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第16話 SNSアワード開幕!光と影のステージ、最後の戦い!

 今宵、王宮大広間は、まさに星々の饗宴!

「第一回 王都SNSアワード」の会場は、王都中のセレブリティ、人気インフルエンサー、そして有力貴族たちが集い、かつてないほどの熱気に包まれていた。魔法カメラの無数のフラッシュがたかれ、きらびやかなドレスやタキシードがフロアを彩る。


 あたしは、リリアン王女殿下が「お姉様には、炎の色が似合うわ!」と選んでくれた、燃えるようなオレンジ色のドレープが美しいドレス。隣には、まるで月の女神のように、静謐な輝きを放つ純白のドレスに身を包んだソフィア様。あたしたち二人がレッドカーペットに登場すると、ひときわ大きな歓声とフラッシュが!

「#探偵令嬢コンビ降臨!」「#エマリア様のドレス素敵!」「#ソフィア様マジ女神!」

 あたしのマギフォンには、リアルタイムでハッシュタグが飛び交っている。気分は最高潮よ!


 会場には、優しい笑顔のハインリヒ王太子殿下、あたしたちにウィンクを送るリリアン王女殿下、そして、壁際で冷静に全体を見渡しているリヒト様の姿も。そして……スポンサー席には、にこやかな笑みを浮かべているけれど、目の奥が笑っていない、疑惑の大物貴族、アルバート公爵の姿があった。

(絶対に、あんたの悪事を暴いてみせるんだから!)

 舞台裏の制御室では、ミロが天才的な指さばきで、魔法制御盤と格闘しているはずだ。頑張って、ミロ!


 アワードは華やかに進行していく。「ベスト・ペット動画賞」「飯テロ・オブ・ザ・イヤー」なんていう楽しい賞から、「社会貢献インフルエンサー賞」まで。ソフィア様は、その慈善活動と美しい投稿で、当然のように「エレガンス・SNS賞」を受賞していたわ。悔しいけど、これは納得ね!


 そして、ついにあたしたちの出番、「SNSの光と影~あなたのマギフォンは大丈夫?~」啓発コーナーの時間がやってきた。

 ステージに上がると、緊張で心臓が飛び出しそう!でも、隣にいるソフィア様が、小さく「エマリア様、信じておりますわ」と囁いてくれた。それだけで、百人力よ!


 最初は、用意した台本通り、SNSの安全利用について、あたしが親しみやすく、ソフィア様が論理的に解説していく。でも、あたしはソフィア様に目配せを送った。――いくわよ!


「……さて、皆様。SNSには楽しいこと、ためになることがたくさんありますわ。でも、中には、こんな甘い言葉で、あなたを誘惑する“闇”も潜んでいるのです!」

 あたしがそう切り出すと、ソフィア様もマイクを握りしめた。

「今、王都の若者の間で『願いが叶う』と謳う、危険な魔法アプリが出回っています。わたくしの友人の魔導学者が解析したところ、このアプリは利用者の大切な個人情報を不正に収集し、さらに依存性を高める、非常に悪質な魔法術式が組み込まれていることが判明いたしました!」


 会場が、一気にざわめきに包まれる。

 その瞬間、アルバート公爵が血相を変えて立ち上がり、叫んだ。

「な、何を馬鹿なことを!そのような根も葉もない噂を、この神聖なアワードの場で!名誉毀損で訴えてくれるわ!」


(来たわね!)あたしは心の中で叫んだ。

「根も葉もない、ですって?ならば、これは一体何ですの!?」

 あたしが合図すると、ミロが、王宮のセキュリティを突破して、制御室から魔法映像を巨大スクリーンに映し出した!


 スクリーンに映し出されたのは、『ウィッシュフル・ドロップ』のユーザーたちの悲痛な叫び、アプリの不正なプログラムコードの解析結果、そして……アルバート公爵の秘密口座へと流れていく、不正な金の流れを示す、動かぬ証拠!

 さらに、会場中のマギフォンに、勇気ある被害者たちが「#私もウィッシュフルドロップの被害者です」というハッシュタグと共に、次々と告発を投稿!その投稿が、スクリーン上にリアルタイムで表示されていく!


「こ、これは……一体……!」

「アルバート公爵が、あんなことを……!?」

 会場は、驚愕と怒りの声に包まれた。


 追い詰められたアルバート公爵が、懐から怪しげな黒い水晶玉――強力な魔力妨害装置を取り出そうとした、その瞬間!

「そこまでです、アルバート公爵」

 リヒト様が、音もなく公爵の背後に現れ、数名の王宮衛兵と共に彼を取り囲んだ。

「あなたを、詐欺、不正アクセス禁止法違反、組織犯罪処罰法違反、その他多数の容疑で逮捕します。大人しくご同行願えますかな?」

 リヒト様の冷静な声が、会場に響き渡る。


 そして、王太子殿下がマイクを手に、力強く宣言した。

「このような卑劣な行為は、断じて許されるものではない!SNSは、国民の生活を豊かにする可能性を秘めた、大切なツールだ。王室は、全ての国民が安全に、そして自由にSNSを利用できる環境を守ることを、ここに固く誓う!」


 割れんばかりの拍手と歓声!

 あたしとソフィア様は、ステージの上で、思わず手を取り合っていた。


 アワードは、この衝撃的な事件を経て、それでもなお、感動的なフィナーレを迎えた。

 そして、最後に発表された特別賞……。

「第一回 王都SNSアワード、特別賞『SNSフェアプレイ大賞』は……その勇気ある行動でSNSの闇を払い、多くの人々に希望を与えた、エマリア・フォン・ヴィルト様、並びにソフィア・ヴァレンティア様に贈られます!」


 えええええ!?あたしたちが受賞!?

 ソフィア様と顔を見合わせると、彼女も驚きつつも、誇らしそうな、そしてちょっぴり嬉しそうな顔をしていた。

 あたしたちは、手を取り合ったまま、観客の嵐のような拍手に応えた。スポットライトが眩しくて、なんだか夢みたい……!


 アワード後の祝賀パーティーは、それはもう大騒ぎだったわ。

 あたしは、王太子殿下とワルツを踊らせていただいて(リヒト様が、なんだか複雑そうな顔で見てた気がするけど……気のせいよね?)、ソフィア様とは「次はどんなコラボで王都を驚かせましょうか!」なんて企んで、ミロやチームのみんなとは、高級シャンパンで(あたしはジュースだけど!)乾杯!


 事件は解決したけど、ミロは「アルバート公爵、まだ何か隠してる気がするぜ」なんて呟いてるし、あたしの公式アドバイザーとしての道も、王太子殿下との恋の行方も、ソフィア様との友情も、全部これからが本番!


 王都SNSアワードは伝説となり、あたし、エマリア・フォン・ヴィルトの物語は、まだまだ終わらない!

 さあ、次のバズと、次のドキドキを探しに、最新マギフォン片手に、明日も全力で駆け抜けるわよっ!

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