八十一話 今後の課題
とりあえずティナの居残りから始めます!
捜索を終えた月夜、朧は第三体育館に隠れながらやってきた。
そこでは居残りとなったティナが変装した夜真砥に稽古をつけられていた。
「夜真砥、女装趣味でもあったの?」
「試してみたかっただけだ。それによくこういった変装はしてるぞ。一応、忍びだし」
「よくやってるわ。普段は黒髪の女性だけど今回は金髪なんだ」
「ティナが金髪だからな。それで終わりかティナ!」
いくら何でも夜真砥から一本取るとか無理でしょ!
疲れた~!
死ぬ~!
「意識がなくなるまでやることになるぞ」
「それだけはヤダ~!」
「暁先生、そろそろホームルームです」
ファゼルが第三体育館に顔を出す。
「それも私がしなければいけないですか?」
うわっ、口調、声まで女性だ。
もう何でもありだなこの人。
「まあ、臨時担任となってますし」
「了解、今から行きます。ティナさん、居残りはこれで終わりです。教室に戻ってください」
助かった~。
「月夜と朧はその辺にいてくれ」
夜真砥はホームルームをするため教室に戻った。
「これからホームルームを始めます。って何をやるのかわからないけど」
「暁先生はホームルームをしたことないんですか!」
「ないです。というか教育機関に入っていた時期がありません」
日の本の国には寺子屋というものがあったが俺は行っていない。
というか王族は家庭教師を雇うもので寺子屋には行かないものだ。
そもそもの話だが俺には家庭教師はいなかった。
家庭教師と呼べるのは月夜だな。
「教育機関に入ってなくてその強さなんだ」
「クソチビのところでシバかれたからな」
「ホームルームは連絡とかをすればいいんです」
なるほどそんなことをすればいいのか。
ティナをシバくより楽だ。
「五日は今日と同じことをやっていく。日曜は休み。卒業生対抗戦っていつですか?」
「三週間後の金曜から日曜までです」
それならスケジュール通りにいけるな。
「そして次の週は実戦形式の授業を行う」
「具体的に教えてください!」
「冒険家がやるようなこと」
冒険家になってから役に立つことを次週は教える。
必ず役に立つから欠席した奴はシバく!
「本番直前は魔法を教える。本番直前の木曜は休みを取るので何もするな!月火水は図書館に籠もるのでいろいろと準備しとけ」
「なぜ図書館に籠もるんですか?」
「書架の悪魔って知ってるか?」
けっこう大きな図書館に根を張ってる奴だ。
「何ですかそれ?」
「ダンタリオン」
夜真砥が『ダンタリオン』この名を言った瞬間、教室にいるティナ以外の人物の顔が凍りついた。
「あの悪魔と知り合い…なんですか」
「知り合いだが?」
「まさかその方と会うんですか」
「会うぞ」
「夜真砥先生!さすがにそれは無理です!いくら何でもダンタリオンに協力してもらうなんて危険です!何かあったらどうするんですか!」
何かあったら?
そうだな…。
「とりあえず顔面全てぶん殴る」
「あのぉ…ダンタリオンって何ですか?」
「魔王の娘なのにダンタリオンをあの大公爵を知らないんですか!?」
「こいつ箱入りだからそういうことは知らんぞ」
箱入りですみませんねぇ!
「一応、魔王の類に分類される。悪魔、つまり魔族だ。変人だが危険な奴じゃないぞ」
「はぁ」
いったいどんな魔族なんだろう。
少し楽しみだな。
まあ、やることほとんど同じなので日曜まで飛ばします!
それではまた次の話で!