約束
僕はゲームセンターにいた。
水槽ではない場所に魚がいる。
バイトの帰り、携帯にブルーのイルミネーションが光る 舞だ
今から5分程前にかかってきていたらしい
5分程前、タイムカードを押しおつかれさまでしたの意味を込め軽く店長に頭をさげた
店長は僕に気付きはしなかった
視線はノートパソコンに向かっている
仕事とは無関係なことと、何故か僕は直感的に悟ることができた
バイト先を後にし駐車場に向かうがてら舞に電話をかけた
「もしもし、僕だけど」
「僕?僕って言った?」
舞は不思議そうに聞いてきた
「ああ、ごめんさっきまでバイト中だったからそのときの癖がでた」
舞は楽しそうにけらけら笑っている
「晃が僕っていうとすごい違和感あるね!」
僕は僕のことを舞や友達、親のまえでは俺といっている
バイト先や学校の先生、自分の頭の中では僕と言っている
この区別の仕方にとくに意味はない
自然の流れであって、それが僕のなかでは正しいことと感じている
本能というやつか?意味は違うが僕はそう感じている
「お前だってバイト中はちゃんとあたしって言うだろ」
舞は自分のことを僕の前で舞と名前で呼ぶ
僕の前に限らず他の人の場合でもそうなのだろうかと僕は一瞬考えた。
「で、なんのよう?」
「え?今日ゲームセンター行くって約束してたじゃん!」
「ああ…ごめんすっかり」
舞のため息らしいものが感じとれた
「怒るなって、今からそっち行くから、15分程度で着くと思う」
「わかった」
舞のはぶてたような声を最後に電話は一方的に切れた
そのまま僕は車に乗り込み舞を迎いに行く、街外れの海の近くにあるゲームセンターへ行くことになった。