思い出に
何気なく流している日々のうちに
順調ではないときがあって
本などを読み、音楽などを聴く
それでも無理なときに
昔、詩を書いていたことを思い出した
詩はただの短文ではなくて
こころの映し鏡であって
結晶であって
夏の盛りに吹いてくる
ひとすじの秋の空気のように
移ろいゆく外の景色を
一片の文字の連なりに閉じ込めたもの
手にとって開いてみれば
こころのなかで世界が広がっていく
萩原さんの孤高に
茨木さんのやさしさ
啄木さんの率直さ
それに、それに……
アンデルセンの童話みたいに
やさしい波がわたしを攫っていく
秋の曇りの日の砂浜へ
その浜に立って、やっと
こころから解放されて
忘れていた深呼吸を思い出せる気がする
そんなことを考えて過ごしていた
戻らない日々のことを思い出して
書き始めてみたのが
今日までのこと