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異世界創造神は女子高生  作者: 斉凛
第1章 聖マルグリット編
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微妙な三角関係1

 私はこの優秀なマーリオから、なんとか情報を引き出せないかと頭を絞った。


「マーリオ。アルフレッド王子は碧海帝国とエドガー王子を、嫌っているようだがなぜじゃ?」

「殿下のお気持ちは私にはわかりかねます」


 無難な受け答えでスルーされてしまった。仕方ない。外堀からせめよう。


「先ほど帝国は今のところ友好国と言っていたが、敵対していた事もあると言う事か?かつて戦争したとか」

「直接的に戦争をした記録という事になりますと、建国間もない頃の帝国が他国と共同して我が国と戦争した事はあります。それ以降は直接的な戦争を行った記録はございません」


 帝国は建国200年ぐらい前だから相当前だ。その頃の恨みとかがまだ残ってるとは考えにくいよね。今は友好国になっているくらいだし。

 

「我が国と帝国は直接的には領土を接しておりません。我が国の東に帝国はありますが、その間に他の国を挟んでおります。ですから問題はその間の国々との関係次第ということになります」

「間の国との関係とは?」


「我が国の北東にはいくつかの小国や部族などがある地域がありますが、それよりもっと重要なのが南東に位置する華無荷田国との関係です」


 あの中華っぽい料理の国か。頭にこの世界の地図を広げると、このあたりでは国土の大きな大国だった気がする。


「我が国にとって華無荷田国は常に一番の仮想敵国であり、今も領土や国境付近の資源を巡って水面下での争いが絶えません。ただ今は我が国と帝国との友好関係が良好なため、華無荷田国も戦争はしかけてこないだけで」

「もし華無荷田国が戦争を始めれば、この国と帝国に両側から攻められるからか?」


「そうです。いくら帝国とて東西同時に戦争は持ちこたえられません。ですから華無荷田国が戦争をする時は我が国か帝国のどちらかと協定を結び、後顧の憂いを断って反対の国に攻め込むという事になります」

「では今の所、帝国との友好関係を保っていた方がよいというのがこの国の考えか?」


「今のところ現国王陛下の治世では帝国と友好的な関係を持っています。今後につきましては、国王陛下のご判断によるかと思います。陛下は慈悲深き賢王として名高く、無用な戦争はしない主義なため、歴代王の中でも戦争の少ない治世ではあります」


 対華無荷田国に対して友好関係を保たなければならない帝国に対して、アルはなぜあそこまで不信を持っているのか?

 やっぱり家族とか周りの人間から聞くしかないかな?




「ところで創造神様はなぜそれほどまでに帝国の事を気にされるのですか?やはり創造神様は帝国となにか深い関係がおありで?」


 マーリオは穏やかな笑顔を張り付けたまま、するどい突っ込みをいれてきた。神か疑われてるんだよな。アルには本当の事を話すつもりだが、他の人間には神と思われたままの方が私の身の安全のためだよね。どうしよう?


「アルフレッド王子がうるさいほどに、帝国やエドガー王子の悪口を言ってくるから気になっただけじゃ。しかし次期国王ともあろうものが、友好国にあのようにあからさまに悪口をいうのはいかがなものかな」


 さすがのマーリオもこれには苦笑した。さっきマーリオは止めたが、以前からきっと帝国批判が強いのだろう。


「殿下は子供の頃はむしろ帝国贔屓の方だったのですがね……」

「あの王子がか?」


「ええ。帝国は科学や文化など謎が多く、かえって「神秘の国」などと言われて、一部の貴族は帝国風文化を好む人間がいるのですよ。未知のものに心惹かれるのでしょうね」


 好奇心旺盛な子供なら、見知らぬ国に憧れをもっても不思議ではない。アルの子供時代を想像して微笑ましく思った。


「帝国贔屓と言っても、帝国に行く事は出来ぬであろう。どうするのだ」

「帝国も問題ない範囲で文化的な品は輸出してますし、友好国である我が国に外交使節が訪れる事がありますから。初めてエドガー王子がいらっしゃった時、殿下は自分と年の近い王子にずいぶんと仲よくなされていました」


「アルフレッド王子とエドガー王子が?ならばなぜ今はあれほど悪しざまに言うのじゃ。いつから帝国嫌いになったのだ?」


 マーリオは初めて答えに困ったような表情をして口を閉ざした。わからないとごまかしてかわすこともできるはずなのに。


 いつ、どうして、アルは変わったのか?そこにアルとエドを和解させるカギがある気がした。

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