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死刑投票  作者: ロック
2/6

第1話

トオルが目覚めると、そこは、ホテルの客室のような場所だった。

手元には、携帯端末が一つあった。

GUIは、iPhoneに酷似しているが、新規にアプリの追加はできない。

また、新規にアプリを追加することもできない。

居室内には、大きなフカフカのベッド、机、ノートと筆記用具がある。そしてこのゲームについてのルールブックと、設備についての説明書があった。

さらにはシャワールームもあり、シャンプーボディーソープ等のアメニティは一通り揃っていた。


冷蔵冷凍庫もあり、レンジがある。

またクローゼットの中には衣服が数枚と、インスタント食品と電子ケトルがある。

テレビなどもあり、様々なチャンネルを見ることができる。


"ラウンジに集合してください"

居室内で放送が流れた。

エアコンの近くに、スピーカーのようなものが見えた。


トオルは、ラウンジへ向かった。


ラウンジに向かって歩く人だかり、きっと参加者だろう。

トオルが参加者について言った先には、夜景のようなもの、そしておしゃれなシャンデリアに、ガラス製の椅子にガラス製のテーブル。

さらに盛られた様々な料理が僕の食欲をそそる。


29歳ほどの女性が僕と参加者たちに話し始めた。


「マニュアルはすでにみたとは思われますがこの100名の中から、皆さんが不要だと思う人物97名を多数決で「死刑」にしてください。期間は1ヶ月です。

そういえば居室内に携帯端末がありましたよね。

この端末には主に2つの機能があります。

1つは投票機能。

端末内の投票アプリをタッチすれば参加者の顔写真と名前を確認することができます。

そして、タッチで簡単に投票できちゃいます。

その際、その人に対する投票率が25%以上ならば"死刑"となります。

投票者の名前は公開されません、匿名です。

投票率が25%未満だと無効となり、翌日には投票率がリセットされます。

また、投票は1人、3票まで可能ですが、同じ人には投票できません。

また端末にはさまざまなアプリがプリインストールされています。

匿名チャットや、タイムラインを投稿できるアプリや一部ゲームアプリもあります。

また、投票を自分自身に行うこともできます。

死刑以外の方法で殺人を行なったら"別室"で過ごしてもらいます。

みなさん、しっかりコミュニケーションをとって、誰を死刑にするのか、そして誰が生き残るのか!それではみなさんのご武運を」


話が終わると、突然ボロボロと大粒の涙を流すものが出てきた。35歳ぐらいの中年だ。

「俺は、まだ死にたくない。

生きたい、生きたいよォォォォォォ

でもなぁ………どうせ死ぬんだから何してもいいだろおおおおお!!!」

中年は突然、ラウンジの席に座ってる18歳ぐらいの派手な服を着た女性を抱き始めた。

「やめろよ!」青年が数人中年を取り押さえた。


そして傍観者数名が、端末をポチポチといじり始めた。

「おいまさか、お前ら、」

ルール説明を終えた29歳女性が笑みを浮かべた。

「投票率30%、有効投票です」

黒服を着た男5人が、ラウンジに現れ男を取り押さえた。

「やめろ!俺はまだ死にたくない!

やだああああああ」


残り99人

「そうだ、みなさんにこちらを渡します」

レジ袋に包まれた。プラスチックで作られたおもちゃのような通貨が参加者に一人100枚配られた。

「ここでは、各種設備は自由に使えますが、一部商品は有料となります。

このチップで食事を買うのも自由ですし、カジノエリアで増やすのも自由です。

それでは解散です。」

参加者がゾロゾロとラウンジを後にした。


トオルは、この施設が何なのか、そしてどこにあるのか皆目見当がつかなかった。

ラウンジは、どうやら、低層階にあるらしく、ラウンジの窓からはプロジェクターで写された夜景が見えた。

トオルは、フリードリンクのドクターペッパーを飲みながら、ラウンジ内の自販機にあったタバコ「ショートピース」を購入すると、ラウンジの従業員らしきお姉さんが、トオルにライターを渡した。

「ありがとう」

胸が少し大きく、少し白い肌、鷲鼻とも呼べるほどに大きい鼻はナソフィリア(鼻フェチ)のトオルからすると、至高の鼻であった。

「鼻、綺麗ですね」

「ありがとう、コンプレックスなの」

「鼻、触っていいですか?」

「いいよ」


トオルは、自分の興奮を抑えながら鼻筋をゆっくり、ゆっくりとなぞるように触った。

「な、なんて美しい鼻なんだ!

触り心地が心地良すぎる!!!

