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異世界創造神は女子高生  作者: 斉凛
第3章 帝国編
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血まみれ皇子と茨の道3

 結局アルとジルと3人で宇治の街を見て回った。珍しい帝国風の景色に二人は楽しそうだったが、私はなぜだか落ち着かない気分でもやもやしていた。

 自分から言っておきながら、エドと毬夜が今どうしているのかと考えると気分が落ち込む。二人とも背が高いし、年も近いし、美男美女っていう感じでお似合いなんだよね……。無愛想男と冷血女の美カップルの姿を簡単に想像できた。


 そんなもやもやした気分のまま夕暮れ時になり、旅館に戻ってきた。するとなぜか入口で毬夜が腕を組んで待っていた。しかもすっごい私の事を睨んでいる。

 え? 何? なんか怒られるようなことしたかな?

 毬夜はつかつかと歩いてきて、私の腕を掴んだ。


「しばらくお借りします」


 有無を言わせぬ毬夜の勢いに飲まれて、アルもジルも反対しなかった。そのままずるずる引きずられるように部屋まで連れて行かれた。

 何が待っているのかとビクビクしたら、ものすごく不機嫌そうな声がでてきた。


「余計な事しないでください」

「よ、余計な事?」


「エドガー殿下に私と二人きりになれと言ったでしょう。ああいう事です」

「あ……うん。でも二人きりで楽しんできたんだよね」


 毬夜はこめかみをヒクヒクさせながら言った。


「そうですね。一日ご一緒しましたよ。殿下が石炭の備蓄状況を見て回ったり、他の生活必需品に足りない物はないか視察に回られたので同行しました」


 うわちゃー! そうか……生真面目仕事人間なエドだから、プライベートよりも仕事を優先しちゃうんだね。それで毬夜は不機嫌なのかな?


「別に仕事だったから不機嫌なわけではありません。私と殿下の仲を邪推しないでいただきたいだけです。私は臣下として殿下を敬愛しているのであって、恋愛感情ではありません」


 なんか否定すればするほど、ひしひしと恋愛感情に思えてしかたないんだけど……。


「仮に私が殿下に対して好意を持ったとしても、殿下がもしそれに気づいたら私を遠ざけるでしょう」

「え? どうして?」


「私が殿下に信頼していただけるのは、私に下心がないと思っていらっしゃるからです。なぜ外交使節団に身の回りの世話をする女がいないか不思議に思った事はありませんか?」


 確かにそれは不思議だったので素直に頷く。


「殿下はこの国の時期帝として幼い頃から将来を約束されたお方です。そして帝国では政略ではなく自由意志によって皇族は婚姻できる。そうなるとどうなると思いますか?」

「どうなるの?」


「殿下を籠絡して寵愛を獲ようと、召使いの女達が先を争って殿下に媚びるようになるのです。しかし殿下は相手になさりませんでした。それで慌てた女どもはだんだん過激な手段に出るようになったんです」


 忌々しげに吐き捨てる毬夜の姿を見て嫌な予感がした。


「食事に媚薬を盛ったり、寝ている寝所に潜り込んだり、本当に恥知らずも良いところです。おかげで安心して食事をする事も、寝る事も出来ず、殿下は女性不信になられて、周りから一切女性を排除するようになりました」


 そりゃあ女性不信になるわ……。エドに深く同情した。


「それで男ばかりに身の回りの世話をさせたら、今度は男色疑惑ですからね。殿下もおかわいそうに」


 なるほどそれで男色疑惑なのね。今までの謎が一気にとけてものすごくすっきりした。


「ですから私に下心があると思われたら、殿下のそばで働けなくなるんです。だから今後一切余計なお節介はやめてください」


 毬夜の勢いに押される形で私は頷いた。それに毬夜がエドと男女の関係になる事を望んでいない事に、心のどこかでほっとしている自分がいた。


「でも毬夜は随分エドの事詳しいね」

「父から色々話は聞いていたので」


 ああそうか。櫂柚の娘だもんね。でもだとしたら父親をエドに殺されて恨んでいたりしないのだろうか?

 私の疑問は表情にでてしまったようだ。毬夜は何でもない事のように言った。


「事情は朱里殿下から聞いています。父はエドガー殿下の手にかかる事を覚悟の上で反旗をひるがえした。それで殿下が手を下した事に恨む気持ちはありません。むしろ父の行動で殿下にご心配をおかけしたかと思うと申し訳ないくらいです」


 毬夜の言葉に無理をしているような様子は微塵もなかった。さすが潔く散った櫂柚の娘と妙に納得するのだった。


「とにかく余計な事は二度としないで下さいね」


 そう念押しした後、毬夜は部屋を出ていこうとして、扉の前で振り返った。


「私はあなたが嫌いだ。エドガー王子とアルフレッド王子を天秤にかけてはっきりさせない。ずるい人だ」


 天秤にかけているつもりは無かったのだが、はたからみたらそう思えるのかもしれない。ちょっとその言葉に傷ついた。

 でも彼女の潔さと一途さに私は感服する。毬夜が好きになった。今まではちょっととっつきにくくて怖い感じがしてたけど、本当はいい人なんだな……。


 そんな毬夜とのやりとりを思い出し、エドの事が気にかかった。毬夜は臣下としてこれからもエドを支えてくれるに違いない。毬夜のような理解者がいる事はエドの救いになるだろう。でも本当にこのままエドが帝になっていいのだろうか?

 私は無性にエドの顔が見たくなってこっそり部屋を抜け出した。

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