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異世界創造神は女子高生  作者: 斉凛
第1章 聖マルグリット編
22/99

微妙な三角関係2

 アルの過去になにがあって、帝国嫌いになったのか。調べるなら身内だろう。


 クリスティーナ妹はアルより幼いわけだから、昔の事情なんてわかりそうにないし、ベネット王妃は義理の母なわけでそこまで詳しくはないだろう。だとするとフランツ王なんだけど……。

 王様ってだけで仕事忙しそうな上に、クリスティーナ姫に嫌われたせいで、王様まで私の事嫌ってるかもしれないわけで……。簡単に話なんてできないだろうな。


 もうひとつ可能性としては、エドに聞く。いつまでアルと仲よくしてたのかわかれば、時期から色々調べられそうな気がする。

 しかし昨日の夜に機嫌を損ねたばかりで気が重い。私がエドを信用してないから怒らせちゃったんだよね。ここはむしろ信用して頼ったよいのかな?

 私はシュリを呼び出してエドの予定を聞く事にした。


 昨日一緒に城を抜け出した事がばれてよっぽど怒られたのか、真っ青な顔でプルプル震えている。可哀そうな事したなと思う。


「エドガー王子に会いたい。今どこにおるのじゃ?」

「フランツ陛下とご会談中です」


 王族のお仕事って大変ね~。でも王様と一緒ならむしろ好都合?押し掛けて二人から聞きだしてみようかな。

 私は嫌がるシュリに無理やり案内させて、二人の会談している部屋へと向かった。



 部屋の前には警備の兵士がいた。アルノーだった。顔を見たら今日アルに押し掛けられてびっくりした恨みがふつふつ湧いてきた。アルノーが告げ口したせいであんな目にあったんだから、少しは反撃してやる。


「アルノー。そこを通せ。フランツ王とエドガー王子に用がある」

「創造神様。申し訳ございません。ただいまお二人は大切な会談中でございます。お通しするわけには……」


「そなた昨日の夜、庭で見た事をアルフレッド王子に話したな」

「……」


「おかげで大変な目にあった。妾は神ぞ。妾を愚弄し逆らうのなら呪いをかけてやる」

「……呪い」


 アルノーの顔がこわばるのを見て、私は嫌な笑みを浮かべて言った。


「そなた5年後に禿げるぞ」

「……は?」


「丸くぽっかり穴の禿げがいいか、それとも額が後退するのがいいか。若禿げは女にもてなくなるぞ」


 アルノーが青ざめて首を横に振った。やっぱどこの世界も男の禿げはコンプレックスなんだな~と面白かった。5年後になる呪いなど立証できないから、嘘言ってもばれないしね。


 禿げ禿げ~と脅してアルノーを遣り込めた後、私は部屋の扉をそっと開けた。まずは中の様子を探って割り込めそうか観察だ。


 そっと中を覗いて驚いた。てっきり王とエドだけと思ってたのに、クリスティーナもいた。しかもエドの前に座って嬉しそうに話してる。姫の隣で王が熱心に二人の仲を取り持ってる。エドはいつもの無愛想顔だが、私にはわかる。本当に嫌で無愛想顔してる。


 これってどう見てもお見合い?しかも王と姫は乗り気だけど、エドは乗り気じゃない。

 エドが乗り気じゃない理由。


 1 クリスティーナが好きではない

 2 他に好きな女がいる

 3 他に好きな男がいる


 ……3はないよね。やっぱ。朝、散々アルに色々言われたせいか、どうもエド男色家疑惑のイメージで見てしまう。ごめんねエド。

 私がそんな邪な目で見ていたら、二人から目をそらしたエドと目があった。

 しまった。見てた事気付かれた。


 エドは二人に断って、ゆっくりとこちらに歩いてくる。私は逃げ出したかったが、エドの表情に驚いて目が釘付けになってしまった。

 何?その邪悪な笑顔。良い人キャラなエドらしくないよ。そういうポジションはアルに任せておきなよ。


「明。良い所にきた。協力してくれ。適当に私に話を合わせてくれるだけでいい」


 エドは私を見降ろしながらそう言った。私に有無を言わせず、私の手首を掴んで無理やり席に戻った。空いていた自分の隣の席に私を座らせると、さっきと打って変わって笑顔で私を見つめた。

 なんかわざとらしい笑顔だな。良い人キャラとはいえ、さすが一国の王子たるもの、演技の一つや二つ出来るってことか。

 斜め向かいのクリスティーナの恐ろしい視線が私に突き刺さって痛い。


 エドの狙いはわかる。私を使って気の進まない縁談を破談にしようとしてるわけだ。


「エドガー様。お茶のおかわりはいかがですか?」


 クリスティーナが一生懸命エドの気を引こうと話しかけてるのに、エドは私から目線を離さずにそのまま言った。


「私はけっこう。明にお茶を用意していただけませんか?」

「アカリ?」


「創造神に私がつけた愛称です。我が国の主神は太陽神。太陽の明かりのように尊き存在という意味です」


 かなり無茶苦茶な論法で嘘をつくエド。クリスティーナの視線が殺意を含んだ物になった。暗闇で後ろからぶすっと刺されそう。


「創造神様とずいぶん親しくなられたものですね。どこから来られたのかもわからないのに」

「私は明を信じている。私の大切な方なのですよ」


 エドは巧妙に私への感情を恋愛感情のように見せかけている。言っている言葉はいつもと変わらないんだけどな。でもエドは私を友達として大切にしてくれてるだけなんだよね。

 エドって実は女ったらし?なんか女心わかっててもて遊んでる気がする。まあこれだけ顔よくて王子なら相当もてるだろうけど。


「申し訳ありません。私気分が悪くなりましたので、失礼させていただきます」


 クリスティーナは不機嫌さを隠しもせずに部屋を飛び出した。

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