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第2話「出会う。水に溶ける」



 畠山一誠達が水森山公園で怪しげな神社を発見してから、数日後。


 その日はいつも通りの高校生活だった。帰宅部である一誠はいつも通りに授業を受けた。それから幼馴染の海暖が今日は部活動であることを確認してから、自分の机で帰宅準備を整えている時のこと。


「おーい一誠。お客さんだぞー」

「お客?」

「ほら、あそこ。錆止女さんがお前を待ってるだろ?」


 クラスメイトの男子に声を掛けられ、言われたほうに視線を移すと錆止女玲奈がいた。一誠と目が合うと、彼女は微笑んで軽く手を振った。


 一誠から見た錆止女玲奈という女の子との関係性は、去年クラスが同じだった同級生という程度の間柄である。と言っても異性であるため、二人は特に交遊があるわけではない。他に一誠が知っている彼女のことと言えば、他のクラスメイトと同じことである。彼女は陽気で勝気だがクールさも併せ持つ身長一六〇センチの美少女。霊感を持ち霊能力者の家系であるらしいということだ。


 玲奈のほうは一誠のことをジムに通って鍛えている変わり者の帰宅部という認識である。筋肉があってスタイルが良く、水羽海暖の将来の旦那様的な存在という認識だ。


 一誠が鞄を背負って玲奈の元へ向かう。


「どうも。何か用なのか?」

「まあそんなところだ。神社と言えばわかるか?」

「神社……」

「心当たりがあるようで何よりだ。あそこで話そう、大事な話だからな」


 神社という言葉に一誠が小さく畏怖か不安を抱いたことを玲奈は察した。情報を収集するため、玲奈は空き教室に先導する。


 オカルトなことに巻き込まれそうだという予感を感じながら、一歩遅れて彼女について行き、教室に入ると玲奈が扉を閉めて鍵をかけた。そして三階であるその教室の窓から校庭を眺めながら、二人は話し始める。


「まあ、知ってるかもしれないが、私、というか私の家系は生まれつき霊感に優れていてね。家業もそういうオカルト関係の仕事なんだ。今はちょっと厄介な仕事を受け持っているんだが、どうも君もそれに巻き込まれるかもしれないんだ。その確認をしたかったのさ」

「ああ、それはとんでもない話だ。幽霊に筋肉は役に立たないからな。勘弁してくれ」

「なーに、悪霊から逃げるのには役立つさ。ハハハっ」


 冗談交じりに謙遜する一誠に玲奈が笑みを零した。ふと気を引き締め、玲奈は真剣な面持ちで尋ねる。


「さて、確認だ。きみ、水森山公園の奥にある神社の敷地に入ったな?」

「敷地と言うのかあそこは……まあ、異常な雰囲気の場所に神社はあった。はっきり言って気持ちが悪かったからすぐに引き返した。だから悪いことはしていない……というかなぜそんなことがわかった?」

「別にオシドリ夫婦のストーカーをしたわけじゃないぞ?」

「大丈夫だ、それは思っていない」

「まあタネを言うなら水森山公園の周囲を調べていたからだな。それで直近だと君と水羽さんが訪れた形跡があったわけだ」

「形跡?」

「あそこには結界が張られているんだよ、神を封印し神社を隠すためのね。それを調べれば結果的に誰が訪れたのかわかったというだけの話さ」

「なるほど。ストーカー疑惑は晴らしておこう」

「きみぃ、やっぱりそうやって疑っていたんじゃないか」


 冗談交じりにふてくされる玲奈に、一誠も冗談交じりに態度でとぼけ返している。彼女が冗談気味にしているのは、一誠がいささか緊張気味だからだ。彼は水守神社の恐ろしさを肌身で感じたことを、まだ引きずっている。


