異世界という名の夢3
みんなから創造神様とか崇められてんだけど……。
本気で信じてるのはあの狂人教主だけみたい。
他の人達は言葉こそ丁寧だけど、『おまえ本当に神?』ってバカにした目をしてる。
むかついたから、思いっきり尊大に神様ぶってみた。
まあこれで『神様じゃありません』なんて言ったら、神を語るペテン師め!とか言って牢屋に入れられそう。
夢とはいえむごいめには合いたくない。
せめて夢が覚めるその時までは、異世界神様ライフを味わおう。
「創造神様。お食事ができました」
はい。きました。異世界カルチャーショックのお時間です。
私が書いた小説の中では、味は美味しいんだけど、見た目グロテスクな食べ物の数々に食欲なくす、とか書いてたよな。
文章だけで想像してたけど、それを目で見るのか。
しかもこの夢妙にリアルで、革張りのソファの匂いとか、入浴剤の匂いとかちゃんとするんだよね。
「創造神様がどのようなお食事を好まれるかわからなかったので、各国料理4種程ご用意させていただきました」
ずらっと並んだ料理の数々は爽快だ。
私一人のためにこんなに?
もったいないな……などと言ってる場合ではない。
目の前にとても食べ物とは思えない、ドギツイ色した摩訶不思議な形の物が並んでる。
匂いは料理っぽいけど、本気でこれ食べ物か?
私は思わず顔を背けて、全力で拒否した。
面白がってウケ狙い設定したけど、リアルに見るとこれないわ。
「聖マルグリット王国料理はお気に召しませんでしたか?ではこちらを」
次に紹介されたのはさっきのヤツより、見た目ははるかにましだった。
見た感じ中華っぽい?
でも中華って日本でも当たり外れあるよね。
しかもなんか質の悪い油の匂いが漂ってる。
私油っこいの嫌いだからこれもパス。
「華無荷田国料理もお気に召しませんか。ではこちらはいかがですか?」
おお、今度はフレンチ風か。
見た目オシャレで綺麗だし、期待できそう。
私は初めて料理を口にした。
そして激しく後悔した。
激甘!しかもデザートとかではなく、肉使ってんのに甘じょっぱい。
肉も気持ち悪い食感してんな……。
テンションだだ下がりで、一口でフォークを下ろしため息をついた。
「カナーン公国料理もお気に召しませんか。では最後にこちらを」
もう期待しない。ただ塩振って焼いただけの肉とか魚でいいから、まともなもの出してくれ。
だめならさっきの華無荷田国とやらにチャレンジか?
と思っていたらびっくりした。
西洋風の城で出されるとは思えない見事な和定食。
焼き魚に味噌汁、おひたしに野菜の煮物。
やっぱ日本人なら日本食だよね~。
……だが、ちょっと待て。
さっきみたいに見た目の期待を裏切る味だったらどうする?
私は恐る恐る箸をつけた。
口に入れた瞬間心の中で叫んだ。
ビバ日本。異世界なのに再現度高いなぁ。お母さんの味って感じだよ。
上機嫌で食べてたら、召使いさんが冷めた声で言った。
「ほぅ……碧海帝国料理をずいぶんとお上手に召し上がるのですね。かの国にご滞在された事がおありですか?」
し、しまった。
これ罠だったか。どの料理を選ぶかで、どこの国出身か探る気だったんだ。
しかし私は結構図太い。これしきの動揺顔には出さない。
「妾は神じゃからな。この世界のすべてを知っておる。ただ妾はこのような味を好む。覚えおけ」
尊大に言ってごまかしてみた。
ああ。神様の振りも疲れるわ。
しかし気になる事が一つ。『碧海帝国』ってなんだ?
和定食出てくるって事は日本風の国だよね。
そんな国設定した覚えもないんだけど。