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異世界創造神は女子高生  作者: 斉凛
第1章 聖マルグリット編
20/99

二人の王子5

「悪い噂?」


 エドを嫌ってるアルの話だからまともに信用はできない。でも火のない所に煙は立たず。もしかしたら噂のせいでエドを嫌ってるかもしれない。聞いておいて後で噂について調べてみよう。


「見てくれと次期帝の肩書だけはいいですからね、各国の王族達に王子の伴侶の座をちらつかせて、色々駆け引きしてるとか」


 それは別にエドが何かしなくても、勝手に周りが政略の道具として話持ってくるだろう。王子なんだし国に有利な外交をするのは当たり前の仕事だし。



「あと男色の趣味があるという噂もありますね」



 思わず飲んでいたお茶を噴き出しそうになって、無理に飲みこんだらむせた。男の趣味!ないない、あんな真面目そうなエドに……と思うが、人の趣味と性格に関係はないからな。


「その証拠にあのシュリという従者。使えもしない足手まといの子供を外交の場に連れてくるなど、美少年趣味でもあるとしか思えない」


 否定できない。シュリは頭は悪くないのだ。話してても帝国の秘密の言っていい事、悪い事の区別はついてるみたいだし、礼儀作法などはきちんとしている。性格も良い子だ。


 だが所詮、育ちの良い優等生というだけで、簡単に人に騙されるし、嘘つけないし、思ってる事がすぐ顔にでる。


 他国との外交の場で意図せずに秘密を漏らしてしまう可能性が高い。癒し系ペットのはずが足を引っ張ってストレス増やしたら元も子もない。

 しかしエドが美少年趣味でシュリがその相手って想像もつかんのだが……。



 私が言葉に詰まって悩んでいたら、アルは嬉しそうに微笑んだ。

「どうやら少しは私の話を理解していただけたようですね」

「あの王子にその手の趣味があるかは知らぬが、少なくともシュリを連れてきた点は不可解じゃな」



「男色の噂は帝国からきた使節団達が話していた事。どうやら帝国内では有名な噂のようですよ。だからもう結婚してもおかしくない年なのに、結婚してないと」

「それならそなたもおなじぐらいの年であろう。そなたは結婚せぬのか?」



 アルは苦笑して、まるで他人事のように語り始めた。

「以前は我が国の有力貴族との縁談があったのですが、その相手の貴族が他国に内通している事がわかって破談になりました。今は父上が政治のカードとして慎重に相手を選んでいるところですよ」

 王子様ってのも大変だな。結婚も自由にできないし、そりゃ他にたくさん女作ってはめはずしたくなるよね。


「しかし帝国の王子の場合は違う」

「どう違うのだ?」


「あの国は秘密主義国家ですからね。元々他国との政略結婚を嫌っている。過去に遡ってもあまり例がない。となると国内の地盤固めに有力者と結婚が政略の定石ですが、あの国に貴族はなく1代限りの官僚が政治を仕切っているので、王族以外に身分の差はないらしい。まあよくわかりませんが、王族は政略でなく自由に伴侶を選ぶ権利があるようだ」



 帝国という言葉の響きに反して、ずいぶん進歩的な国の様だ。貴族という身分もなく、官僚が政治をしきり、身分の差がない。王族が実権握ってるっていっても、日本だって天皇家とかあるしな。日本に似た国だからそんな感じなのかな。


 つまり相手を選べないアルと選び放題なエドだと同じぐらいの年でも立場が違うから、さっさと結婚しないのはおかしいと?

 しかし選び放題なほうが、期限がない分縛られずにゆっくり相手を選びたい、しばらく独身で遊びたいなと思う物じゃないのかな?



 にしても、さっきからエドの「男色疑惑」にえらいこだわってるな。何としてもエドの印象を悪くしたいのか、それとも何か意図があるのか。そう考えながらアルを見た時ひらめいた。


 もしかして……。


「よもや、アルはエドガー王子に狙われてるとか思っているのではないであろうな」


 もしそうなら、エドがアルに優しくて、アルがエドを毛嫌いする図式も納得できる。二人の絡みなど、BL趣味のない私には想像したくもないが、二人とも美形で王子で、BL好き腐女子が飛びつきそうなネタだ。


「まさか、あの男にそんな気概があるとは思えませんよ。しかし万が一私を襲おうとしたら、それを口実に切って捨てますがね」

「おほん」


 アルの不穏当な発言に、突然咳ばらいが割り込んだ。気付かぬうちに部屋には『オッサン文官』ことマーリオがいた。


「殿下。それ以上は口を慎まれた方がよろしいかと。今城内には碧海帝国の方々が行き来しております。どこから話がもれるかわかりません。今のところ帝国は我が国の友好国。外交問題になるのは望ましくないことは殿下もおわかりでしょう」


 アルはマーリオに小言を言われ、眉間にしわを寄せたが文句を言わなかった。マーリオの言った事がこの国においては常識的な判断という事なのだろう。


「そろそろ午前中の政務のお時間です。秘書官殿がお待ちになっているのでは?あの方ならこの部屋まで追いかけてくるでしょうね」


 ますますアルは嫌そうな顔をしながら、大きなため息をついて立ちあがった。


「女神よ。くれぐれも碧海帝国の人間には気を許さぬように」


 しっかり私に釘をさしてアルは出て行った。マーリオすごい。アルを口先一つで撃退した。しかもマーリオは張り付いたような笑顔ひとつ壊さずに。

 今は私専属を任されているけど、そうとう優秀な人材なのだなと感心した。

この後はさらに更新ペースを落として週1にします

お待たせしてしまってすみません

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