「畠山くん。確認するが、神社の前、もしくは神様の前でお祈りやお願いなんてしていないだろうな?」

「していないな……」

「何かやったことあるか? あるいは気になったことでもいい」

「……ああ、海暖がなぜか水を飲もうとしていたな。池の」

「池の? ため池というか巨大な池があったんだな?」

「怖いくらいに透き通っていた池だった。魚の姿がはっきりわかるくらいだ。それをなぜかアイツは飲もうとして……やっぱりあれに何かあるのか?」

「見ないとわからんが、水守神社の神の御尊名(ごそんめい)を“水守之白水(みずかみのはくすい)”と言う。文字に表れている通り水の力を司る神様さ。ないと考えるのは楽観的すぎるだろう?」


 彼女の返しに嫌な感触を覚えて一誠は顔を引き攣らせた。それを見て玲奈も神社の歴史を少し話しておくことにした。


「あの神社――水守神社というんだけどね。今から一〇〇年以上前に建てられたそこそこ古い神社だったそうだ。ある時期までは田舎ならありふれてる神社の一つでしかなかったんだが、第二次世界大戦をきっかけに大きく神社の趣旨が変わってしまったんだ」

「……第二次世界大戦?」


 ピンとこない表情の一誠に玲奈が思わず共感する。自分も最初に聞いたときに何の関係があるのかと想像がつかなかったからだ。


「戦争が起きると人間はどうなる?」

「どうなるって……人が死ぬくらいしか……?」

「そう。当時のただの田舎だった“水森町”なんだが、運が悪いことにその影響をもろに受けたんだ。招集された兵隊さんがみんな戦死、あるいは生殖機能を失った状態の悲惨な姿で帰還したらしい」

「なるほど。それで男女の割合が狂ったというわけか」

「でも人口は増やさないといけない。人手がいないと田畑は荒れるし、経済活動やらなんやらも滅茶苦茶になるというわけさ。それで辿り着いた結論が、村で乱交パーティーを主催にする祭りを開くことだった」

「ら、乱交パーティー……」

「ハハハ、いい顔をしてるなぁ。私もそんな感じでポカーンとしてたよ。まあ当時はSNSとかもないからね。秘密裏にやるのも限界があって、派手にやらなければいけなかったとかじゃないかな?」


 悪性が含まれる言葉への反応に、玲奈は嬉しそうについつい彼へ指を指しながら笑っている。それだけ一誠の顔が珍しく間抜け面だったからかもしれない。クラスメイトからの彼の評価はクールなイケメンだからだ。


「乱交パーティー、ハーレムパーティーと言うほうが正確か? いやあ、人間は追い込まれたら何でもやるね」

「追い込むのは筋肉だけにしておこうぜ。それで?」

「おお、脳筋だね。それでまあ、さすがにそんなの外聞が悪いから大っぴらにやるのは問題だろう? そこで目を付けたのが山奥に建てていた水守神社というわけさ。それでエッチなことも祭りも神社でやるというのが伝統行事になったんだ」


 玲奈が呆れるように笑いながら伝統行事と口にしたところで、一誠がふと気づく。


「もしかして恋愛神社がどうたらというのは……?」

「大いに関係あるだろうね」

「むっつりスケベ(がみ)って呼んでも怒られないだろ」

「……っ!? アハハ! むっつりスケベ神!? たしかにむっつりスケベ神だ!」


 ツボにハマったのか玲奈がゲラゲラと笑い出す。一誠はつられて笑いつつも、話を聞けば聞くほど巻き込まれた感覚を覚えて不安が増している。


 玲奈が咳払いをして落ち着きを取り戻す。同時に野球部や陸上部が練習を始めたのか練習の掛け声がわずかに聞こえて来くるようになった。


「失礼失礼。まあそんないかがわしいことをしていても当初は問題なかったようなんだ。人間の倫理は必ずしも神の倫理と重なるわけじゃない。祭りの建前も産めよ増やせよというやつだし、歓迎するべきことだったんだろうしさ」

