七十九話 夜真砥先生の猛特訓
卒業のため猛特訓をします!
職員室に着いてから俺はファゼル先生と話し合いをしていた。
「この卒業生対抗戦で優勝すれば彼らは卒業できるのよね?」
「あ、はい」
「何か私の顔に付いてますか?ファゼル先生」
「いや、夜真砥さん変装はしてもいいのですがなぜ女装なのですか?」
ファゼルは小声で夜真砥に話しかけた。
ファゼルの言うとおり夜真砥は変装してるが女装していた。
「女装ではない。魔力を操作して見た目を女性に近くして幻想で更に見た目を女性に近づけただけだ」
「だけだって夜真砥さんしかできませんよそんなこ」
「うちのチビ師匠はできる」
だいぶ前に身長を底上げしてたからな。
かなり違和感があったのですぐわかった。
「とりあえず俺のことは女性だと思って接してください」
「…はい」
(と言われても接しにくいです!)
「…今から始めるので生徒を第三体育館に集めてください」
「わかりました。第三体育館ですね」
ということで夜真砥先生いや、暁先生の猛特訓が始まった。
場所は変わり第三体育館。
体育館と言っても周辺に魔法が飛んでかないように障壁を常に張っている冒険家育成機関用の体育館である。
「誰この人」
「暁先生で~す」
「変装している夜真砥先生です」
「はぁ!?もろ女性じゃん!」
もろではない見た目を女性に近づけただけだ。
そして幻想で胸や髪を作ったのだ。
こんくらいのことは教えとけよ。
「今から指定する二人一組になって試合をしてもらう。必ず全員とやれ。スキルは禁止、魔法は魔導士志望のみ使用してよい安心しろ。俺が魔法で威力を弱めてやるが下級魔法しか使うな。武器は練習用のを使え。ティナ、お前もやれよ」
「…本当に師匠ですよね?」
「なんならお前が俺の金でソフトクリームを食った回数、教えてやろうか?」
夜真砥だ。
ソフトクリームの件はさて置きこの脅し方は夜真砥だ。
ペアはリザードマンのマーシュ・ボトムとドライヤドのベル・フォレスト、エルフのヴァルト・ビリジアンと人狼族のルー・エルフェアン、魔人族のエレン・ロウエルと生粋の魔族にして俺の弟子、ティナ・キャロルとなった。
使う武器は順に槍、杖、弓矢、ナックル、剣、剣である。
「勝利条件は相手を地面に倒すこと。合計六回やり四回以上負けたら居残りだ。それでは始め!」
生徒達はそれぞれ相手をしてもらう者に一礼した。
「暁先生、なぜこのようなペアに?」
「今は夜真砥でいいです。監視も外部からも覗かれないようですので魔法も解きます」
夜真砥とファゼルは近くの椅子に座って生徒の戦いぶり見る。
「まずはマーシュ、ベルのペアから説明します。槍使いと魔導士の攻撃可能範囲は知ってますか?」
「それは槍使いは中距離、魔導士は遠距離では?」
「そう考えるのが妥当ですが魔法は近距離でも可能です。更に種族で違いが出てきます。見てください」
夜真砥は奥で戦闘しているマーシュとベルを指差した。
「マーシュ君のあの速さは…まさか魔法を!」
「いえ、違いますよ。リザードマンは結構、俊敏に動くんですよ。それにあの槍は軽いですしね。そしてドライヤドのベルさんはこういった環境に慣れていないんです。ドライヤドは森と感覚を共有できるので緑がないフィールドでは感覚が鈍り不利になります」
「なるほど」
まあ、両種族が苦手な砂漠地帯に温度以外近づけているがな。
だが予想外だったよく訓練している。
的確に魔法で捉えているし一瞬の迷いもなく俊敏に行動している。
才能ありだな。
「次はヴァルト、ルーのペアです。弓矢とナックルの攻撃可能範囲は?」
「遠距離と近距離です」
「それは誤りです。確かにそれであってますがあの様に」
夜真砥がヴァルト、ルーのペアの方を指差すとヴァルトが近づいてきたルーを矢で追い払い退いたルーが衝撃波で攻撃した。
「近距離に中距離攻撃!?」
「そうです。意外でしょ?」
「はい、まさかあの様な攻撃の仕方があるとは」
でも、ソロでしかやらないがな。
それに衝撃波は飛ばす側にも少々、ダメージが来るから使わない方がいい使う場合は魔法で強化する。
「次はエレン、ティナのペアです」
「言うまでもなく近距離ですね」
「まあ、そうですね。二人には撃ち合いに慣れてもらうためあえてこの組み合わせにしました」
「でも、ティナさんは夜真砥先生の弟子では?」
ああ、その質問が来るか。
「いや、大したことないです。協力してグレイシアドラゴンを倒しただけですから」
「グレイシアドラゴンを!?」
別に驚くことはないだろ。
俺なんかリリムのところを卒業して一週間後に遭遇して三日かけて倒したからな。
その後、試合は終わりティナを除く生徒は居残りにはならなかった。
ちなみに全敗である。
次回は朧と月夜側の話です!
それではまた次の話で!