第14話 伝説の次は恋の予感!?アドバイザーはときめき注意報!
「#探偵令嬢コンビ衝撃の生中継」
「#SNSの女神と炎上令嬢奇跡のコラボ」
「#マルヴォーリオ逮捕の瞬間を見逃すな」
庭園イベントでの、あたしとソフィア様の活躍(という名の大捕り物劇)は、案の定、王都のSNSを席巻!トレンドワードはあたしたちの名前で埋め尽くされ、ファンアートや二次創作(あたしが魔法少女でソフィア様がその相棒、みたいなのまであったわ!)が溢れかえるお祭り騒ぎよ!
お父様も、さすがに今回の件は認めざるを得なかったみたいで、朝食の席で、ポツリと「……まぁ、結果的に王都の治安維持に貢献し、ヴィルト家の名を(良い意味で)高めたことは評価しよう」なんて、ちょっとだけデレてくれたの!やった!
そのおかげか、あたしの「王都公式SNSアドバイザー(見習い)」執務室は、ちょっぴり日当たりの良い角部屋にグレードアップ!そして、王太子殿下から賜った最新型マギフォンには、リリアン王女殿下プロデュース(たぶん)の、キラキラ✨お花モチーフの魔力チャームが取り付けられていた。か、可愛いすぎっ!
「これも、ソフィア様との息の合った連携プレーのおかげですわね!」
事件解決のお祝いと称して、あたしはソフィア様を、最近SNSで話題の隠れ家カフェ『秘密の花園』にお誘いしたの。ふわふわのパンケーキと、宝石みたいなフルーツタルトが人気のお店よ!
「……こんな庶民的なお店、初めてですわ。でも、この『天使の涙モンブラン』……意外と、悪くありませんわね」
ソフィア様は、小さな声でそう言いながらも、フォークを持つ手が嬉しそうに弾んでいる。やっぱり、あなたも女の子なのね!
あたしたちは、あの日のファインプレーをお互い褒め合ったり(あたしは素直に、ソフィア様は「あなたの行動は予測不能すぎて、わたくしが合わせるしかなかっただけですわ」なんて言いながらも、口元は緩んでるのよ!)、SNSの新しい可能性について熱く語り合ったり。
すると、ソフィア様が頬を染めて、小さな声でこう言ったの。
「……実はわたくし、昔から探偵小説が大好きでして……。今回の事件、少しだけ、その…胸が躍りましたの」
「ええーっ!?ソフィア様が探偵小説!?意外ですわ!」
それから、好きな作家さんやトリックの話で大盛り上がり!なんだか、あたしたち、本当の友達になれちゃったみたい!
「エマリア様。また何か……その、王都の平和を揺るがすような事件が起きた際には、わたくしも微力ながら、協力して差し上げても、よろしくてよ?」
最高の申し出じゃない!探偵令嬢コンビ、再び結成の予感ね!
執務室に戻ると、リヒト様が難しい顔で報告書を読んでいた。
「エマリア嬢、今回の君の活躍、見事だった。君のその“炎上すれすれの嗅覚”と、人々を巻き込む“共感力”は、確かに大きな武器になる。公式アドバイザーとして、大きな一歩を踏み出したな」
リヒト様に褒められるなんて、珍しい!あたし、顔がニヤけちゃうのを必死でこらえたわ。
「だが」やっぱり来た、リヒト様の「だが」!「マルヴォーリオは逮捕されたが、金の流れを追うと、どうやらもっと大きな組織……あるいは、予想もしないような立場の人間が関与している可能性も捨てきれん。常に警戒を怠るなよ」
うう、手放しでは喜ばせてくれないのね……。
「それと、君にSNS分析の高度なテクニックをいくつか伝授しておこう。これを使えば、情報の真偽を見抜く精度も上がるはずだ」
リヒト様が、あたしのマギフォンを操作しながら説明してくれるんだけど……ちょ、ちょっと、リヒト様!?顔が近すぎやしませんこと!?眼鏡の奥の瞳が真剣で……ドキドキしちゃうじゃないの!こ、これが秘密のオフィスラブってやつ!?(まだ見習いだけど!)
そんなドキドキも冷めやらぬうちに、今度はハインリヒ王太子殿下が、執務室に「個人的なお祝いだ」と言って、美しい薔薇の花束を持って訪ねてきてくださったの!
「エマリア嬢、君の勇気と行動力には、いつも感服させられるよ。君のおかげで、王都のSNSも、より明るく、安全な場所へと変わっていくことだろう」
その優しい笑顔に、あたしの心臓はもうバクバクよ!
「実は、私も近々、王室の新しい取り組みとして、国民と直接対話できるような、双方向型のSNSチャンネルを開設しようと考えているんだ。その企画について、ぜひ君の意見を聞かせてはもらえないだろうか?」
王太子殿下と、二人きりでSNSの企画会議ですって!?
「も、もちろんですわ!わたくしでよろしければ、いくらでも!」
あたしの返事に、王太子殿下は本当に嬉しそうに微笑んでくれた。その真摯な瞳に、あたしの頬は、薔薇の花束みたいに真っ赤になっちゃったかも……。
ドアの隙間から、リリアン王女殿下が「お兄様、やるじゃない!」って感じでグッドサインを送ってるのが見えた。あの子、絶対面白がってるわ!
ウキウキ気分も束の間、今度はミロから、ちょっと不穏なメッセージが届いた。
『マリィ様、例のマルヴォーリオのヤツだけどよぉ、どうも口封じのために誰かに脅されて、罪を全部被ったフシがあるぜ。金の流れを追っていったら、とんでもねぇ大物の名前がチラついててな……おっと、これはまだマリィ様にはトップシークレットにしとくか!』
な、なんですって!?やっぱり黒幕がいるの!?
『それと、もう一つ。最近、王都の若い連中の間で「願いが絶対に叶う魔法のアプリ」みてーなのが流行り始めてるんだけどよぉ、なんか胡散臭い匂いがプンプンするんだよな……。被害者が出る前に、ちょっと探ってみるか?』
えええ、次から次へと問題が!アドバイザーって、思ったより大変なお仕事なのね!
そして極めつけは、王宮広報室から届いた一通の招待状。
『第一回 王都SNSアワード開催決定!つきましては、エマリア・フォン・ヴィルト様には、実行委員の一員として、アワードの成功にご尽力賜りたく……』
友人になった(かもしれない)ソフィア様との次の約束は、探偵ごっこ!?
リヒト様との関係は、ドキドキの師弟以上、恋人未満!?
王太子殿下との恋のつぼみは、果たして花開くのかしら!?
そして、ミロが掴んだ新たな事件の影と、「王都SNSアワード」っていう、いかにも波乱が起きそうな華やかな舞台!
あたしのドキドキワクワクな毎日は、まだまだ始まったばかりみたい!
次は何が起こるの!?炎上令嬢改め、ときめきアドバイザー・エマリアの明日はどっちだ!?
 