「……しかし時代が(くだ)がるにつれ、か?」

「ありがちだよな。そういうこと」


 ウンウン、と玲奈が頷く。


「ま、そういう流れで続いていると、五十年ほど前に最初の事件が起きた。警察の公式記録では犯人不明の迷宮入りした謎の猟奇事件さ。そこから複数の似たような事件が続いていく。殺人の手口は熊にでも千切られたのかと思うほどの力でバラバラにされた。それが共通点だな」

「恐ろしい事件だな。まあそれが――」

「そう、水守之白水様による仕業さ。神の仕業が事実であっても深く知らない人間からすればただのオカルトだし、何より神を人の法で裁くなんざできないからな」

「なんでそんなやばいことになったんだ。成り行きだけならスケベ神で我慢していそうなのに」

「ほら、SMプレイとかあるだろう? ああいうのがいきすぎて神社、それも本殿の中で死人が出てしまったらしい。その件の詳しいことは記録がないが、それがきっかけじゃないかと考えられている。私としてもその推測には賛成だな」

「バカじゃねーの???」

「うん、ものの見事に大バカだと私も思う」


 一誠は頭を抱えるような仕草で唸り、玲奈は同意すると深く頷いている。


「それであんなところに放置されていたというわけか」

「封印を施してな。それで現状、それが解けかかっているので結界再構築のための調査と作業を私が行なっているというわけだ」

「なるほどな。そうなるとあそこに行ったのは迂闊すぎたな」

「不注意ならまあそれでよかったんだが、どうもそれだけじゃない。おそらく、神社から人を引き寄せる術、催眠術や洗脳術のようなものが使われている。恋愛神社の噂というのも、元はそれから発している可能性が高い。

 なにしろ、水守神社の記録はほとんど破棄されているからな」

「!? ……俺にそんな自覚はないが」

「だろうな。霊感能力が弱くても肉体が屈強なら弱い術の影響を受け付けないこともある。きみの場合はそれだろう」

「こんな形で筋肉に助けられるのか。やはり筋肉は最高だな」

「クールな外見には似合わねえセリフだなぁ、アッハッハッハ!」


 冗談交じりに誇らしげな一誠に、玲奈は大きく笑った。そして二人はふっと真剣な面持ちに戻る。


「もしかしなくても、海暖が危ないか?」

「確定していないが、他にも何人かいる。最優先で狙われているかはわからない。それと、どうも白水様は私を認知して警戒しているらしい。おかげでまだ本殿に辿り着けてないんだ」

「……俺がやるべきことは?」

「水羽さんに注意してほしい。巻き込まれそうな中で見た限り、きみくらいしか安全に行動できる人はいないからな。私は一流の霊能力者だが単独だからな。どうしても手が足りない時はある。よろしく頼む」

「わかった。でもあいつだけで――」

「一般人にそこまで頼めるかよ。あとは錆止女の仕事さ。きみはあの子の旦那様らしくしっかり守ってやってくれ」


 手を振ることで一誠の協力を断りつつ、玲奈は教室から出ようとする。扉の鍵をあることを思いついて一誠に振り返った。


「畠山くん。せっかくだし友達にならないか?」

「学友だからそもそも友達だろう。玲奈」

「……それもそうだな。悪い悪い。じゃあな、一誠」


 玲奈は少し顔を赤らめて教室を出て行く。

 一誠は少し校庭を眺めて考えてから、教室を出て行った。




   ■   ■




「あー! あーあーあー! 失敗したな―!」


 夕方より少し前。平日のため誰もいない水森山公園の中を、一人の女子高生が荒ぶった様子で散歩している。


 水羽海暖がプンスコプンプンしているのであった。そして曲に乗せるようにリズム取りながら声を張り、それが小さな森の公園に背一杯の反響をさせていた。


「美・少・女とー! 二人きりっでー! 歩いててぇ! 鋼の意志でぇ! 手を出さない! 不思議神社をみぃーつけって! エモい雰囲気だけでぇ! はい! さよなら! ……ちくしょー!」


