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異世界創造神は女子高生  作者: 斉凛
第3章 帝国編
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焦る彼らの旅路4

 エドが帝国内での順路について説明してくれた。まず私達は出島の一つである『明石』という街に行くらしい。そしてそこから1日ほどの距離の衛星都市『宇治』へと行き、そこから一気に首都『京』へと向かうらしい。

 都市の名前もいちいち日本風で、絶対自然発生した国じゃないよな……と疑いが強くなる。


「宇治から京へ一気に行くと言っていたが、近いのか?」

「普通の馬車で行けば10日はかかる距離だが、宇治から京なら特別な移動手段があるから1日で行かれる」


「特別な移動手段?」

「ついてからのお楽しみだな」


 もったいぶるエドにアルは不満顔だったが、私はなんとなく感づき始めていた。帝国の科学力がどのレベルなのかわからないが、何かしら中世ヨーロッパ風なこの世界の常識以上の技術があるに違いない。


 帝国に近づくと国境に長く築かれた石の壁が連なり、その途中に大きな門が見えた。あそこが明石の入口なのだろう。

 本来ならば検閲所で念入りにチェックされる所だが、さすがエドガーは顔パスだ。私達は馬車を降りて門をくぐり抜けた。


「うわぁ!!」


 思わず歓声を上げてしまうほど壮観だった。明石の街は人があふれ活気に満ちあふれている。建物は各国の文化が入り交じっているようで、石造りの建物の隣が木造だったり、かなり不思議な雰囲気を醸し出していた。無計画に無秩序に作られた街並みは雑多で人間味にあふれている。

 商談のため声を張り上げる者、ゆっくりと食事を楽しむ者、よい買い物をしようと品定めに忙しい者。着ている服も髪型も顔立ちもみんな違うのに、『明石』という街に見事に溶け込んでいた。

 人種のるつぼ、文化の交差点、世界の縮図、そんな表現が頭によぎるけれど、そんな簡単に表現出来ないほど、明石は無国籍な異国情緒にあふれていた。

 私だけではなくアルやジルもまた、驚きの表情を浮かべ街を見渡していた。二人にとっても明石は驚異的な街なのかもしれない。


「色々な国を見て回りましたが、こんな街は初めて見ました……」


 ジルの目から見ても明石は特別な街のようだ。私達3人は熱におかされたように興奮しながら頬を上気させ、なめるように街の隅々を見渡した。


「気持ちはわかるが、ここで立ち止まっていては進めない。急ごう」


 エドに促されるように、私達は街中を歩き始めた。まず総督府に向かい一泊して、そこから馬車を手配してもらって宇治に向かうようだ。

 総督府まで歩きながら街を眺める。どこを見ても見飽きないほど色々な発見にあふれていた。並んで歩くアルの目は少年のように輝いていた。


「楽しそうだね。帝国も良いところあるでしょう」

「……べ、別に。ちょっと珍しいだけだ」


 照れ隠しにそんな事を言うが、アルの好奇心は隠しようもなく顔に表れている。この旅の途中で少しでも帝国への感情が良くなってもらえたら、そう思っていたが明石はアルのお気に召したようだ。


 しばらく歩き続け、街の中心部に大きな建物が見えてきた。朱塗りの柱に赤い壁、赤い瓦に覆われて、柱や壁には色彩豊かに模様が描かれている。沖縄の首里城を思わせるような赤に覆われたその建物は、青い空の下で強い存在感を示していた。


「ここが総督府だ」


 個性豊かな街の中で埋もれることなく、最も威厳を湛えた建物は、私達を圧倒した。エドがためらいもなく、門の前に進み出るとエドのために門が開かれる。

 門をくぐり抜けると広場がありその奧に建物があった。エドは良く知った場所なのか迷うことなく歩いていく。警備の兵士達はエドの顔をみるたびに帝国式の敬礼をした。ただ彼らの顔に浮かぶ緊張した表情は、ただの王族に対するものとは思えなかった。

 やっぱりエドの評判悪いのかな……。心配でエドの顔を見るが何事もなかったように平然としている。気づいてないはずが無いと思うが、あえて何でもない様子を取り繕っているのかもしれない。


 建物内部に入り長い廊下を歩いて一つの部屋の前にたどり着く。部屋の前で兵士が警備しているだけあって、重要な所のようだ。そんなところでもエドはもちろん顔パスだ。無言で部屋の中へと入っていく。

 広々とした部屋の内部には応接室のようなソファとテーブル。そして奧にはデスクに向かう中年男性がいた。男はエドの顔を見て慌てて立ち上がる。


「エドガー殿下。もういらしたのですね。言っていただければお出迎えに参りましたのに」

「忙しいそなたの手を患わせるのも悪いと思ってな」


「お気遣いありがとうございます。その……そちらは……」

「聖マルグリット王国王子アルフレッド殿下、創造神明そしてジルだ。連絡はしておいただろう」


 男はなめ回すように私達三人の姿をじっと見つめた。


「紹介しよう。総督府長官の庚淳だ」


 エドにへりくだった態度とは裏腹に、庚淳が私達に浴びせる目線は執拗ともとれる、気味の悪い物で私は悪い予感がした。

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