真琴ちゃん
今回は俺、八神 葉也と赤坂 真琴ちゃんの出会いを話そうと思う。
俺は一人で学校からの帰り道を本を片手に読みながら歩いていた。
タイトルは"ひなたぼっこ" というギャルゲーの紹介をしている本だ。
一人で頷きながら読んでいると曲がり角で美少女とぶつかった! という事はなく、ぶつかったのは野郎だった。
見るからに喧嘩でもした後みたいな怪我をしている野郎だった。
怪我の具合と雰囲気で負けただろうと予想出来る。
「……すいません」
俺でストレス発散されたら嫌だから謝ってすぐに逃げた方がいいと思い、野郎を避けて歩きだそうとする。と、肩を掴まれた。
振り返るとぶつかった野郎が鼻息を荒くしていた。
「……ちょっといいか?」
俺は苦笑いしながら野郎の言う事を聞いて野郎について行った。
「…クッ」
「アハハハハ……もう一度だ」
俺の辛い顔を見て野郎は陽気に笑い声をあげる。
俺はずっと思っていた疑問を口にする。
「……なんでアクションゲーム?」
アクションゲームはあまり得意じゃないんだが。
今は野郎の家にいる。
「いいじゃねぇか。付き合えよ」
「時間的にも帰らないといけないんですが」
「なんでだよ。まだ7時だぞ」
「妹は俺がいないと泣いちゃうんですよ」
だからなんやねん。みたいな事言われそうだなぁ。と、思いながら次の言葉を待つ。
「じゃあ、帰れ」
「……ああ、ありがとう。じゃあ」
俺が帰ろうとかばんを持って……
「えぇ!? 帰っていいの!?」
振り返ってツッコミを入れるがそこには誰もいなかった。
「おい、早く来いよ。そこまで送るから」
野郎は部屋のドアノブに手を掛けながら言った。
「…………」
優しい! と、声に出さずに野郎を見ていた。
すぐに帰りました。
翌日。俺は学校に行き、昼休みになった。
特に何もなく昼休みは終わった。
真琴ちゃんとの面識は5時間目の授業の後の休み時間だった。
「八神先輩! 好きです! 付き合ってください!」
俺は自分の教室で告白を受けた。
呼び出して告白するのではなく、真琴ちゃんは教室の扉から俺は自分の席で告白を受けた。
皆が俺達二人に視線を向ける。中には俺達を見ながらひそひそ話し合う人も。
美少女の真琴ちゃんを見て俺は立ち上がった。
「付き合おう!」
「やっぱり付き合うのは嫌です」
「なんで!?」
告白して来てその返答は無いでしょ。
皆も呆然と真琴ちゃんを見ていた。
「ただ言いたかっただけです! それでは!」
真琴ちゃんは走り去った。
「……………」
何これ、新手のいじめ?
麻由美が肩に手を置いて俺に尋ねた。
「……大丈夫?」
「……………」
俺は泣きじゃくった。
皆も今回は優しく接してくれた。
皆との距離が縮まった気がした一日であった。
"ひなたぼっこ"というギャルゲーはないと思います。
m(_ _)m