 海暖が思いっきりコンクリートの道の上を蹴る。ザリっという空虚な音が実に彼女の気持ち表している。


 水羽海暖は畠山一誠に好意を抱いている。幼馴染であることからその思いの大きさと言うのは一種の熱病のようでさえあるが、最高の幸せでもあった。そして彼のほうも海暖に対して特別な想いを募らせている。彼女はそれも確信している。


 しかしどういうわけか、彼女から精一杯の誘惑をしてるのに畠山一誠は何にも手を出してこない。彼女は手応えと言うもののが感じられず、不安は募るばかりだ。


「二人だけの場所のほうがエモいんだよなー。だから戦略としては間違ってないはずなんだよ……ホモじゃないのも確定してるし充分にエッチなのも確認済み……なんでや!? おまえを大好きでメスっ()丸出しのピチピチ美少女がいるんやぞ!? パパっと手を出せや! アンコのごとく美味しそうだろがい! プンプンスコスコプンプン!」


 盛大に愚痴を言いつつ、海暖は水森山公園の奥へと進んでいく。


 次の計画はあの神社でのデートだ。幸いなことにあの神社の風景はとても美しく心が惹かれるものである。あの綺麗な池を観賞しながらおしゃべりすればよい思い出になるだろう。何ならいい雰囲気に発展し正式に交際へ至る可能性も期待している。


 ラブコメにありがちだが、現実で自然とそれを満たせるならやるに越したことはない。きっと彼は自分をより特別扱いしてくれるだろうと期待できるのだ。




「まあいーちゃんの言うように不気味さはわからなくもないけどさ……でも特別感は大事なんだよ特別感は。それにお休みの真昼間に来れば不気味さも薄れるはずだよ」


 言いながら進んでいくと、とうとう公園の奥地に到着する。そして手早く見渡すと、これまたあっさりとあの神社へと続く参道のような道を見つけた。それに頬を緩ませて、海暖はさらに奥へと足を勧めていく。


 それを迎えるように、鳥居のようになっているツタが揺れ、誰かを呼ぶように小さく揺れを起こしていた


「あー……やっぱきれいだよね、この池の水」


 石が歩みの導のようになっている参道を通って出ると、迎えたのはあの時と同じ、敷地内に広がる大きな池だ。そしてその池は水流が存在しないにもかかわらず、美しく明け透けな無色透明に照らされていた。


 大自然のそれにまた感動した海暖は、ゆっくりと池の前まで足を進めた。写り込んでいる自分の顔も感動のあまりに緩みっぱなしであった。正統派の清楚な美少女であるその顔が映えるというのは自分であっても、いいものはいいのである。


「――お気に召してくれて何よりだ、人の子よ」


 聞こえるはずがない声に驚き、振り返ると、そこには青い着物を着た小柄な女の子が海暖を嬉しそうに見据えていた。


「あ、あなた、は?」

「私か? 私は水守之白水(みずかみのはくすい)である。敬う際は白水様と略してもらって構わんぞ」


 言って、白水と名乗った女の子は海暖のほうへ歩いて来た。身長は一四〇センチくらいで、それだけなら小柄な中学生で通じるが、全体的な雰囲気はとてもそうは見えない女性である。


 白水という女性からは人間ではない冷たさや、畏れのような雰囲気を感じさせた。それは日本人離れした容姿であるからかもしれない。銀のような美しさを宿す長い白髪のツインテールと、海のような深い青色を宿した鋭い目。この二つが海暖に、人間同士のような親しみを感じさせることを難しくする。


「疑うのか?」

「あーその……ちょっとだけ?」


 疑いを口にしながら、海暖は彼女が神であることをほぼ信じていた。美しさとその雰囲気が人間離れしており、水盛町には常に着物を着るような習慣や風習は残っていない。なにより海暖は初めて訪れた時から、この場所には神聖さを感じている。


