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異世界創造神は女子高生  作者: 斉凛
第3章 帝国編
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戸惑いの日々と不思議な家4

「この世界は外からの作者と内からの作者である明殿の、戦いの過程で今揺れ動いている」


 ジルはそう表現した。ヤツが無理難題を押しつけてきても、私がなんとかしてしまえば乗り越えられてしまうのだ。

 思えば今までだって色々あったけどなんとかできた。これからだってきっと大丈夫。


 私はほっと胸をなで下ろしたけど、ジルは何故か浮かない顔をしていた。


「どうかしたの?」

「いえ。ちょっと他に用を思い出したので失礼します」


 ジルの様子の変化に少々不安を抱いたが、私はすぐに小説をどうやって軌道修正していくか、そちらに意識が向いてしまった。



 結局その日は『始原の家』には戻らずにどうすればいいか考えていた。といってもまだ具体的によいアイディアは浮かんでない。そもそも二人の作者がいる状態で、内側から文章を書き換えたら、世界にどんな影響があるんだろう? 明日はその辺りを実験してみよう。

 廊下の縁側で、夕暮れ時の空を眺めながらそんな事を考えていたら、ぼんやりしたアルが歩いているのを見かけた。


「アル? どうしたの?」

「明! どうしたいきなり」


「いきなりじゃないよ。さっきからここにいたよ。なんかぼーっとしているけど大丈夫?」

「ああ。大丈夫だ」


 大丈夫と言いながらも全然大丈夫そうには見えない様子で、またふらふらと歩いていってしまった。そういえばこの所構ってあげてなかったからな。大丈夫かな?

 その後の夕食もアルは元気がなく、ジルも暗い表情をしていた。二人の様子の変化が気になって仕方がない。

 二人に問いただしてみたが、二人とも「何でもない」としか答えない。私の不安はますますふくれあがった。

 夜ひとりぼっちの部屋で二人の様子の変化が気になって仕方がなかった。眠ろうとするが寝付けず、何度か寝返りをうったところで寝るのを諦めた。


 布団を抜け出し、廊下に出ると毬夜が立っていた。


「どうされました?」

「……ん。ちょっと眠れなくって……あのさアルとジル何かあったのかな? 知らない?」


 毬夜は表情を変えることなく、少しだけ首を傾けて言った。


「今日の午後お二人が深刻そうにお話ししている姿はお見かけしましたが、何を話していたかはわかりません」


 二人の様子がおかしかったのは、やっぱり繋がっていたのか。でもだったらどうして私に何も言ってくれないんだろう。

 寂しくなってきた。エドだったら二人から何か聞き出せるかな?


「エドの所に行きたいんだけど案内してくれる?」

「こんな時間にですか?」


「変なことじゃないよ。ただ相談したい事があるだけで」


 毬夜は表情を曇らせたが、最後には頷いて案内してくれた。



 提灯の明かり一つを頼りに、暗い廊下を歩く。何度か角を曲がって中庭が見える辺りで、中庭を挟んだ向かい側の縁側でアルとエドが座っているのが目に入った。

 思わず毬夜を引き留めて廊下の角に隠れる。

 こっそりのぞき見ると、月明かりの下で二人はなんだか深刻そうに話をしていた。酒を飲んでいるのか、二人は杯を手にしている。

 二人きりで差し飲みする程二人は仲良かったっけ? やっぱり様子がおかしい。しかもみんなして私に何かを隠している。

 私は急に寂しくなった。ここまで長い旅を供にしてきたのに、私はそんなに信用できない人間だろうか? いつのまにか涙で視界がぼやける。すると毬夜がすっと涙をぬぐってくれた。


「どうしますか? 部屋に戻りますか?」


 毬夜の表情はいつもより少しだけ優しかった。私はその優しさに勇気づけられるように首を振った。


「二人の仲に割り込んでやる」


 多分二人は何も教えてくれないだろう。それでも私が彼らを好きな事にはかわりない。だから勝手に押しかけたって構わないだろう。

 私が二人に近づくと、二人とも驚いた表情をしていた。


「どうしたのだ明?」

「そうだこんな時間に?」


「そっちこそこんな時間に二人でこそこそ何内緒話してたの?」


 二人は予想どおり沈黙してしまったが、私はかまわない事にした。


「私も混ざる」


 そう言って二人の間に座った。


「あ……でも私酒飲めないんだよね……残念だな……」


 この世界の法に照らせば飲んでも問題ない年齢だろうが、私はやっぱり日本の法律の感覚が抜けきらず、どうしてもお酒を飲む事に抵抗を感じる。


「ん……じゃあ、三人で一緒に寝ようか?」

「「「何!」」」


 エドとアルと毬夜の三人が同時に驚きの声を上げた。


「あ、もちろん布団は別々だよ。川の字みたいに布団を並べて同じ部屋で寝ようっていうだけで」


 なんだか修学旅行みたいで楽しそうだ。そう思ったら何としても実行したくなった。渋るエドを説き伏せて、エドの部屋に三つの布団を並べた。真ん中が私だ。

 二人とも落ち着かなさそうな表情をしていたが、私はやっと安心できた。だって今までもこれからも一緒。そう思えたのだから。

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