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第15話 魔法のアプリに潜む罠!?アワード準備は大騒動!

「王都公式SNSアドバイザー(見習い)エマリア・フォン・ヴィルト、本日も王都のSNSの平和と健全な発展のため、全力で務めさせていただきますわ!」

 なんて、朝一番に自分の執務室で高らかに宣言してみるものの、現実は書類の山とリヒト様からの無茶ぶりな課題、そして鳴り止まないマギフォンの通知との戦い!でも、充実してるってことよね!


 そんな中、王都を揺るがす一大イベント「第一回 王都SNSアワード」の実行委員にも任命されちゃったから、もう大変!

 実行委員の初会合に行ってみると……やっぱりいたわ、ソフィア様!純白のドレスじゃなくて、今日は知的なネイビーのセットアップ。それもまたお似合いで、ちょっと悔しい!


「エマリア様、またお会いしましたわね。今度のアワードでは、くれぐれもステージ上で叫んだり、関係者以外立ち入り禁止の場所に忍び込んだりなさいませんように。よろしいですわね?」

「そ、そちらこそ!完璧すぎて近寄りがたいオーラを振りまいて、会場の空気を凍りつかせないでくださいましよ!」

 バチチッ!と、またしても見えない火花が!でも、なんだかこのピリピリ感、クセになっちゃうのよね。アワードのテーマは「SNSの光~未来を照らすクリエイティビティ~」ですって。あたしたち二人で、どんな「光」を提案できるのかしら?


 そんな多忙な日々の中、ミロから新たな不穏情報がもたらされた。

「マリィ様、最近王都の若い連中の間で『ウィッシュフル・ドロップ』っていう“願いが絶対に叶う魔法のアプリ”がヤバいくらい流行ってるんだが……どうにもキナ臭いんだ」

 ミロが見せてくれたマギフォンの画面には、パステルカラーの可愛らしいアイコンと、「好きな人と両想いになれた!」「臨時収入ゲット!」みたいな、キラキラした成功体験談が並んでいる。でも、その一方で……。

「『高額な“星のかけら(課金アイテム)”を買わされたあげく、何も起こらなかった』とか、『アプリをインストールしてから個人情報が流出してる気がする』なんて不穏な書き込みもチラホラあるんだよな」


「なんですって!?それ、悪質な詐欺アプリじゃないの!」

 あたしはリヒト様にすぐさま報告。リヒト様は眉一つ動かさずに言った。

「そのアプリについては、すでにいくつか情報が上がってきている。だが、運営元が巧妙に隠蔽されており、法的に介入するには証拠が足りない状況だ。……エマリア嬢、君の“嗅覚”で、何か掴めないかね?」

 またしても、あたしに丸投げですか!?でも、SNSの闇を見過ごすわけにはいかないわ!


 アワードの企画会議で、あたしはこの「ウィッシュフル・ドロップ」問題を提起した。

「SNSの光を称えるアワードだからこそ、その影にも目を向けるべきですわ!最近問題になっている悪質なアプリについて、注意喚起するコーナーを設けませんか?」

 すると、意外にもソフィア様が「……興味深いですわね」と呟いた。

「そのようなアプリの存在は、SNS全体の信頼性を損ないかねません。わたくしも、その危険性については警鐘を鳴らすべきだと考えますわ」

 そして、こう続けたの。

「わたくしの知り合いに、高名な魔導学者の方がいらっしゃいますの。その方に依頼して、問題のアプリの魔法的な構造や、情報伝達の仕組みを解析していただけないか、相談してみましょう」

 ソフィア様、クールな顔して、実はすごい行動力!あたしたち、最強の探偵令嬢コンビ、再び結成ね!


 そんなこんなでアワードの準備とアプリの調査に奔走していると、王太子殿下から「例のSNSチャンネルの企画について、もう少し君と話したいんだ」とお誘いを受けた。

 王宮の美しい庭園を二人でお散歩しながら、SNSの未来について語り合う……なんて、まるで恋する乙女の夢じゃない!?

「エマリア嬢の斬新なアイデアと、国民に寄り添う温かい心は、これからの王室SNSにとって不可欠なものだ。ぜひ、私の相談役として、これからも力を貸してほしい」

 王太子殿下の真摯な瞳に見つめられて、あたしの心臓はまたしても暴走特急!

 その様子を、遠くのバルコニーからリリアン王女殿下が「お兄様、押せ押せー!」とばかりに手を振っているのが見えた。……あの子、本当に油断ならないわ!


 そして、あたしのそんな浮かれ気分(!?)を察したのか、執務室に戻るとリヒト様が、いつもより少しだけ……ほんの少しだけ、鋭い視線を向けてきたような?

「エマリア嬢、王太子殿下との“有意義な”ご相談は終わったかな?それより、例のアプリについて、少し進展があったようだ」

 リヒト様の声、なんだかちょっとだけトゲがあるような……気のせいかしら?

 彼が見せてくれたのは、ミロからの最新報告。

「マリィ様、突き止めたぜ!『ウィッシュフル・ドロップ』のサーバーの痕跡、以前マルヴォーリオが使ってたダミー会社のものと酷似してる!そして、このアプリの課金システムの金の流れを追ったら……マルヴォーリオ事件の時に名前がチラついた“あの”大物貴族に繋がってる可能性が濃厚だ!」


 やっぱり、マルヴォーリオ事件は、まだ終わってなかったんだわ……!

 しかも、その大物貴族って、確か……「王都SNSアワード」の、有力なスポンサー企業の一つと深いつながりがあるって噂の……!


「まさか……アワードそのものが、何か大きな陰謀に利用されようとしてるんじゃ……!?」

 あたしの背筋に、冷たいものが走った。


「王都SNSアワード」の華やかな幕開けまで、あと数日。

 光り輝くステージの裏で、SNSの闇がうごめいている。

 あたしたちは、この甘い罠に包まれた「魔法のアプリ」の黒幕を暴き出し、アワードを、そして王都のSNSを守ることができるのかしら!?


 ソフィア様との共同戦線は、アワードでどんな化学反応を起こすの?

 そして、あたしの心ときめく恋の行方は、一体どうなっちゃうのよー!?

 次回、波乱万丈のSNSアワード、いよいよ開幕!光と影が交錯するステージで、エマリア・フォン・ヴィルト、最後の戦いが始まる!(……って、前にも言った気がするけど、今度こそ本当の本当に、クライマックスかもしれないわよ!)

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