七十七話 アルフェアン学園の問題児達
学園編始まります!
問題児は次の話で出てきます!
アルフェアン学園に到着して俺達は校門で待っていた教師に連れられて学園長室に通された。
学園長ね、似合わない仕事だな。
「青二才、私が学園長をやっているのがそんなに面白いか?」
「いや、まさか噂で聞いた名門、アルフェアン学園の学園長があんただとはな。学園の名前で予想はついてたが」
夜真砥の知り合いなの?
「ティナ、紹介する。ギルドランク序列三十位、メルウィス・アルフェアンだ。この学園の学園長なんだとさ。二つ名は消えぬ希望の灯火、かつて魔王の軍勢をたった一人で退いた現役バリバリの婆冒険家だ」
魔王の軍勢をたった一人で!?
…夜真砥ならやりかねないな。
「婆冒険家とはなんだ!まだ私は若いつもりだよ」
「鏡見てもその言葉が出るといいな」
「ああ、出るさ!ティナちゃん、私が当学園の学園長のメルウィスだ。この青二才に何かされていないかい?」
何もするわけねぇだろ。
「夜真砥とどういった関係ですか?」
「ああ、ただの知り合いだよ」
「知り合いたくもなかったがな」
「私が何かしたのかね?」
ほほう、あのことを忘れたのかこの婆は。
「忘れたとは言わせねぇ!ギルドの緊急クエストの時に背後から魔法をぶつけてきたの誰だ!」
「はて?そんなことあったかい?」
「二年前のことだぞ!忘れてんじゃねぇ!」
それを喰らったおかげで死にかけたわ!
「でも、よく引き受けてくれたな」
「ジャック経由で来たんだよ」
「で、復讐したと」
「当たり前だ」
やっぱりあれは攻撃だったんだ。
「で、依頼内容は?」
「当学園には各学年に四クラスある。そのうちの三年四組の臨時教師、いや、臨時担任になってほしい」
「前の担任は?」
「いるんだが頼り無い奴でねぇ。まあ、そいつも担任として組み込むよ。出てきな」
「どうも」
隣の部屋から眼鏡をかけたひょろそうな教師が出てきた。
うーん、冒険家を育てる学園には不向きだな。
「ファゼル・レルシットと申します」
「ちょっと待て!?ファゼル・レルシットだと!?」
「有名人なんですか?」
「有名人だ!どんな初心者冒険家でもファゼル・レルシットの授業を受けたら確実に成長すると言われてるほどだからな!」
そんなにスゴい人なんだ。
でも、そんな人が受け持つクラスなら夜真砥を呼ぶ必要はないよね?
「そこが問題なんだよ。私が直々に雇ったファゼルでも今回のクラスの生徒は成長できていないんだ」
「すみません!生徒個人の力量はいいのですが一向に成長しないんです!」
「もっとシャキッとしな!それに生徒のせいましてや自分の腕を疑うんじゃないよ!」
「は、はい!」
ここは士官学校か!
「しかし、学園長、この方は誰ですか?」
「月下の帝王」
「ご冗談を」
俺は仮面を外して右手を前に出した。
「月下の帝王、ヤマト・ツキカゲです。これからよろしくお願いします」
「本物だ~!」
ファゼルは感激し俺の右手を両手で握って勢いよく握手する。
「まあ、依頼を受けた理由は他にあるが」
「暗号に気づいたか」
「本当なんだな。ジュダの仲間が潜伏しているのは」
ジュダ?
…サルディア帝国で夜真砥と互角の戦いをしたあのジュダ!?
「本当さ」
「しっかし何でこんな回りくどいやり方で伝えたんだ?」
「私の予想なんだがギルド上層部にジュダとつながりを持つ者がいる」
「ギルド上層部はどす黒いからな」
ネレウスが国際ギルドマスターを辞めたいのもこれのせいでもある。
「じゃあ、三年四組に案内してくれ」
「ジュダの仲間の捜索はどうするのさ」
「朧、月夜、そっちは頼んだ」
月夜は剣から精霊となり朧はステルス状態を解いた。
「了解」
「面倒くさいげとマスターの命令なら引き受けるわ」
「ということだ」
「準備のいい奴だ」
「お褒めに与り光栄です」
かくして俺は三年四組の臨時担任となった。
ということで夜真砥は臨時教師になりました!
それではまた次の話で!