プロローグ
――月曜日
――それは一週間の始まりであり、最も地獄な日である。
いや、カレンダーのように日曜日を頭にして週を捉える事もあるだろうから、その場合では違うかもしれない。
けれど少なくとも一般的なサラリーマンや学生にとって、月曜日とは休日明けの気怠い労働の始まりの日だ。
かくいう高校2年生の俺――望月 映司も、もれなく憂鬱な月曜日の朝を迎えていた。
とは言っても、別に曜日のせいでは無い。
学校も面倒な授業やテストはあるが、普通にこなせる程度の能力はある。ほどほどの友人関係、平凡にすぎるが苦労はない。むしろ満足している方だ。
「おい、エイジ。どこ見てんだよ?」
問題なのは、俺の周り。
「なーなー、こんな美人なお姉さんに囲まれて何ぼーっとしてんだよっ」
左腕には、猫人のお姉さん。
「……全くだ。私たちがこうして肌を付き合わせているのだ。うら若き青少年というのなら欲情の一つでもしたらどうだ」
膝の上には、ダークエルフのお姉さん。
「うふふ、ジェダさんったら言い方が明け透けなんだからぁ。ねぇ?エイジくん」
背後には、半妖のお姉さん。
「まーエイジはむっつりスケベだし。仕方ないわね」
そして、正面には、ハイエルフの……お姉さん。
俺の身体中を、顔立ちを見れば間違いなく美人の女性達――しかし明らかに異世界の住人らしき特徴を持った――が取り囲み、そのプロポーションの整った肉体を密着させてきている。
ハーレム?冗談じゃない。
俺は生まれてこの方、この世界で生き、この世界で過ごして来た。どう考えてもファンタジー世界出身のこの人達が住むような異世界に召喚、転生それらに準ずる行為をした経験など俺にはない。
つまり……
「……い、」
俺は四方向からの甘美な誘惑から逃れるように、懸命に叫んだ。
「いい加減に……俺を親父の代わりにスキンシップしてくるの、やめてくれよぉ!!」
そう、この家にいる多種族の女性らは全員、消息不明中の俺の父親のハーレムなのだ。
ここで一つ断っておこう――
――俺の親父は、異世界転生者だ。
初投稿です。
今後の予定としては、異世界チート……の皮を被った王道系少年誌な物語にしたいと考えています。
そろそろ進路について悩み始める平凡な高校生が、誰かに才能を認められ、“異世界”という魅力的な選択肢を得た時、どのように自身の将来を見つめるのか。
なんて、ジュブナイル(最近覚えた)な本筋を描いていけたらなと思います。
更新は不定期ですが、今週はハイペースでいきたいと思います。