこで何している?」
リズは答えた。
「隊長、このホテルは危険です! 怪物がうようよといるわ...」
「怪物? 馬鹿馬鹿しい。ところで、生存者は見つけたか?」
ケネスが尋ねると、クリスが小さな声で答えた。
「誰も生きては帰れない...」
「はぁ? 何を言ってる? そんなことより、ケビンやボブ、アーロンは?」
「誰も戻ってきませんよ... 」
クリスが言った。
「いい加減にしろ! 仲間を見捨てる気か!?」
しかし、ブルースとリズは、微妙な表情をした。
リズは無線でボブに連絡を取る。
しかし、電波が悪いためか、雑音が激しい。
「ボブ! 応答して...!」
ケネスはアーロンに無線を繋げるが、こちらも応答無しだ。
「クソっ... ダグに繋げよう。」
ケネスはダグに連絡。
「ダグ! 聞こえるか? ホテル付近へ着陸しろ!」
「隊長! 出来ません... 化け物がそこら辺に... 本部へ応援を頼みましたが... 応援は出せないと... 森周辺が閉鎖されているらしく...」
雑音が激しい。
「何だと...? 封鎖しているのは当局か?」
「いいえ... CDCが...」
「CDC!? 化け物どもが何かのウィルスにかかってるとでも?」
「そのようです... 感染者は外に出せないと...」
「待て、我々は感染してないぞ...?」
「感染の可能性があるため出せないとのことです...」
ケネスは、無線を切った。
「何てことだ... 我々はモルモットに...
こんなところで死ねるか...」
ケネスはドアを開けた。
するとその先には、ゾンビ化した犬が、ケネスに食らいつこうとした。
ゾンビ犬を入れまいとドアを押さえるブルースとリズ、ケイティ。
しかし、クリスは手伝わない。
ブルースが彼に怒鳴った。
「何をやってる!! 手伝え!」
ブルースに怒鳴られ、渋々手伝うクリス。
何とかゾンビ犬を外に出すことに成功した。
「はぁ... はぁ... 何なんだあれは一体...」
「狂犬病の1種では...?」
ケイティが答える。
しかし、リズは異論を唱えた。
「いいえ、死体が蘇っているのよ... ここの警備員がケビンを食べていた...」
「ゾンビってわけか...」
クリスは呟いた。
「ゾンビ... 奴らを殺すにはどうすれば...」
ケネスが考える。
「頭部を撃てば一撃で倒れました。奴らは不死身じゃありません。」
ブルースがハンドガンにマガジンを装填しつつ、言った。
「そうか... だが、死体を蘇らせるだと...?
なぜ、そんなウィルスがこんな場所に?」
「カムフラージュするためでは...? ホテルに偽装して...」
ケイティが言った。
「テロリストか何かの仕業か...? ここで流出事故が起こったのか、または試したのか...?」
「隊長、とにかく安全な場所で朝を待ちましょう。その前にボブとアーロンを見つけて...」
ブルースが言った。
「そうだな... 二手に別れよう... 私とクリスはボブを、ブルースとリズ、ケイティはアーロンと部屋の確保を。」
ブルースたち3人は行った。
ケネスは、座り込んでいるクリスに言う。
「行くぞ、クリス。」
「...了解。」