異世界という名の夢1
藤島明は意識を取り戻した時、ひどい違和感を感じた。
今自分は固く冷たい床の上に寝ているようだ。
寝ている間に寝相が悪くて床に落ちたかなぁ?それならすぐ目が覚めてもおかしくないんだけど。
確か昨日はいつものようにパソコンに向かってる途中で眠くなったんだよなぁ……
まだ起きたくないけど、床に寝転がったままはまずいよね。
そこで私は目を開いた。藤島明16歳。人生が変わる瞬間だった。
「え……ここどこ?」
床は白い石を敷き詰めたもので、周りを見渡せば柱も壁も天井も同じように石作りだ。
日本ではなかなか見られない景色に呆然とした。
もっと観察しようとゆっくりと起きあがる。
「おお……創造神様。お目覚めになりましたか」
突然かけられた声に驚き振り向くと、人々が両側に立ち並んでいた。
皆が同じ白いたっぷりとした布地の服をきて、帽子を被っている。
現代日本ではありえない服装に、一瞬自分はハリウッド映画の撮影にでも紛れ込んだかと思った。
しかしもっと違和感があるのは、明らかに欧米人といった顔立ちなのに、言葉が流暢な日本語という所だ。
白服の一団の中、一番奥にきらびやかな刺繍がほどこされた一番派手なじいさんがいた。顔を見た瞬間目をそらしたくなった。
だって明らかに目がいっててヤバそうなんだもん。
変人?狂人?でもアイツ一番偉そう。てことは周りの人間もまともじゃないな。
「創造神様。わざわざ遠く異世界から我々の召還に応じていただきありがとうございます」
創造神?異世界?召還?
何その3流小説にでてくるような単語の数々は。
混乱する頭の中で、やっと思考が追いついた。
ああ……これは夢なんだ……。
夢ならおかしなセットも、外人が日本語しゃべってもおかしくない。
面倒そうな夢だから早く覚めてくんないかな……
「私は聖マルグリット王国、キルギス教団教主コンラッド・カタリナと申します」
ん?何か国や名前に覚えがあるなぁ。
まあ夢なんだし、どこかで読んだ漫画や小説の記憶が混ざって……
「あぁ!」
創造神、異世界、日本語が通じる外国人、これら違和感のピースがはまって一枚の絵が出来上がった。
まさか、まさかのそのまさか?
ありえない!でもそれなら辻褄は合う。
確かに私は創造神かもしれない。
だってこの世界は私が書いた小説なのだから。