鼻鼻鼻ァー」

「私のことが好きなら抱いてもいいのよ」

「キスだけしていい?」

「良いよ」

どうせ、死ぬ命、トオルはラウンジのお姉さんとディープキスをした。

「バイト?」とトオル。

「どうかな」

「好きだよ、愛してる」

「早いよ」

「でも好きなんだ、君以外考えられない」

「誰にでも言ってるでしょ」

「言ってないよ」

「ふふ、生き延びたら、あたしと

あれ、しよっか」

トオルの興奮は最高潮だった。

「俺様に触れると火傷するぜ、バイバイキーーーーン」


トオルは、ラウンジを離れた。

ラウンジ以外ではビリヤード場、バッティングセンター、オールフリープレイのゲームセンターと、有料だけど、クリアするとチップが払だされる有料のゲームセンター、そしてゲームセンターの中にあるようなメダルゲームのメダルが全てチップとなったメダルゲームもあれば、カジノスペースではディーラーとスロットもある。さらに施設内には、1チップ200玉、もしくは50枚のメダルが借りられるパチンコパチスロコーナーもあり、ジャグラーや大工の源さん、ゼロタイガーやバトルエースのような羽根ものの古いパチンコ台もあった。


ただ、古いパチンコ台は、入賞後に青色の球が払い出され青い球は、交換のレートが違う。

トオルはアイムジャグラーを打つために、二枚のチップを店員に渡すと、100枚のメダルが入ったドル箱を渡された。

トオルがジャグラーを打ち始め、30GでGOGOランプが光ると、彼の隣に23歳ぐらいの青年が座った。

「よく、やるんですか?」

「一応」

トオルが左7中央7と揃えた。

「BIGだな」とトオル。

「僕はREG」と隣りの男。

右ボタンを押すと、レギュラーボーナスであった。

「俺も隣でやって良いですか?」と隣りの男はいい

「良いよ」とトオルが言った。


トオルが50枚ほど彼にメダルを渡すと、隣りの男はそれを受け取りながらアイムジャグラーにメダルを入れ始めた。


「名前聞いてもいいですか?」

「俺は角谷トオル。」

「俺はカケル。四宮カケル」

カケルは、プシュッとコーラの缶を開けた。

「なぁ、カケルくん、」

「カケルでいいですよ。」

「カケルは、なんでこのゲームに参加したの?」

「俺?うーん、借金返済のためですね。」

「どんな借金?」

「いやー、なんか生活に困ってそうなデリ嬢がいて、その子ちょっと持ってるんすよ。

その、何でいえばいいのかな」

カケルは頭をかきむしる。

「メンタル・・・的な、障がいって言葉あんまり使いたくないんすけど」

「うん」

「まぁ、対人恐怖症患ってる子で、その子のこと助けたくて・・・それで俺フリーターだからまともなところが融資してくれなくてさ」

「え、あうん」

「そんで500万円渡したら、その子に逃げられちゃって・・・

その金融機関に、資金繰りの相談したらこのゲームを紹介されたんすよ。

最初は断ったけど、でも10億あったらやりたいことあるんすよ」

「え、何?」

「NPO法人を設立して、困ってる人を助けてあげたいんす。

俺はもっともっと多くの人を救いたい。

だからこそ、俺は金持ちになりたいんですよ」

「カケル・・・、」


トオルは、内心彼を見下した。

トオルは、"このゲームに参加してる時点で誰かの命を奪うのは必然だし、このゲームに負けたら命がなくなる、機会損失を天秤にかけたら、10億なんて安いものだ。

だが、実業家になったとしても10億という金を稼ぐのは現実的じゃない。

そう考えると、合理的なのかもしれないが、そもそも彼は社会貢献活動をしたいなら、彼自身がボランティア活動を行えばいいのに"と考え、少し言葉が止まった。


「カケル、生き残ってくれよ」

「はい。トオルさん」

「さん付けじゃなくていい、あと、敬語じゃなくていいよ」

「わかった!トオル!」


トオルは、手元のメダルが無くなった時点で、台を離れ、施設内のプールに行った。

光が差し込んでこない、ここは地下なのだろうか。

少し照明が暗めの、プールで男と女が抱き合ってるのを目撃した。

誰も見ていないと思ったのか、羨ましい、抱きたい。


トオルは嫉妬心からこの男に1票の投票を入れた。


トオルはどうすれば、彼を殺すために、どう動こうか考えた。

直接手にかければ死刑の可能性があるわけだ、

不要な誰かを殺せる願ってもないチャンスだ。

・・・投票権を彼のために使うのはどうかとも思う。

投票回数も無限ではない。

トオルは、居室に戻り眠りについた。


その頃、2人の愛は加速していった。

「トウマ生き残ろうね」

「うん、愛してる」

2人はおそらく短絡的思想でこの賭博に入ったのだろう。

すると、メガネをかけた陰湿な男が2人と目があった。

小声で彼は「イチャイチャしやがって」とこぼした。

「なんか、言ったか?」

「こんな状況でイチャイチャすんな!目障りだ!」

「今まで彼女ができたことがないからプンプンしてるのかな」


端末を彼は取り出した。

「俺はお前が嫌いだ」メガネの男は、奴に1票入れた。

男はメガネの男を殴りかかる。

「おい、取り消せや、このブスが。」

「この端末、配信アプリもインストールされてるみたいでね」


票がその男に集中した。


投票率25% 有効投票です。

端末の通知が光った。

「ちょっとまって、私のダーリン待って待って」

「に、逃げ・・・」黒い背広を着た男が、居室から出てきて、逃げようとするトウマと呼ばれる男の頭部目掛けてピストルを打った。


残り98人

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