神々の謀3
「説明してほしい。明と母上の会話についていけない所があるのだが」
「こっちが説明してほしいぐらいなんだけど」
特にあのネットの存在をわかっているような知識。何者だあの人は。とりあえず先に、エドガーにフランツ王から聞いた話や、アルの誤解について話しした。
「まさかアルフレッド殿下がそのように我が国を疑っていたとは、私を急に避けるようになっておかしいと思っていたのだ」
たぶんそれだけじゃなく、エドガー男色家疑惑があるせいだと思うけど。
「こっちも聞いていい?エドガーはネットと言ってわかる?」
「知らない。なんだそれは?」
「そうよね。普通に考えてなんちゃって中世ヨーロッパ風異世界に、ネットなんてハイテクなものあるわけないのよね……。ああ、でも帝国には銃とか大砲はあるんだっけ」
「どのようなものかは、明にも話す事はできない国家機密だがな」
しかし、私の設定した小説内の技術レベルでは、銃なんて作れるわけないんだけど……。そこからしておかしいのだから、帝がネットを知っていたとしてもおかしくない……わけあるか!絶対なんかおかしいこの世界。
「帝って、エドのお母さんなんだよね?女性でも帝になれるの?」
「我が国では男女同権が進んでいる。皇位継承権も男女関係なく、血筋と生まれた順だ」
ヨーロッパの現代王族とかは、女王の国とかもあるもんね。帝とか日本っぽいから、日本の皇室のイメージだったけど。
「櫂柚は帝の事を、現人神って言ってたけど、碧海帝国の皇室って、何か神様の末裔とかそういう言い伝えでもあるの?」
エドは何かためらうように悩んだ後、重い口を開いた。
「本来なら他国人には話してはならない事になっているのだが……。初代帝の伴侶が神だったという伝説がある。帝が神と結ばれて生まれた子の末裔だから、現在の皇室の人間も神の血を引くという事だ」
神様と結婚ってなんかロマンティックな話だ。天女の羽衣とか?まあ伝説何だろうけど。
「あともう一つ気になるんだけど、帝が知ってて、次期帝の皇太子エドが知らない事があるのはなぜ?」
「それを説明するには、まず帝国内の『情報』に関する価値観を知ってもらわないといけないな」
「『情報』に関する価値観?」
「秘密主義なのは何も他国に対してだけではない。帝国内でも一般人が知っていい知識、官僚でも上級の者だけが知れる知識、皇室の人間のみが知る知識と様々だ。どこまでの知識が開示されているか?が、そのまま帝国内での序列と考えていい」
情報化社会の現代日本で育った私から見ると、情報統制みたいで気持ちの悪い話だが、情報を制限した方が支配者にとってみれば都合はいいのかも。
確か日本の昔の貴族とかも有職故実とかいう古いしきたりなんかの知識を、金払って教えたりして生活してたりとか聞いた気がする。そこらへんうろ覚えだけど。
ああ、ネットがあればすぐに調べられるのに、この世界にそんなものあるわけないし。
「帝国の最高権力者である帝が、帝国内で一番多く重要な情報を持っている。とすれば、例え次期帝であろうとも、母上が知っていて私が知らない事はたくさんある」
「だからそう簡単に教えてくれないのかな……」
こんなに気になる事言われて、帝国に行くまでお預けだなんてすごく気になるじゃないか。意地でもアル連れて乗り込んでやる。
それから私は連日、碧海帝国の帝とフランツ王の間で交渉役になって駆け回った。両者が納得いく条件を揃えるまで時間はかかった物の、なんとか私が提示した条件をお互い飲んでくれる事になった。
「まさかフランツ王がアルフレッド王子を一人で帝国に行かせる事を納得させるとはな……。しかし王はいいとして、肝心のアルフレッド殿下は納得するか?」
「そこがまた難関なのよね……。エド覚えてる?私がアルに神様の振りを辞めるって言った時の事」
「ああ、もちろんだ。殿下が明を傷つけようとするなら、私が全力で守ってやると……。まさかこの時期に話すつもりか?」
「今言わなきゃもう言う機会なくなっちゃうよ。それに私の言う事を信じてもらうには、私のすべてを話さなきゃ。それをアルが信じてくれなくても」
エドは私をじっと見て言った。
「頼むから、アルフレッド王子を卑怯な手で騙したりしないでくれ」
「何よ、失礼ね!私が何かやると、すぐ企んでると思うわけ?まあ間違ってないけど」
「明!」
「あのね、アルは今建前でも私が神だという事になってるから、手加減してるの。それがなくなったら私は狼の前の子羊よ。食べられちゃうかもなのよ。事前準備に武器仕込むぐらいいいじゃない」
「だから、私が明を守ると……」
「うん。頼りにしてるよ。エド」
私史上最高の笑顔で言ったのに、なんかエドは胡散臭そうに見てるな。ムカつく。




