六十七話 鬼の少女の旅立ち
朧が夜真砥の旅のメンバーに加わります!
しかし、前話にあるとおりちょっとしたトラブル発生します!
宴は終わり五日経過して何やかんや俺の休暇は終わり日の本の国を出立することとなった。(冒険者稼業をやっている時と大して変わらなかったがな)
行き先は決まっているしそっちに行く船も港に泊まっているがチョイと問題が発生した。
「おっせーな朧の奴」
「ホント何してるのやら」
朧が港に来ていないのだ。
ちなみに俺の見送りは一切ない。
じゃあ、なぜだ?
アンサー、共に旅に出るためだ。
「朧さんなら家にいますよ。なんか国を出ると言ったら次期当主だからダメだって言われて見張り付きで閉じ込められているってアイスクリーム買いに行ったときに通行人が言ってました」
俺はティナの頭に特大の拳骨を落とした。
「そう言うことは早く言えボケ!」
バカじゃなくてボケって言われた!
「…迎えに行くか」
「夜真砥さん、もう出航時間なんですが」
「先に出航してくれ。後で乗る」
「へ?」
そう言うと夜真砥は屋根の上を走って鬼神邸に向かった。
(…監視には隙がないしそれに出航時間がきたしもう、旅に出れないのかな)
「何やってんだ朧」
「夜真砥!?」
「声が大きい!…準備できてないのか?船が出るぞ」
「…旅には出れない次期当主に何かあったらマズいから旅に出たらいけないんだって」
何となくわかるがお構いなし。
「準備はできてるよな?」
「準備はしたけどさっきの話聞いてた!?」
「じゃあ、俺の勝手だがお前をさらう」
「はい?」
夜真砥は朧をお姫様だっこして障子を蹴破り鬼神邸から飛び出した。
「夜真砥様!?」
「朧はさらっていくぜ」
「夜真砥様が朧様を誘拐したぞ!」
見張りの兵が急いで報告しにいく。
「アホ!何やってんの!」
「何って旅に出るんだよ!」
夜真砥は朧をお姫様だっこしながら屋根の上を疾走する。
「不知火流忍術朱雀!」
「紅葉!?」
「悪いけど朧を救出する任務を与えられたから」
「じゃあ、遠慮なく倒させてもらう」
(朱雀!?相殺されるから突破できないよ!…はぁ!?)
夜真砥が放った朱雀は紅葉の朱雀にぶつかり相殺されるはずだったか炎の向こう側からまた朱雀が飛んできた。
「不知火流忍術朱雀の改造版、不死鳥だ!一度、消えても自動で再構成して突っ込む!」
ちなみに俺は生きてる 不死鳥を召喚獣として契約してある。
(ま~たヤバいの作ってきたな)
「じゃあな!」
「やられた~!…言葉、葉月、そっちに行ったわ」
魔力反応からして二人いるな…言葉と葉月か…拘束されたら厄介だからなぁ…ここは裏をかいて拘束されるか。
「竜巻!」
夜真砥は言葉が出した風属性魔法竜巻に閉じ込められた。
「閉じ込められた」
「まだまだ!木霊流魔術樹縛!」
おいおい、殺す気かよ。
「夜真砥、敗れたり!」
「朧、ごめんね!任務だから」
「ああ、わかってるよ」
「朧?」
「言葉、それ朧じゃない!」
「正解だ!岩戸流魔術改良型天岩宿!」
天岩宿、岩石で相手を閉じ込める岩戸家の魔法だ。
そして俺は奇妙な奇術で朧に変装した。
「魔法消滅」
「身代わりにするとか最低」
「わりぃわりぃ」
「頑張って脱出しろよ」
「おいこら!逃げるな~!」
逃げるなと言われて逃げない奴はいない!
さてさて、お次は誰が出てくるのかな?
残り半分、雫に連華に閃だな…咲夜と兄上はさすがに来ないよな。
って考えてたら来た!
「夜真砥、拷問部屋行きな」
「爽やかな笑顔でそんな恐ろしいこと言わないで!」
「お兄様!朧さんではなく私をさらってください」
兄上は珍しくキレてるけど咲夜は全くぶれないな!
「月影流剣技影縫い!」
おいおい、影縫いかよ!
「閃光!」
「咲夜、今だ!」
「お兄様!観念してください!第二形態千手観音、剣技千手連撃!」
「串刺しにするつもりか!」
「ええ、串刺しにして動けなくし咲夜がお世話します」
咲夜が病んだ!
とりあえず逃げる!
