人生
それからの日々、陽子は拓也と必要最低限しか、かかわらないようにした
そうして、また三ヶ月くらい過ぎた
この半年、ずっとイヤな気分でいた
どうすることもできない閉塞感で、すっかり老け込んだ気がした
実際、笑顔は確実に減った
家の中の雰囲気も、ぎくしゃくしていた
外の空気が吸いたくなって、陽子は一人で出かけるようになった
初めて、一人で映画館へ行った
ひとりで観る映画は、きがねなく観ることができた
おひとりさまって、意外と気楽で良いものだと思った
独身の時は、友達や恋人と、結婚してからは家族といた
人に言えない悩みがあって、ずっと一人で考えていたので、ひとりの時間が増えた
家族や子どものこと、これからのこと、自分の幸せが何か、えげつない浮気をされてから本当にいろんなことを考えた
結婚をして、家族ができて、安定した人生を送るんだと思っていたけれど、そうじゃなかった
家族は、とても長い時間一緒に過ごす人たちだけど、ずっと一緒ではない
夫も子どもも、いつかは離れる時がくる
自然な流れか自分の意志かの違いはあるけれど
親子も夫婦も、とても濃い関係ではあるが、人生はそれぞれ、一人で歩むものだ
影響はお互いにすごく大きい
でも、自分の人生は自分のもので、自分が決める
生まれる時も、死ぬ時も一人だ
そして、生きている時も一人なんだ
だから、寄り添いあって生きる