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異世界創造神は女子高生  作者: 斉凛
第1章 聖マルグリット編
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二人の王子3

 私はとぼとぼと庭から廊下へと戻った。

 あの兵士さんが無言で出迎えてくれた。何だか気まずそうだ。

 そうか遠くから私達を見てたんだ。この兵士さんの目からみたら私達はどう見えたんだろう。

 ああ、兵士さんじゃない。感情を持った人間だ。

 その自分の考えを改めなければって思ったばかりじゃないか。



「そなたの名を聞いてもよいか?」

 私の唐突な質問に兵士さんは少しだけ驚いた。しかしさすが兵士。すぐに動揺から立ち直った。


「アルノーと申します」

「アルノーか、待たせてすまぬ」


 急に私が謝ったのでアルノーはまた驚いた。今度はさっきより立ち直りが遅かった。


「いえ。待つのが私の仕事です」


 召使と同じ。名前もなく、言葉を交わすことなく、ただそばに控えて黙々と仕事をする。

 それがこの国の、この世界の常識か。物の用に扱われて当然だけど中身は人間、そう理解するのは難しい。


 そのままとぼとぼと帰ったら、私の部屋の前ではあのオバサンメイドが待ち構えてた。

 こんな真夜中に起きているとは。昨日もこの人の目を盗んで部屋を抜け出したばかりだったから、警戒して気づくのが早かったのかもしれない。


「創造神様。どこへいってらっしゃったのですか」

「心配をさせてすまぬ」


 私がいきなり謝ったので、出ばなをくじかれたように驚いてそれ以上追及してこない。


「ところでそなたの名を聞いてもよいか?」


 ますます困惑するオバサンメイド。しかしそこは経験の差か、ユリアより冷静に答えた。


「セシリアと申します」

「セシリア。妾は寝る。もう黙って抜け出したりはしないから、そなたも寝るがよい」


 私がセシリアの横を通り過ぎた時、セシリアが思いのほか優しい口調で言った。


「このまま朝まで寝たふりをされるつもりですか?そんなお顔のままで眠れるわけがないでしょう」


 私はそんなひどい顔をしているだろうか?


「少し薬が効きすぎたようですね。安眠効果のあるハーブティーをお持ちします。部屋でお待ちください」


 セシリアは召使いの仕事として気遣ったのだろうか?それとも彼女自身の優しさだろうか?私にはわからない。

 ただ彼女のいれてくれたハーブティーは優しい香りがして、傷ついた心を癒してくれた。

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