「咲夜、そのまま追い詰めろ!」
「了解!」
あれ喰らったらしばらく動けないよな…さて、どう対処するか…そうかあれって魔力で操ってるんだよな。
「追い詰めました!」
「そのまま囲んでろ!影縫い」
夜真砥は広場に追い詰められて周りを千手観音で囲まれた。
「…ご苦労さん、魔力欺瞞波」
魔力欺瞞波、簡単に説明すると真っ直ぐ飛ぶはずの火球がクネクネ曲がったり変な方向に飛んでいかせる魔法だ。
つまり、遠距離攻撃魔法を操作不能にさせるちなみに無属性だ。
「あれ?ちゃんと飛ばない!?」
「また、一年後にな」
「逃がすか!」
「スキル、魔力乗っ取り」
「しまった!」
兄上が放った影縫いを操り兄上と咲夜を拘束した。
「そんで隙をうかがっている閃と連華!しばらく混乱してろ」
夜真砥は魔力の衝撃波を飛ばした。
「ちっ、バレてたか!」
「それより連華…頭がクラクラします」
「たっ確かに」
すると閃と連華は混乱した。
「ちょっとした応用だ」
俺の魔力を閃と連華の魔力波長に合わしぶつけ酔わしただけだがな。
「港まで突っ走るぞ!」
「う、うん!」
(これなら行ける!)
それにしても誰か忘れているようなぁ…。
夜真砥と朧は港に着いたが船はとっくに出航しており更に雫が巨大な氷壁を作って道をふさいでいた。
あ、そうだまだ雫が残ってた。
「これ破れたら見逃す」
「夜真砥でもさすがにこの厚さの氷壁は…」
「朧、すまんがお姫様だっこはおしまいだ。代わりにおんぶだ」
「それは構わないけど何で刀を右足に固定してるの?」
「あれを浮かすんだよ」
「浮かす!?」
夜真砥は朧をおんぶして氷壁に向かって走る。
「鬼神流剣技改良型!」
「ちょっまさか」
「そのまさかだ!天地開闢!の時短バージョンなのですぐに空間は元通りになるからそのうちに通る!」
「無茶苦茶だ~!」
夜真砥は天地開闢の時短バージョンで氷壁を水平に両断して浮かしその隙間に降り立ち船目掛けて跳んだ。
「脱出成功!」
「無理!無理!無理!無理!絶対に海に落ちる!」
「転移の穴」
俺は転移の穴を使って船に乗った。
「…マーキングしてたの」
「念のためにな。…みんな、集まってるし別れの言葉とか言わなくていいのか?」
港には夜真砥を妨害したメンバーが集まっていた。
「別れの言葉ね…よし!みんな~!またね~!今度帰ってくる時は絶対に絶対にー!夜真砥を落としてあたしのモノにして帰ってくるから~!」
俺を落とす?
船から落とすつもりなら逆に船の上から吊り下げるぞ。
「鈍感マスター」
「何が?」
「別に~」
「夜真砥は魔法以外のことも勉強した方が良いと思います」
「それってどういう意味だ」
「自分で調べてくださ~い」
わけがわからん。
一方その頃、港では、
「やられた~!」
「朧だけ抜け駆けとかそりゃあないぜ!」
女子はみな、朧が夜真砥と旅をするのを止めたかったのだ。
理由は簡単、その間に仲が深まるのが嫌だから。
「そういえば終夜お兄様は何で協力してくれたのですか?」
「朧ちゃんとこれから旅をするのなら朧ちゃんを守らなければならない。兄ちゃんに負けるのならこれから先、守ることなどできないからね」
「ああ、お兄様を試したのですね」
「そういうこと」
「…行ってらっしゃい夜真砥」
こうして夜真砥の旅に朧が加わったのであった。
「そういえば行き先は決まっているんですか?」
「ああ、勝手に決まられた。だから後で襲撃してやる」
どういうこと?
「まあ、その前に火山島で乗り換えするがな。その間、時間がかなり空くからいろいろと用事をする」
稼業再開でさっそく面倒な依頼がきたな。
夜明けを待つ島、日の本の国そして黄泉の国がある島、この二つの国は二千年も長きにわたり戦をしていたが遂に終戦を迎えて平和な島となった古い国の名前はなくなり新しい国の名は島の名前からとって夜明けの国となった。
国のトップは日の本の国の王族だが、政治の中枢には黄泉の国の民も混ざっている。
もう、この島の太陽は沈まないだって戦う理由がないから。
次回から第五章開幕します!
第五章の伏線は置いてあります!(おまけに)
それと次からは文字数が二千か三千あたりになります。
こうなった理由は文字数が単に多かったからですσ(^◇^;)
別の小説で少ない文字数になれてきたのでそろそろこっちも少なくしようと思って第五章へと変わるこのタイミングで変更しました!
それではまた次の話で!(^_^)/