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異世界創造神は女子高生  作者: 斉凛
第3章 帝国編
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花の都で迷える少女4

 翌日朝ご飯を食べた後さっそく帝の公邸にむかった。こちらの建物は迎賓館という感じの、レンガ造りの洋風の建物で、短い時間にタイムスリップしたような気分になった。

 赤い絨毯が敷かれた室内は、ひんやりとした空気に包まれていて、緊張感が増してきた。エドの屋敷も警備の人がいたけど、それ以上にたくさんの兵士がいて、さらに文官と思われる人々が行き交う。

 2階の建物で言うなら中央辺り、南向きの一番特等席な位置に帝の謁見室があった。エドがノックしてから部屋のドアを開ける。緊張しながら部屋に入るとテラスに向かって立つ女性がこちらを振り向いた。

 魔導具で見たままの美女だ。この人が帝だ。でも魔導具でみるより遥かに迫力があって、女性に使うには相応しくない表現だが、精悍さを兼ね備えた威厳がある。エドはお母さん似なんだな……。


「わざわざ長旅ご苦労でした。妾は現碧海帝国帝、春那・フォンと申す」

「初めまして藤島明です。よろしくお願いします」


 反射的に敬語で返事してしまった。ころころと鈴の音が転がるような笑い声が響く。


「それほど固くならずとも良い。まずは座られよ。色々話があるのじゃ」


 帝のペースですべてが進んでいく。聞きたい事が色々あったはずなのに、帝の雰囲気に飲まれて命じられるがままになってしまった。

 執務用の机以外に、会議に使うような大きなテーブルがあって、そこに帝を上座に、帝を挟むようにエドと私、私の隣がアルで向かいがジルという感じで座った。

 帝は何か資料のような物を持ってこさせ、それを手にした後は人払いをして私達以外の人間を部屋から追い出した。


「さてまずはこの資料を見ていただこうかのう」


 そう言って帝は私に2枚の紙を渡した。表形式で名前と横に数字が書かれている。名前に聖マルグリット王国とか碧海帝国とかあるから、これは各国の名前を書いているのだろう。

 片方の表には聖マルグリット王国が一番上に書かれていて、数字が一番大きく書かれている。その表にはすべて大小の差があれど数字が入っている。

 もう一方の表には碧海帝国が一番上に書かれていて、その横の数字はすべて「0」となっている。

 つまり何かが「ある」グループと「ない」グループに分かれているという事だ。


「この数字はなんですか?」

「我が国が知る限りの、大災害の被害件数じゃ」


 私は思わず紙を取り落とした。たった2枚の紙だがそこに書かれた重みが半端無い。それ以上に驚いたのは、全く被害がない国と被害のある国に歴然とした差がある事だ。アルやジルもその表を回し読みして、眉根をよせて考え込んでいる。


「その表を見て何か気づく事はないかえ? 創造神様」


 言われて再度表を見比べる。数字以外に特に国名の所をよくよく見比べた。すると何か違和感を感じる。被害のある国の名の方ばかり覚えがあるのだ。でも碧海帝国の名も知っているけど、こちらは被害のないグループだ。

 その違いは何だ? 少し考えて閃いた。


「私の書いた小説に出てくるか出てこないかだ」


 そう。被害のある国はすべて最初にこの世界に来る前に、私の小説の中に登場していた国だった。

 帝は満足そうに頷いて微笑んだ。


「じゃあ、私が小説に書いていなかった国では大災害は起こらないという事?」

「今までの統計が正しければそうなるようじゃの」


 帝は艶然とした笑みを浮かべ私に話しかける。


「しかしやはりあなた様は真の創造神様でいらっしゃる。失礼だが念のため試させていただいた」

「試す?」


「そう。妾はあなた様が創造神であると信じてはいたが、ここから先帝国の最重要機密を話してもよい人物かどうか確証が欲しかったのじゃ」

「最重要機密……」


 その言葉に誰もが反応した。秘密主義国家、帝国の最も重要な秘密。しかし帝は一向に口を開かず、意味ありげな目線でアルとジルを見た。


「我々には聞かせていただけないという事ですね」


 ジルが視線だけで帝の意図をくみ取って口にした。帝が頷くとアルは不満そうに口を尖らせる。


「大災害とは関係ない事も含まれる。ゆえに他国人への公開は避けたい。席を外していただけぬか?」


 帝が低姿勢で念を押すとアルは口を開いた。


「嫌だと言ったところで、俺たちには語るつもりが無いのだろう。無駄なやりとりだな」


 そう言い切ってさっさと立ち上がった。ジルもそれに続くように立ち上がる。帝は人を呼んで二人をどこかに案内するように命じた。

 部屋に残されたのは私とエドと帝だけだった。念のためなのか、謁見室の隣の小さな部屋に移って鍵をかける。完全なる密室。よほど他の人間に聴かれたくない事なのだろう。

 その小部屋にはソファとテーブルがあったので深く腰掛けて待つ。どんな話が待っているのかと思わず息を飲む。


「これから話す事はこの国の始まりであり、歴史でもある。始まりの物語じゃ」


 帝の言葉は語り部のように、昔語りを始めた。

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