 そんな反応を察しながら、白水は面白そうにあえて疑念を晴らそうとする。


「ふむ、まあ、いいだろう。奇跡や御業を目にしなければ人は忘れる。それも自然の(ことわり)だ。人が生きるためには仕方がない。それに、思い出せばいいだけのことだ」


 言って、彼女は本殿のあるほうに手をかざすと、その手が一瞬だけ光を帯びた。するとその手には一瞬で赤く塗られた木製の杯が出現する。


「さあ、我が祝福を手に取れ。貴様も我が信徒となるのだ」


 海暖は目を何度も瞬きさせるほど驚き、返答がうまく出来ない。白水から渡される杯を言われるまま受け取るだけだ。


 しかしその御業には不信や恐怖のような感情は海暖にはなかった。あるのは感嘆や嬉しさといった肯定的な感情だけ。


「――よろしい。これで貴様も我が信徒だ。せっかくだ、貴様の願いを我の教義に沿って叶えてやろう。何かあるかね?」

「願い、ですか?」

「そうだ。例えば恋愛なら、好きな男と添い遂げたい、複数の男から愛を受け取りたい、好きな男のものがほしい、などがあるだろう。あるかね、願いが?」


 問われて、海暖は何も警戒することなくただ導かれるままに願いを口にする。


「いーちゃんと、畠山一誠と結婚したいです。恋人になりたいです」


 白水はその願いを受け取り、笑みを深める。その穏やかな笑みは思惑通りに進んでいくことに喜びを感じている顔であった。


「信徒の願いは叶えようぞ。さあ、まずは私の祝福――溜水(たまりみず)を授けよう」


 白水が前に出て、今度は両手を前に差し出す。手のひらを向けた先は透明色の池の方向だ。すると池のほうで不思議な力が発生し、水がひとりでに動いて水球となり白水の手元にまで移動してきた。


 白水はそれをさらに霊的な力により圧縮していき、やがて杯を満たす程度の少ない量にまで調整すると、それをそのまま海暖の手にしている杯へ移す。


 杯に満たされた水、その彩りは無色透明の水である。しかしどこかそれは日本酒のようにわずかな差異を感じさせた。海暖はそれを特に神聖なものとして受け取ったようだ。嬉しさのあまりに笑顔を浮かべている。


「――ありがとうございます。いただきます」


 海暖は言うや、すんなりと水を喉へ通した。食堂を駆けていくその水は格別の美味さであって、これほどの水を飲んだことはない。酒やジュースといった凝った嗜好品も、この水の豊かさには到底勝てないであろう。


 それを飲み切ったところで、海暖は心が陶酔したようになっていく。しかし彼女は自分の変化に気づかず、白水への信仰を深めていく。


 その様子を確認していた白水が、とある事項で少しばかり顔を顰めた。


「貴様の想い人と言うのはこの間の……なるほど。それは少し問題があるな」

「問題、あるんですか?」

「貴様の霊感ではわかりにくいだろうが、この神社には面倒な結界が張られている。頑丈でいて、私の水という性質をよく理解した結界だ。まあつまるところ、今の私では貴様の願いを叶えるのは少し難しい。が、貴様の協力があれば問題ない」

「協力……協力します……白水様の御為ならば、私の命を使っても……」

「フフフ、よくぞ言ってくれた。なに心配するな。結界に小さなヒビを入れてもらうだけだ。それも外側にある結界石かそれに相当するものを、ただの物理的な力で壊せばいい」


 言って、笑みを浮かべながら白水は海暖の手を取る。その途端、その特別な冷たさに海暖は最上の心地よさを覚えた。同時にそこから神の力により脳内へ映像が流れて来る。調査と破壊する場所の物だろう。


「軟らかい水は隙間さえあれば簡単に入れる。頼んだぞ」

「はい、お任せください」

「ああそれから、錆止女という女には近づくな。あれは人にとっては有能だろうが、私のことを敵視している。気を付けよ」


 海暖はうやうやしく頷いた。


 そして彼女は拝殿にて祈りをささげたのち、水守神社から立ち去った。


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